〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例
【第35回】
「大和鋼管工業代表者事件
-特定外国子会社と租税条約-
(地判平20.8.28、高判平21.2.26、最判平21.12.4)(その1)」
~租税特別措置法40条の4、日星租税条約7条1項~
公認会計士・税理士 西川 浩史
1 はじめに
タックス・ヘイブン対策税制(特定外国子会社利益合算制度、CFC税制、TH税制)が、日本とシンガポールとの間の租税条約(以下「日星租税条約」)に違反しないと最高裁で判断された事例には、グラクソ事件(※1)(法人税事案)と今回のテーマである大和鋼管工業代表者事件(※2)(所得税事案)がある。大和鋼管工業代表者事件の最高裁判決では、グラクソ事件での最高裁判決内容が参照されており、グラクソ事件と同一の論点となるが、法人税法の取扱い(内国法人の収益の額に合算)と所得税法の取扱い(個人の雑所得の総収入金額に合算)の違いがあるため、グラクソ事件判決内容との比較も含めて検討を行う。
(※1) 最高裁平成21年10月29日判決 税務訴訟資料 第259号-189(順号11302)。一角塾では中野洋氏がすでに担当しており、その内容は本連載の【第1回】~【第3回】において解説されている。
(※2) 東京地裁平成20年8月28日判決 税務訴訟資料 第258号-155(順号11013)、東京高裁平成21年2月26日判決 税務訴訟資料 第259号-36(順号11149)、最高裁平成21年12月4日判決 税務訴訟資料 第259号-231(順号11344)。なお、大和鋼管工業代表者事件を取り扱っている論文としては、藤井保憲「タックス・ヘイブン対策税制と租税条約」月刊税務事例(Vol.42 No.4)(2010.4)10-14頁、泉潤慈「タックス・ヘイブン対策税制(特定外国子会社利益合算課税制度)と租税条約第7条について」税法学(565)(2011.5)301-311頁、加藤義幸「個人所得税とタックスヘイブン税制-適用条件について-」税法学(569)(2013.6)305-322頁などがある。
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