「税理士損害賠償請求」
頻出事例に見る
原因・予防策のポイント
【事例140(所得税)】
土地を家屋とともに譲渡しなければならない旨の説明をしなかったため、結果として居住用財産の譲渡にならず、居住用財産の譲渡の特例が適用できなくなってしまった事例
税理士 齋藤 和助
《事例の概要》
令和Y年分の所得税につき、相続により取得した居住用財産の譲渡に際して「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」(以下単に「3,000万円の特別控除の特例」という)及び「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(以下単に「軽減税率の特例」という)の適用を相続人2人(被相続人の自宅に同居していた配偶者と長男)とも受けるべく、自宅の土地を相続人2人で2分の1ずつ相続したが、土地を家屋とともに譲渡しなければならない旨の説明をしなかったため、家屋は配偶者1人で相続してしまった。これに相続税申告後に気付いたことから、配偶者の家屋の持分2分の1を長男に贈与してから譲渡したが、贈与を受ける前に長男が引越していたため、居住用財産の譲渡にはならず、上記居住用財産の譲渡の特例が受けられなくなってしまった。これにより、上記特例が受けられなくなった所得税等につき過大納付が発生したとして賠償請求を受けた。
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