[無料公開中]「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例71(消費税)】 「「課税事業者届出書」を提出すべきところ誤って「課税事業者選択届出書」を提出したため、調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の「簡易課税制度選択届出書」の提出制限(平成22年改正)により「簡易課税制度選択届出書」の提出はなかったものとみなされてしまった事例」
筆者:齋藤 和助
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「税理士損害賠償請求」
頻出事例に見る
原因・予防策のポイント
【事例71(消費税)】
「課税事業者届出書」を提出すべきところ誤って「課税事業者選択届出書」を提出したため、調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の「簡易課税制度選択届出書」の提出制限(平成22年改正)により「簡易課税制度選択届出書」の提出はなかったものとみなされてしまった事例
税理士 齋藤 和助
《事例の概要》
平成X7年3月期から平成X9年3月期までの消費税につき、本来、提出する必要のない平成X5年3月期からの「課税事業者選択届出書」を提出し、平成X5年3月期と平成X6年3月期に調整対象固定資産を購入したため、平成X8年3月期まで原則課税の課税事業者として拘束されることとなった。
それにもかかわらず、平成X5年5月に提出できない平成X7年3月期からの「簡易課税制度選択届出書」を提出したため、届出はなかったものとみなされた。そして、これに気づくまでの3期分を簡易課税で申告してしまったため、原則課税で修正申告することとなり、修正税額につき損害賠償請求を受けた。
《賠償請求の経緯》
- 平成X2年4月
開業と同時に関与開始。 - 平成X3年3月
平成X3年3月期の課税売上高が1,000万円超となり、平成X5年3月期からの課税事業者が確定。 - 平成X3年5月
本来、「課税事業者届出書」を提出すべきところ、誤って提出する必要のない平成X5年3月期からの「課税事業者選択届出書」を提出。 - 平成X4年11月
機械装置(調整対象固定資産)を購入。 - 平成X5年5月
平成X5年3月期の消費税を原則課税で申告。本来、提出できない平成X7年3月期からの「簡易課税制度選択届出書」を提出。 - 平成X5年12月
車両運搬具(調整対象固定資産)を購入。 - 平成X6年5月
平成X6年3月期の消費税を原則課税で申告。 - 平成X7年5月
平成X7年3月期の消費税を税務署から郵送されてきた簡易課税用の申告書に従って簡易課税で申告。以後平成X9年3月期まで簡易課税で申告。 - 平成Y0年5月
平成X7年3月期からの「簡易課税制度選択届出書」は無効になることに気づき、平成X7年3月期から平成X9年3月期までの消費税については修正申告書、法人税等については更正の請求書を提出。 - 平成Y1年2月
依頼者より上記修正税額につき損害賠償請求を受ける。
《基礎知識》
◆調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の「簡易課税制度選択届出書」の提出制限(平成22年改正)(消法37③一)
平成22年度の税制改正により、課税事業者となることを選択した事業者が、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に、調整対象固定資産の課税仕入を行い、原則課税で申告をした場合には、調整対象固定資産の仕入れ等を行った課税期間から3年間、原則課税の課税事業者として拘束され、「簡易課税制度選択届出書」の提出はできない。
◆「簡易課税制度選択届出書」の提出がなかったものとみなされる場合(消法37④)
調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の「簡易課税制度選択届出書」の提出制限の適用を受ける課税事業者となることを選択した事業者が、課税事業者選択1期目及び2期目において、「簡易課税制度選択届出書」の提出後に調整対象固定資産の課税仕入を行った場合には、「簡易課税制度選択届出書」の提出はなかったものとみなされる。
◆課税事業者選択届出書(消法9④)
免税事業者が、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下である課税期間につき、「課税事業者選択届出書」をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、当該提出をした日の属する課税期間の翌課税期間(当該提出をした日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間については、納税義務は免除されない。
◆課税事業者届出書(消法57①一)
基準期間における課税売上高又は特定期間における課税売上高が1,000万円超となった事業者は「課税事業者届出書」を速やかに所轄税務署長に提出しなければならない。
《税理士の落とし穴》
「課税事業者届出書」を提出すべきところ、誤って「課税事業者選択届出書」を提出して調整対象固定資産の仕入れを行ったため、その後に提出した「簡易課税制度選択届出書」の提出がなかったものとみなされてしまった。
《税理士の責任》
依頼者は資本金900万円で平成X2年4月に設立され、税理士は設立と同時に関与していた。依頼者は設立初年度である平成X3年3月期から課税売上高が1,000万円超となり、平成X5年3月期からの課税事業者が確定していた。しかし、税理士は本来、「課税事業者届出書」を提出すべきところ、誤って提出する必要のない平成X5年3月期からの「課税事業者選択届出書」を提出し、平成X5年3月期と平成X6年3月期に調整対象固定資産の課税仕入を行い、原則課税で申告したため、平成22年改正により、平成X8年3月期まで原則課税の課税事業者として拘束され、「簡易課税制度選択届出書」の提出はできなかった。しかし、平成X5年5月に、平成X7年3月期からの「簡易課税制度選択届出書」を提出したため、提出がなかったものとみなされていた。
税理士はこれに気づかず、税務署から送付されてきた消費税申告書が簡易課税用であったことから、「簡易課税制度選択届出書」は有効に成立しているものと思い込み、平成X7年3月期から平成X9年3月期までの消費税を簡易課税で申告した。しかし、平成Y0年3月期の申告作業時に、「簡易課税制度選択届出書」は無効となることに気づき、平成X7年3月期から平成X9年3月期までの消費税については修正申告書を、法人税等については更正の請求書を提出した。
税理士は、依頼者より、修正申告となったのは、本来、提出する必要のない「課税事業者選択届出書」を提出した税理士の責任であるとして、追徴税額につき損害賠償請求を受けた。正しい届出書を提出していれば、平成22年改正の適用は受けず、修正申告にはならなかったことから、税理士に責任がある。
《予防策》
[ポイント②]
チェックリストを活用したダブルチェック体制の構築
届出書の提出ミスは消費税に限らず事故に直結する場合が多い。したがって、納税者に税制選択を求める届出書は、事前に十分な説明を行い、その選択を納税者に求め、「意思決定通知書」等文書による証拠を残すことが重要である。
今回のような単純なミスも事故につながるケースがあることから、申告時のような、届出書専用のチェックリストを作成し、担当者だけでなく、所長税理士又は有資格者等によるダブルチェック体制を構築することが必要である。
(了)
「「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント」は、毎月第4週に掲載されます。
連載目次
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント

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[事例1~事例70]
- 【事例1(贈与税)】
「相続時精算課税を選択していれば贈与税がかからなかったところ、暦年課税を選択したため、贈与税の支払いが発生し、支払った贈与税について損害賠償請求を受けた事例」
- 【事例2(法人税)】
「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の所得税の特例及び貸倒損失を計上して繰戻し還付を行わなかったことにつき損害賠償請求を受けた事例」
- 【事例3(所得税)】
「個人所有の賃貸建物を同族会社にサブリースしたところ、同族会社が受け取る管理料相当額が「著しく高額」として同族会社の行為計算の否認により更正処分を受けた事例」
- 【事例4(消費税)】
「合併事業年度の簡易課税制度の判定を納税義務の判定と同じであると思い込み、被合併法人の基準期間の課税売上高で行ってしまった事例」
- 【事例5(法人税)】
「退職の事実がないとして、税務調査により、代表取締役の役員退職給与が否認された事例」
- 【事例6(所得税)】
「被相続人から相続により取得した貸店舗について、被相続人の取得価額で引き継ぐべきところ、未償却残高で引き継いでしまった事例」
- 【事例7(贈与税)】
「住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税の特例を適用して申告したが、申告期限までに住宅用家屋の新築工事が完了していなかったことから、特例が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例8(法人税)】
「再生計画の認可の決定により預託金の一部が切り捨てられていたゴルフ会員権を代表者に時価で売却し、簿価と時価の差額を売却損として計上してしまった事例」
- 【事例9(消費税)】
「新設法人の期末資本金額で判定したため課税事業者と誤認し、設立初年度の設備投資に係る消費税の還付が受けられなかった事例」
- 【事例10(贈与税)】
「利用状況の異なる2棟の建物の敷地の一部について分筆せずに贈与税の配偶者控除を適用しようとした事例」
- 【事例11(事業所税)】
「事業所税の対象とならない月極駐車場の床面積を課税対象に含めて計算したため過大納付となった事例」
- 【事例12(所得税)】
「相続税対策のため、税理士の提案により、依頼者の所有する同族法人株式を発行法人に売却したが、みなし配当の計算を誤ったため、追徴税額が発生し、「正しい税額の説明を受けていれば売却は行わなかった。」として賠償請求を受けた事例」
- 【事例13(消費税)】
「特定目的会社の消費税選択につき「課税期間特例選択届出書」及び「簡易課税制度選択届出書」の提出を失念した事例」
- 【事例14(法人税)】
「親会社の減資により特定中小企業者に該当することとなり、「中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除」の適用ができたはずとして賠償請求を受けた事例」
- 【事例15(相続税)】
「「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」の提出を失念したため、「配偶者の税額軽減」及び「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用が受けられなくなった事例」
- 【事例16(法人税)】
「雇用促進税制の適用を満たしていたにもかかわらず、事前アドバイスを怠ったため、「雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除」の適用が受けられなくなった事例」
- 【事例17(消費税)】
「個別対応方式での申告が有利であったにもかかわらず、十分な検討を怠り、不利な一括比例配分方式で申告をしてしまった事例」
- 【事例18(法人税)】
「所得拡大促進税制の適用を満たしていたにもかかわらず、税理士がこれを適用せずに申告したため、「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」の適用が受けられなくなった事例」
- 【事例19(所得税)】
「上場株式等の配当等を、源泉分離課税による申告不要制度を選択して申告したところ、総合課税で申告しても純損失の繰越控除により、合計所得がゼロとなるため、総合課税が有利であった事例」
- 【事例20(相続税)】
「負担付贈与について、贈与者に譲渡課税が行われることを説明していなかったため、「正しい説明を受けていれば贈与は行わなかった。」として、損害賠償請求を受けた事例」
- 【事例21(消費税)】
「非課税売上対応課税仕入が多額にあったため、一括比例配分方式が有利であったにもかかわらず、非課税仕入との思い込みから不利な個別対応方式で申告してしまった事例」
- 【事例22(消費税)】
「特定期間の課税売上高が1,000万円超であり、かつ、給与等支給額の合計額が1,000万円超であったため、課税事業者となるにもかかわらず、事前に有利選択を行わなかったため、不利な原則課税となってしまった事例」
- 【事例23(法人税)】
「持株会社が関係会社から受ける配当に係る源泉所得税につき、完全支配関係であることから、所得がなければ全額還付になると説明して配当を実行させたが、配当計算期間中3ヶ月しか株式を所有していなかったため、按分計算により2分の1しか還付を受けることができなかった事例」
- 【事例24(法人税)】
「収用換地等の場合の所得の特別控除の適用が受けられたにもかかわらず、その適用をせずに申告してしまった事例」
- 【事例25(消費税)】
「設立事業年度を11ヶ月としたため、「特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例」により2期目から消費税の課税事業者となってしまった事例」
- 【事例26(相続税)】
「更正の請求期限を分割確定後1年であるものと誤認したため、期限を徒過し、特例の適用が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例27(法人税)】
「外国子会社合算税制において適用除外に該当しているにもかかわらず、別表の添付をしなかったため、適用除外が認められなかった事例」
- 【事例28(相続税)】
「経済産業大臣の認定手続を失念したため、「非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例」の適用を受けることができなくなってしまった事例」
- 【事例29(所得税)】
「配当控除を加味して総合課税で申告したところ、配当控除の適用が受けられないものであったため、申告不要制度を選択した方が有利であったとして賠償請求を受けた事例」
- 【事例30(消費税)】
「特定期間における課税売上高が5,000万円超であったため、簡易課税は選択できないものと誤認し、「簡易課税制度選択届出書」を提出しなかった事例」
- 【事例31(贈与税)】
「「相続時精算課税選択届出書」を別途送付としたため、期限後の提出となってしまい、贈与を錯誤として取り消した事例」
- 【事例32(法人税)】
「土地の売却益を圧縮するため、特定資産の買換えの圧縮記帳を適用して申告したが、土地の面積制限により修正申告となった事例」
- 【事例33(法人税)】
「「収用等のあった日」に「収用等の特別控除」を適用しなかったため、適用が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例34(法人事業税)】
「外形標準課税の資本割計算において、「特定子会社の株式又は出資に係る控除措置」を適用せずに申告してしまった事例」
- 【事例35(所得税)】
「平成26年分の所得税につき、平成25年分の確定申告書を期限後申告しなかったため、平成24年に生じた上場株式に係る譲渡損失の繰越控除の適用ができなくなってしまった事例」
- 【事例36(消費税)】
「課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する事業年度においては、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば、課税事業者を選択できたにもかかわらず、これを失念したため、設備投資に係る消費税の還付が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例37(所得税)】
「平成27年分の所得税につき、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算の特例」の適用が受けられたにもかかわらず、適用を失念したまま申告してしまった事例」
- 【事例38(財産評価)】
「無道路地として評価できた宅地を不整形地として評価してしまった事例」
- 【事例39(所得税)】
「遺産分割につき誤った説明をしたため「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例40(贈与税)】
「代表者及びその配偶者が所有する同族会社債権を放棄させたため、同族会社の株主間で株価上昇分の価値の移転が発生し、みなし贈与となった事例」
- 【事例41(消費税)】
「設立初年度より「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」により課税事業者となっていたが、これに気づかず、結果として不利な原則課税での申告となってしまった事例」
- 【事例42(贈与税)】
「居住用部分の床面積だけで判定したため、修正申告となり、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例」の適用が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例43(所得税)】
「居住用家屋の譲渡日を売買契約日で認識しなかったため、「居住用財産の買換え特例」の適用が受けられなかった事例」
- 【事例44(法人税)】
「交換差金の額が20%を超えたため、固定資産の交換の特例の適用ができなくなってしまった事例」
- 【事例45(法人税)】
「「エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却」に該当する太陽光発電設備を設置したが、即時償却の処理をせずに消耗品費で処理したため、税務調査で否認されてしまった事例」
- 【事例46(個人事業税)】
「不動産所得に係る個人事業税につき、貸付面積を誤記載したため、本来、納付不要であったにもかかわらず賦課決定額を納付していた事例」
- 【事例47(法人税)】
「国庫補助金等の圧縮記帳を行ったが、経理処理を誤ったため、損金経理がされていないとして税務調査で否認された事例」
- 【事例48(消費税)】
「たまたま土地の譲渡があった事業年度において「課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」の提出を失念してしまった事例」
- 【事例49(相続税)】
「借地権につき、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例が適用できたにもかかわらず、これを適用せずに申告してしまった事例」
- 【事例50(消費税)】
「移転補償金を課税売上高としていたため、基準期間の課税売上高が5,000万円超となり、原則課税で設備投資に係る消費税の還付を受けたが、税務調査による減額更正により、簡易課税となり、設備投資に係る消費税の還付が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例51(法人税)】
「「中小法人等」の範囲を誤認したため、欠損金の繰戻しによる還付請求を行わなかった事例」
- 【事例52(消費税)】
「特定期間における給与等支払額の合計額が1,000万円以下であったにもかかわらず、課税事業者と誤認し消費税の申告及び納付をしてしまった事例」
- 【事例53(相続税)】
「相続税の申告において同族会社の敷地の用に供している宅地につき「土地の無償返還に関する届出書」を提出せずに借地権を計上してしまった事例」
- 【事例54(法人税)】
「売掛金が回収不能となった事実を把握したが、その都度貸倒損失の計上をせず、まとめて貸倒損失を計上したため、税務調査で否認された事例」
- 【事例55(法人税)】
「関与税理士に代わり資本政策のみを実行し、署名押印を行った決算期につき、破産管財人から、過大納付消費税額を賠償するよう求められた事例」
- 【事例56(法人税)】
「株式移転完全子法人から設立の日以後最初に受ける配当は100%益金不算入になると説明し、多額の配当が実行されたが、実際には50%が益金算入となる配当であったため、正しい説明を受けていれば配当は行わなかったとして損害賠償請求を受けた事例」
- 【事例57(法人税)】
「「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」の適用にあたり、添付すべき計算明細書において「雇用者給与等支給増加額」を誤記載したため、過大納付税額が発生した事例」
- 【事例58(法人税)】
「別表の添付漏れ及び適用額明細書への記載漏れを理由に、中小企業倒産防止共済掛金の損金算入が認められなかった事例」
- 【事例59(消費税)】
「設立事業年度に決算期変更することにより、設立事業年度を短期事業年度にすることができたにもかかわらず、その説明をしなかったため、2期目から課税事業者になってしまった事例」
- 【事例60(消費税)】
「公表裁決事例(「個別対応方式による仕入税額控除額の計算に当たり、一括仕入れの調剤薬品等の仕入れを共通売上対応分であるとした用途区分に区分誤りはなかった」)を知り、所轄税務署で個別相談した結果、裁決と同様の計算が可能との回答を得たため、過去に遡って損害賠請求を受けた事例」
- 【事例61(所得税)】
「所得税の確定申告において、パソコンの不具合により電子申告が期限後になってしまい、65万円の青色申告特別控除が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例62(法人税)】
「法人成り初年度に「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(所得拡大促進税制)の適用が受けられたにもかかわらず、これを適用せずに申告してしまった事例」
- 【事例63(消費税)】
「委託販売等に係る手数料を課税売上高から控除できたにもかかわらず、これを控除せずに簡易課税で申告を行ってしまった事例」
- 【事例64(消費税)】
「特定期間で課税事業者になっていたことに気づかず、建物売却に係る消費税の納付が発生してしまった事例」
- 【事例65(法人税)】
「過大支払利子税制の適用を失念し、修正申告でこれを行ったため、超過利子額の損金算入ができなくなってしまった事例」
- 【事例66(所得税)】
「法人において支給した退職金のうち個人事業時代に該当する部分につき、退職金支給日の翌日から2ヶ月以内に所得税の更正の請求を行わなかったため、経費計上ができなくなってしまった事例」
- 【事例67(消費税)】
「当初申告において合同会社の持分譲渡を誤って不課税売上として計算し、一括比例配分方式有利で申告したが、修正申告において非課税売上に修正したところ、課税売上割合が著しく減少し、個別対応方式が明らかに有利となった事例」
- 【事例68(法人税)】
「2期連続期限後申告となったため、青色申告の承認が取り消され、欠損金額を翌期以降に繰り越すことができなくなってしまった事例」
- 【事例69(相続税)】
「相続人が契約取得した「立体買換特例」に係る買換資産は、被相続人の相続財産に含まれず、当該買換資産に係る未払金も債務控除の対象にはならないとして更正処分を受けた事例」
- 【事例70(所得税)】
「「3,000万円の特別控除」は適用できるという税理士の誤ったアドバイスにより、居住用マンションを同族会社へ譲渡したため、修正申告となった事例」
[事例71~]
- 【事例71(消費税)】 ★無料公開中★
「「課税事業者届出書」を提出すべきところ誤って「課税事業者選択届出書」を提出したため、調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の「簡易課税制度選択届出書」の提出制限(平成22年改正)により「簡易課税制度選択届出書」の提出はなかったものとみなされてしまった事例」
- 【事例72(法人税)】 ★無料公開中★
「経営力向上計画の申請を失念したため、「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の法人税の特別控除」及び「固定資産税の軽減特例」の適用を受けることができなくなってしまった事例」
- 【事例73(法人税)】
「資本金を1億円に減資し、中小法人になった場合のメリットを聞かれた際、「繰越欠損金を制限なく控除できる」旨の説明を行わなかったため、減資のタイミングが遅れ、繰越欠損金を当期所得の50%しか控除できなくなってしまった事例」
- 【事例74(消費税)】
「賃貸建物新築に係る消費税の還付を受けるため「課税事業者選択届出書」を提出したが、「簡易課税制度選択不適用届出書」の提出を失念したため、簡易課税での申告となり、還付を受けることができなくなってしまった事例」
- 【事例75(法人税)】
「渡切交際費の処理を誤回答したため、定期同額給与として認められず、税務調査で否認され、修正申告となった事例」
- 【事例76(贈与税)】
「「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除」を適用して申告したが、申告期限までの担保提供を失念したため、納税猶予が認められなかった事例」
- 【事例77(所得税)】
「上場株式等の譲渡につき「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」の適用を受けようとしたが、当初申告をしていなかったため、適用が認められなくなってしまった事例」
- 【事例78(贈与税)】
「贈与税の期限内申告の提出を失念したため、「医療法人の持分の放棄があった場合の贈与税の課税の特例」の適用ができなくなってしまった事例」
- 【事例79(所得税)】
「移転補償金を、一時所得として申告すべきところ雑所得で申告してしまった事例」
- 【事例80(所得税)】
「平成31年4月1日前に譲渡したため、老人ホームに入居してから相続を迎えた空き家の譲渡について、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用が受けられなかった事例」
- 【事例81(所得税)】
「概算取得費(売却代金の5%相当額)を使用した方が有利であったにもかかわらず、不利な実際の取得費を使用して申告してしまった事例」
- 【事例82(所得税)】
「未経過固定資産税の精算金により譲渡対価の合計額が1億円を超えたため、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用が受けられなくなってしまった事例」
- 【事例83(個人住民税)】
「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用を受けるため、源泉徴収がある特定口座の特定上場株式等の配当や譲渡に係る所得を含めて申告したが、住民税において申告不要制度を選択しなかったため、所得税は還付になったが、住民税及び各種保険料は増加してしまい、かえって不利になってしまった事例」
- 【事例84(相続税)】
「「農地等の納税猶予の特例」の適用を受けて相続税の申告をしたが、宅地の評価誤りにより修正申告となったため、結果として納税猶予額が過少となってしまった事例」
- 【事例85(法人税)】
「建物の取得価額と取壊費用を取壊し時の損金の額に算入できたにもかかわらず、土地の取得価額に算入して棚卸資産として繰越処理をしたため、実効税率の差により、過大納付となってしまった事例」
- 【事例86(法人税)】
「再生計画の認可決定により、期限切れ欠損金を優先適用すべきところ、資産の評価換えについて誤った判断を行い、青色欠損金を優先適用してしまった事例」
- 【事例87(法人事業税)】
「外形標準課税の付加価値割の計算において、純支払賃借料の計算上、含めない事務所賃貸料に係る管理費を含めて計算し、報酬給与額の計算上、含めるべき現物給与及び出向者に係る給与負担金相当額を含めずに計算したため、トータルで過大納付となった事例」
- 【事例88(所得税)】
「相次相続控除により納付税額がゼロであったことから「取得費加算の特例」の適用はないものと思い込み、適用せずに申告してしまった事例」
- 【事例89(消費税)】
「同族会社に対する貸付金を減らすため建物による代物弁済を実行したが、簡易課税を選択しており建物取得に係る消費税の還付が受けられないことから、錯誤で取り消し、原則課税に戻してから再度実行したため、移転費用が二重にかかってしまった事例」
- 【事例90(法人税)】
「売却価額の高い順から1,500頭に「肉用牛の免税特例」を適用したため、1頭あたりの上限金額を超過して適用している頭数につき税務調査で否認され、追加適用ができなくなってしまった事例」
- 【事例91(法人税)】
「「事前確定届出給与に関する届出書」に記載した金額と異なる役員給与を税理士が給与計算し振込処理したため、税務調査で否認され、その全額が損金不算入となってしまった事例」
- 【事例92(法人税)】
「「給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除」の適用にあたり、雇用者給与等支給額等を誤転記したため、特別控除額を限度額まで適用できなくなってしまった事例」
- 【事例93(消費税)】
「「調整対象固定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例」により「課税事業者選択不適用届出書」を提出することができない期間中に同届出書を提出したため、届出書の提出がなかったものとみなされてしまった事例」
- 【事例94(相続税)】 1/28公開
「特定事業用及び特定居住用宅地等に該当する借地権の計上を失念したため、結果として小規模宅地の選択誤りとなってしまった事例」
筆者紹介
齋藤 和助
(さいとう・わすけ)
税理士
齋藤和助税理士事務所東京都出身 法政大学卒
平成12年 税理士試験合格
平成13年 税理士登録
平成15年 東京都千代田区にて税理士として独立開業
TAC税法実務講座相続税法講師
長年にわたり税賠保険事故の調査を担当【主要著書】
・冊子「事例で確認!消費税実務のうっかりミス対応策」(清文社)
・『税理士損害賠償請求事例にみる事故原因と予防策』(清文社) 本誌連載を単行本化!!
・『税理士の専門家責任とトラブル未然防止策』共著(清文社)
・『FP技能士検定試験集中レッスン』共著(成美堂)
・『パーフェクトFP技能士入門』共著(金融財政事情研究会)
・『法人税是否認事例詳解』共著(税務経理協会)
・『相続税贈与税の実務』(TAC出版)
など
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