〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領
《退職給付債務・退職給付引当金》編
【第５回】
「自社積立の退職一時金制度
（自社退職金規程に基づく確定給付型）を採用し、
かつ、その一部について確定拠出型年金制度を
併用している場合」
公認会計士・税理士 前原 啓二
自社積立の退職一時金制度（自社退職金規程に基づく確定給付型）を採用し、かつ、その一部について確定拠出型年金制度を併用している場合において、下記の方法を適用する設例
◆適用方法⇒期末自己都合要支給額から確定拠出型年金制度より給付される額を除いた金額でもって退職給付債務とする方法
【設例５】
当社（３月決算、当期：X1年４月１日～X2年３月31日）は、退職給付制度として退職時に一時金を支給することとしています。その一時金の額の算定は、退職金規程に定めています。
退職金規程に基づいて算定した要支給額は、次のとおりです。
当社は退職一時金制度について中小企業退職金共済制度を併用しており、独立行政法人勤労者退職金共済機構へ掛金を支払っています。当期の掛金は3,600,000円です。
当期の退職者は１名で、その者の退職金規程に基づく退職一時金支給額は2,000,000円です。そのうち勤労者退職金共済機構からの給付額は900,000円（同機構から直接退職者へ支給）で、それらの差額1,100,000円を当社が支給しました。この退職者の前期末退職給付引当金残高は1,050,000円（「前期末自己都合要支給額－前期末における同機構からの退職金試算額」と同額）です。
勤労者退職金共済機構から送付されてきた前期末及び当期末の各時点における退職金試算結果表は、次のとおりです。
退職金試算結果表
この表はX1年３月31日に退職するとしたならば、勤労者退職金共済機構から支給される退職金の試算額（X1年３月分までの掛け金を納付した場合）です。
退職金試算結果表
この表はX2年３月31日に退職するとしたならば、勤労者退職金共済機構から支給される退職金の試算額（X2年３月分までの掛け金を納付した場合）です。
前期末貸借対照表の退職給付引当金残高は25,000,000円。
当期末決算整理前残高試算表の退職給付引当金残高は23,900,000円。
適用時差異については、過去に全額費用処理済です。
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