租税争訟レポート
【第85回】
「所得区分と損益通算/給与所得を有する社会保険労務士の相談業務に係る損失
(さいたま地方裁判所令和6年12月11日判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
【判決の概要】
〈さいたま地方裁判所令和6年12月11日判決の概要〉
さいたま地方裁判所令和6年12月11日判決
さいたま地方裁判所令和5年(行ウ)
第49号更正処分取消請求事件(却下・棄却)(控訴)
TAINSコード:Z888-2794
[原告]
社会保険労務士であり、かつ給与所得がある個人
[被告]
国
処分行政庁:上尾税務署長
[争点]
(1) 平成28年分更正処分から令和2年分更正処分までの取消しを求める部分の適法性
(2) 相談業務から生じた所得は事業所得又は雑所得のいずれに該当するか
(3) 処分行政庁による調査に各処分の取消原因となる瑕疵があったか
(4) 処分行政庁による各処分の理由の付記に不備があったか
[判決]
却下・棄却(控訴)
【事案の概要】
青色申告の承認を受けている、社会保険労務士である原告が、平成28年分から令和2年分までの所得税及び復興特別所得税について、社会保険労務士として行った相談業務から生じた所得は事業所得に該当するとの前提に立って他の所得金額と損益通算する内容の確定申告をしたのに対し、処分行政庁である上尾税務署長は、相談業務から生じた所得は事業所得には該当せず、雑所得に該当するから、他の所得との損益通算はできないなどとして、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をした。
本件は、原告が、①相談業務から生じた所得は雑所得ではなく事業所得に該当する、②上尾税務署長による各処分の前提となる調査に各処分の取消原因となる瑕疵があった、③各処分の理由の付記に不備があったから、各処分は違法であると主張して、被告に対し、その取消しを求めるとともに、原告が各処分に従って令和4年3月18日に納付した37万800円につき、各処分の取消しがされたときは債務不履行となると主張して、同金員に対する令和4年3月18日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
【争点】
(1) 平成28年分更正処分から令和2年分更正処分までの取消しを求める部分の適法性
(2) 相談業務から生じた所得は事業所得又は雑所得のいずれに該当するか
(3) 処分行政庁による調査に各処分の取消原因となる瑕疵があったか
(4) 処分行政庁による各処分の理由の付記に不備があったか
【さいたま地方裁判所の判断】
本稿では、原告が相談業務に従事したことによって生じた所得が、事業所得又は雑所得のいずれの所得に区分されるかが中心的な争点であるため、まずは、前掲の争点(2)に対する原告と被告双方の主張を確認した上で、裁判所の判断を検討したい。
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