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実務必須の
[重要税務判例]
【第7回】
「ねずみ講事件」
~最判平成16年7月13日(集民214号751頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
ねずみ講事件
最判平成16年7月13日(集民214号751頁)
《概要》
今回紹介する判例は、B総研に対するYらの法人税の更正処分等が無効であるとの主張が退けられたという事案である。
A(個人)は、無限連鎖講(いわゆるねずみ講)を主宰していたが、税務対策等のため社団化することとし(B総研)、B総研が、法人でない社団として、法人税の申告等を行った。しかし、Y1税務署長は、B総研の申告が過少申告であったとして、B総研に対し更正処分等を行い、これに伴い、Y2(県)とY3(市)も市県民税の更正処分を行った。
その後、Aが破産してXが破産管財人となったが、Xは、B総研は法人でない社団としての実体を欠くから法人税等に関する各更正等は無効であるとして争った(先行する同種事案やAの破産事件において、B総研の社団性が否定されたという背景事情があった)。しかし、最高裁は、各更正等は当然に無効とは言えないとして、Xの主張を退けた。
《関係図》
▷争点
Yらによる各更正等は、無効か。
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