〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例
【第58回】
「中央出版事件
-旧信託法下における外国籍の孫への海外信託贈与-
(地判平23.3.24、高判平25.4.3、最判平26.7.15)(その3)」
~(平成19年改正前)相続税法4条1項、2項4号、5~9条、
(平成18年改正前)信託法1条、(平成18年改正後)信託法2条~
税理士 中野 洋
5 評釈
(1) 争点1
信託行為該当性について、原審では、借用概念(統一説)により結論を導いている。本件の争点1~3において「信託の準拠法とされた米国州法でなく日本法を参照していることは、日本法の前提とする信託の概念を参照していると理解することもできる」(※2)という評価がある。これは、米国州法に基づく信託を、米国州法に当てはめて判断するのではなく、わが国の信託法に当てはめて判断することを妥当とするものである。さらに「本判決は、契約に用いたアメリカ州法ではなく、その契約内容を検討し、それに即した日本法を適用して本事件を解決している」(※3)と、同様に肯定的に評価する意見もある。
(※2) 田中啓之「米国州法を準拠法とする信託の受益者に対する贈与税の課税が適法とされた事例」ジュリスト1460号(2013年)9頁
(※3) 木村弘之亮「外国籍の孫への海外信託贈与」税研178号(2014年)194頁
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