「税理士損害賠償請求」
頻出事例に見る
原因・予防策のポイント
【事例2(法人税)】
税理士 齋藤 和助
《事例の概要》
甲社の業績悪化に伴い、金融機関からの借入金返済のため、連帯保証人となっていた代表者一族の所有する不動産を売却する必要が生じた。
平成22年に代表取締役であるA氏が所有する福岡の物件を売却し、うち1億4,000万円を甲社の借入金返済に充当した。
さらに平成24年に、A氏の実母であり甲社の役員であるB氏が底地を所有しA一族のグループ会社である乙社が建物を所有する東京のビルを売却し、B氏の売却代金の一部9,000万円を甲社の借入金返済に充当し、乙社の売却代金1億7,000万円を甲社に貸し付けた。
税理士は、平成22年分及び平成24年分のこれらの譲渡取引につき「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の所得税の特例(所得税法64条2項)」を適用せずに申告した。さらに、甲社の平成24年9月期の法人税において、甲社に貸し付けた売却代金につき、貸倒処理をせずに申告を行った。
A氏が別の税理士に相談したところ、一連の取引については納税の必要がないと言われ、その税理士が平成22年分、平成24年分の所得税申告についてはそれぞれ更正の申出、更正の請求を、平成24年9月期の乙社の法人税申告については平成25年3月期(決算期を3月に変更)で貸倒処理をして繰戻し還付を行ったところ、そのすべてが認められた。
そこで、これら一連の取引について回復できなかった税額(具体的には、乙社の繰戻し還付ができなかった地方税額1,200万円)の賠償及び甲社及び乙社の顧問料500万円の返還並びに別の税理士に支払った報酬1,000万円の返還請求を受けた。
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