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実務必須の
[重要税務判例]
【第46回】
「萬有製薬事件」
~東京高判平成15年9月9日(高等裁判所民事判例集56巻3号1頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
萬有製薬事件
(東京高判平成15年9月9日(高等裁判所民事判例集56巻3号1頁))
《概要》
製薬会社X社は、医療研究者らから医学論文の英文添削を請け負い、これを海外の添削業者A社に外注していた。その際、X社は、A社に対し、医療研究者らから受領する添削料金の3倍以上の料金を支払い、この差額分を自ら負担していた。
そこで、Y税務署長は、当該負担額は、租税特別措置法61条の4の交際費等に該当するため、損金には算入されないとして、X社に対し、更正処分を行った。これに対し、X社が、当該負担額は、交際費ではなく、損金の額への算入が認められる寄付金に該当すると主張して、更正処分の取消しを求めたのが本件である。
《関係図》
▷争点
法人の支出は、どのような場合に租税特別措置法61条の4の「交際費等」に該当するか。
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