租税争訟レポート
【第26回】
「債務免除益と源泉所得税の納税告知処分(最高裁判決)」
税理士・公認不正検査士(CFE)
米澤 勝
最高裁判所平成27年10月8日判決
原審:広島高等裁判所岡山支部平成26年1月30日判決
第1審:岡山地方裁判所平成25年3月27日判決
[被上告人(原告・被控訴人)]
組合(農産物の買付けを主たる事業とする権利能力のない社団)
[上告人(被告・控訴人)]
国(処分行政庁:倉敷税務署)
[争点【第1審】]
(1) 本件債務免除益が給与等に該当するか
(2) 本件債務免除益を源泉所得税額の計算上給与等の金額に算入すべきか
(3) 本件債務免除の錯誤無効の主張の可否
[判決]
【最高裁判所】
原判決を破棄する。
広島高等裁判所に差し戻す。
【広島高等裁判所岡山支部】
本件控訴を棄却する。
【岡山地方裁判所】
倉敷税務署長が原告に対し平成22年7月20日付けでした平成19年12月分の源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を取り消す。
【事案の概要】
被上告人が、その理事長であったAに対し、同人の被上告人に対する借入金債務の免除をしたところ、所轄税務署長から、上記債務免除に係る経済的な利益がAに対する賞与に該当するとして、給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を受けたため、上告人を相手に上記各処分取消しを求める事案である。
第1審は、Aが、本件債務免除に係る債務約48億円を含む52億円を超える債務を負っており、一方、Aには約2億8,000万円の資産しかなかったことから、本件債務免除は、所得税基本通達36-17(以下、「基通36-17」という)本文の規定の適用があり、源泉所得税額の計算上これを給与等の金額に算入すべきものしてされた本件各処分は、違法であり、取り消されるべきであるとした。
国は第1審判決を不服として控訴したが、原審である広島地方裁判所岡山支部においても、本件債務免除の主たる理由はAの資力喪失により弁済が著しく困難であることが明らかになったためであると認めるのが相当であると判示して、控訴を棄却する判決を下したため、国が上告したものである。
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