〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例
【第23回】
「住友銀行外税控除否認事件
-受益者条項からみたケース別否認類型の検討-
(地判平13.5.18、高判平14.6.14、最判平17.12.19)(その2)」
~法人税法69条ほか~
税理士 畠山 和夫
《(その1)はこちら》
1 はじめに
2 日本の外税控除余裕枠肩代わりスキーム
3 S銀二事件の事実及び背景
(1) S銀二事件の事実の概要
(2) S銀二事件共通の取引条件ポイント
4 主な課税減免規定の適用否認事由に関する争点整理
(1) 否認事由の項目例示
(2) 主な否認事由の争点整理
(3) 7狭義及び8広義(制度濫用理論)の課税減免規定限定解釈に関する賛成反対意見
(4) まとめ
5 S銀二事件のケース別の租税条約・外国法令に対する違反性
(1) 外税控除と租税条約(矢内一好「外国税額控除事案の最高裁判決」税務弘報54巻4号、158頁より引用、括弧内は筆者追記)
外国税額控除事案は、租税条約の関係する、オーストラリア源泉税を吸収するスキーム(S銀行R事件)と、租税条約の関係しない、ニュージーランド源泉税を吸収するスキーム(W銀行事件)、クック諸島源泉税を吸収するスキーム(D銀行事件)、メキシコ源泉税を吸収するスキーム(S銀行P事件)に分けることができる。メキシコスキームが行われた当時(平成3年)、日本とメキシコの間に租税条約はなく(日本・メキシコ租税条約は平成8年に発効)、クック諸島は、ニュージーランドの自治領(準独立国)であり、タックスヘイブンであることから、日本・ニュージーランド租税条約では、その適用地域から除かれている。日本・ニュージーランド租税条約に利子所得に関する規定はない。オーストラリアの場合、非居住者の利子所得に対する源泉徴収は、国内法の税率と租税条約の限度税率が10%とおなじである。
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