〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例
【第56回】
「中央出版事件
-旧信託法下における外国籍の孫への海外信託贈与-
(地判平23.3.24、高判平25.4.3、最判平26.7.15)(その1)」
~(平成19年改正前)相続税法4条1項、2項4号、5~9条、
(平成18年改正前)信託法1条、(平成18年改正後)信託法2条~
税理士 中野 洋
- 名古屋地裁:平成23年3月24日判決【税資第261号(順号11654)】(TAINSコード:Z261-11654)
- 名古屋高裁:平成25年4月3日判決【税資第263号(順号12192)】(TAINSコード:Z263-12194)
- 最高裁:平成26年7月15日決定(不受理)【税資第264号(順号12505)】(TAINSコード:Z264-12505)
1 事案の概要
X(原告・被控訴人)の祖父Fは、平成16年8月4日に米国ニュージャージー州法に準拠して、Fを委託者、米国の信託銀行G社を受託者(以下単に「G」)、Xを受益者とし、券面額500万ドルの米国債を信託財産とする信託を設定したところ、処分行政庁(以下「Y」)はこの信託行為につき平成19年改正前相続税法4条1項(以下、単に「4条1項」)を適用して贈与税の決定処分等をしたことから、Xがその取消しを求めて提訴した事案である。
Xの母Bは、日本を出国した直後に米国でXを出産し、Xは米国籍のみを取得している。Xは、信託行為時において生後約8ヶ月の乳児であったが、本件信託契約後に日本に帰国している。日本国籍を有する父A及び母Bとの間には、Xの他にも長男C、三男Dがおり、Xは二男である。FはAの父親であり、Xからみれば祖父にあたる。
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