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実務必須の
[重要税務判例]
【第96回】
「南西通商株式会社事件」
~最判平成7年12月19日(民集49巻10号3121頁)~
弁護士 菊田 雅裕
-本連載の趣旨-
本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。
税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。
本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。
このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。
なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。
▷今回の題材
南西通商株式会社事件
最判平成7年12月19日(民集49巻10号3121頁)
《概要》
X1社は、X2が実質的に全額出資している株式会社であり、X2がその代表取締役を務めていた。X1社は、昭和55年から61年にかけて、A銀行の株式を1株当たり210~230円で合計15万株取得した(1株平均225円)。その後、X1社は、X2に対し、昭和63年4月1日にA銀行の株式14万株を、平成元年3月31日にA銀行の株式1万株を、それぞれ1株当たり225円で譲渡した(なお、当時、当該株式に取引相場なし)。
これに対し、Y税務署長は、X1社からX2への各譲渡は時価と比較して低廉な価格でなされたものであるとして、X1社に対しては、時価との差額に相当する金額を益金に算入する更正処分を、X2に対しては、時価との差額に相当する金額の経済的利益を受けたとして、同金額を給与所得とする更正処分を、それぞれ行った(なお、Y税務署長は、昭和63年4月1日時点では1株280円、平成元年3月31日時点では1株430円と認定)。
X1社・X2(Xら)は、これを不服として、各処分の取消しを求める訴訟を提起した。最高裁は、Xらの主張を認めなかった。
《関係図》
▷争点
1 譲渡時における適正な価額より低い対価をもって資産の譲渡が行われた場合、当該譲渡は、法人税法22条2項(当時)にいう有償譲渡に当たるか、無償譲渡に当たるか。
2 譲渡時における適正な価額より低い対価をもって資産の譲渡が行われた場合、益金の額に算入すべき収益の額は、どのような金額となるか。
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