〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例
【第3回】
「グラクソ事件(最判平21.10.29)(その3)」
~租税特別措置法66条の6、日星租税条約7条1項、ウィーン条約法条約32条~
税理士 中野 洋
《(その1)はこちら》
連載にあたり塾頭から
1 事件の背景
2 事件の概要
3 X社の主張(7条1項は経済的二重課税を禁止する)
4 判示1(7条1項は法的二重課税を禁止するにとどまる)
5 検討
6 7条1項が争点となった理由
《(その2)はこちら》
7 判示2(コメンタリーが「解釈の補足的手段」となること)
8 遡及解釈の問題
9 補足意見
本判決には涌井裁判官の補足意見が出されている。これは、P社における事業所得の大部分が株式譲渡益から構成されている点に触れたもので「仮に本件における上告人の日星租税条約違反の主張に理由があるとされた場合においても、それによって本件課税処分が違法とされるのは、そのうち子会社に留保された未処分の『企業の利得』(事業所得)に対応する部分だけであって」という涌井裁判官の補足意見は、事業所得の中に株式の譲渡収益が含まれている場合、7条1項の事業所得の問題ではなく、日星租税条約第13条の譲渡収益(以下、単に「13条」)の問題であることを指摘している(※9)。
(※9) 日星租税条約7条6項では、利子・配当・譲渡収入など、他の特定の所得条項に該当するものについては、7条1項に優先して適用されることが規定されている。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。