〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例
【第47回】
「双輝汽船(株)タックスヘイブン便宜置籍船事件
-特定外国子会社に生じた欠損金の損金算入の可否-
(審裁平13.12.21、地判平16.2.10、高判平16.12.7、最判平19.9.28)(その3)」
~租税特別措置法66条の6第1から3項、法人税法11条ほか~
税理士 畠山 和夫
《(その1)はこちら》
1 はじめに
(1) CFC税制とは
(2) 双輝汽船事件
(3) 便宜置籍船(FOC:flag of convenience ship)の概要
2 本事件の概要
(1) 原告の法人税及び消費税等の確定申告
(2) 税務署による更正処分等
(3) Xの異議申立て
(4) 本事件の概要図
3 論点整理
(1) 区分
(2) 論点
(3) 重要な争点
《(その2)はこちら》
4 審判及び裁判の論点別検討
(1) 本制度の立法趣旨と内容及び租税回避の意図と該当性(論点❶❷)
(2) 1項課税要件及び適用可否(論点❸❹)
(3) 2項2号の趣旨と内容及び適用可否(論点❺❻)
(4) 損益の帰属:実質課税原則と法的独立性(論点❼)
(5) 法11条と本条の関係(論点❽)
(6) 民法1条2項の適用可否(論点❾)
5 便宜置籍会社の欠損に関する総合的検討
(1) 本事件に適用されるべき法令
① 本条と法11条の関係についての諸説
【競合関係説】
(ⅰ) 独立適用説
両者は独立した規定であり、それぞれ異なった対象領域が規定されているが、両者が競合する場合には、まず法人税法の特別法である本税制の規定(本条)を適用するのが相当である。したがって、子会社が適用除外に該当しない限り本税制が適用されることになり、法11条を適用する余地は排除される(本事件の高裁及び最高裁の立場)。
(ⅱ) 非独立適用説
法11条が一般法で、本条が特別法であるという両者の関係を確認したうえで、明文の規定により措置法に定められていない事項(例えば、欠損を生じた場合)については、一般法(法人税法)に依拠して対処すべきである(本事件の松山地裁の立場)。
【協働関係説】(下記の参考文献①に基づいて筆者が組み立てた説である)
法的三段論法に当てはめれば、法11条は小前提となる「事実認定」について規定し、本条は大前提となる「課税要件」について規定すると理解する。したがって、両条は法的三段論法の役割分担を異にし、補完的・協働的関係となる。
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