〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例
【第62回】
「日産自動車事件-外国子会社合算税制の非関連者基準-(地判令4.1.20、高判令4.9.14、最判令6.7.18)(その2)」
~旧租税特別措置法68条の90、旧租税特別措置法施行令39条の117第8項5号~
税理士 中野 亘
3 判旨
(1) 東京地裁令和4年1月20日判決(令和2年(行ウ)第86号):請求棄却(国側勝訴)
国内の親会社が実質的には海外子会社に保険料を支払う場合でも、直接の保険契約とするのではなく、いったん非関連者との保険契約を締結することにより、非関連者基準が充足されると解釈され、外国子会社合算税制の潜脱となるおそれがあったことから、平成7年度の税制改正において、再保険に係る収入保険料については、その保険の目的が非関連者の有する資産又は非関連者の負う損害賠償責任である保険に係る収入保険料に限り、非関連者からの収入保険料に含めて、非関連者基準の判定を行うこととする判断基準(本件括弧書き)が明示された・・・趣旨に照らせば、本件括弧書きは、関連者取引に再保険取引の形で非関連者を介在させることにより非関連者基準が充足されることを制限するため、特定外国子会社等が、形式的には非関連者から再保険に係る保険料を収受している場合であっても、元受保険契約により保障や填補を得ようとする対象が関連者について生じる経済的不利益である場合には、当該再保険契約は、実質的には関連者の保険危険を負担するものにほかならないとして、これを非関連者に係る収入保険料には含めずに非関連者基準の判定を行うこととしたものと解される。そうすると、本件括弧書きにいう「保険の目的」とは、保険事故が生じた際に保険契約に基づき保険金の支払を受けることにより保障、填補を得ようとする対象のことをいうものと解するのが相当である。
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