公開日: 2024/01/09
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《速報解説》 金融庁が令和6年能登半島地震に係る有報等の提出期限の取扱いを公表~実務上の支障が生じている場合、財務(支)局への相談を推奨~

筆者: 阿部 光成

※この記事は会員以外の方もご覧いただけます。

〔編集部追記:2024/1/15〕
1/12付の下記情報の公表に伴い、赤字部分を追記しました。
「令和6年能登半島地震に関連する有価証券報告書等の提出期限に係る措置について

《速報解説》

金融庁が令和6年能登半島地震に係る有報等の提出期限の取扱いを公表

~実務上の支障が生じている場合、財務(支)局への相談を推奨~

 

公認会計士 阿部 光成

 

令和6年1月1日の石川県能登地方を震源とする地震により、被害に遭われた皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

 

Ⅰ はじめに

2024(令和6)年1月5日、金融庁は、「令和6年能登半島地震に関連する有価証券報告書等の提出期限について」を公表した。

これは、令和6年能登半島地震の発生に伴う対応である。

その後、2024(令和6)年1月12日に、後述するように、追加の措置が公表された。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 金融庁の公表

次のことについて記載している。

ご質問などについては、遠慮なく所管の財務(支)局までご連絡していただきたいとのことである。

 金融商品取引法に基づく開示書類(有価証券報告書及び内部統制報告書、四半期報告書、半期報告書)について、今般の令和6年能登半島地震の影響に伴って、やむを得ない理由により期限までに提出できない場合は、財務(支)局長の承認により提出期限を延長することが認められている。

 臨時報告書についても、地震という不可抗力により臨時報告書の作成自体が行えない場合には、そのような事情が解消した後、可及的速やかに提出することで、遅滞なく提出したものと取り扱われる。

 上記のほか、今般の地震により実務上の支障が生じているなどの問題があれば、所管の財務(支)局に相談する。

 

Ⅲ 金融庁の追加の措置の公表

2024(令和6)年1月11日、「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」に基づく「令和六年能登半島地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」が公布された。

同政令により、特別措置として、今般の地震の影響により、有価証券報告書及び内部統制報告書、四半期報告書等の金融商品取引法に基づく開示書類を本来の提出期限までに提出することができなかった場合であっても、2024(令和6)年4月30日までに提出すれば、行政上及び刑事上の責任を問われないこととなるとのことである。

次のことについても記載している。

① 本来の提出期限までに開示書類が提出できないおそれがある場合には、所管の財務(支)局に連絡して頂きたい。この場合には、提出期限延長のための財務(支)局長への承認申請は不要である。

② 2024(令和6)年4月30日になっても、引き続き、開示書類を提出することができないような状況にある場合には、所管の財務(支)局長の承認により提出期限をさらに延長することが認められているので、所管の財務(支)局まで相談していただきたい。

③ 提出期限の確定しない臨時報告書については、地震という不可抗力により臨時報告書の作成自体が行えない場合には、そのような事情が解消した後、可及的速やかに提出することで、遅滞なく提出したものと取り扱われる。

④ 上記のほか、今般の地震により実務上の支障が生じているなどの問題があれば、所管の財務(支)局に相談する。

*  *  *

なお、国税庁からは2024(令和6)年1月9日付で「令和6年能登半島地震に係る国税の申告・納付等の期限の延長について」が公表されている。

(了)

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〔編集部追記:2024/1/15〕
1/12付の下記情報の公表に伴い、赤字部分を追記しました。
「令和6年能登半島地震に関連する有価証券報告書等の提出期限に係る措置について

《速報解説》

金融庁が令和6年能登半島地震に係る有報等の提出期限の取扱いを公表

~実務上の支障が生じている場合、財務(支)局への相談を推奨~

 

公認会計士 阿部 光成

 

令和6年1月1日の石川県能登地方を震源とする地震により、被害に遭われた皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

 

Ⅰ はじめに

2024(令和6)年1月5日、金融庁は、「令和6年能登半島地震に関連する有価証券報告書等の提出期限について」を公表した。

これは、令和6年能登半島地震の発生に伴う対応である。

その後、2024(令和6)年1月12日に、後述するように、追加の措置が公表された。

文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅱ 金融庁の公表

次のことについて記載している。

ご質問などについては、遠慮なく所管の財務(支)局までご連絡していただきたいとのことである。

 金融商品取引法に基づく開示書類(有価証券報告書及び内部統制報告書、四半期報告書、半期報告書)について、今般の令和6年能登半島地震の影響に伴って、やむを得ない理由により期限までに提出できない場合は、財務(支)局長の承認により提出期限を延長することが認められている。

 臨時報告書についても、地震という不可抗力により臨時報告書の作成自体が行えない場合には、そのような事情が解消した後、可及的速やかに提出することで、遅滞なく提出したものと取り扱われる。

 上記のほか、今般の地震により実務上の支障が生じているなどの問題があれば、所管の財務(支)局に相談する。

 

Ⅲ 金融庁の追加の措置の公表

2024(令和6)年1月11日、「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」に基づく「令和六年能登半島地震による災害についての特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」が公布された。

同政令により、特別措置として、今般の地震の影響により、有価証券報告書及び内部統制報告書、四半期報告書等の金融商品取引法に基づく開示書類を本来の提出期限までに提出することができなかった場合であっても、2024(令和6)年4月30日までに提出すれば、行政上及び刑事上の責任を問われないこととなるとのことである。

次のことについても記載している。

① 本来の提出期限までに開示書類が提出できないおそれがある場合には、所管の財務(支)局に連絡して頂きたい。この場合には、提出期限延長のための財務(支)局長への承認申請は不要である。

② 2024(令和6)年4月30日になっても、引き続き、開示書類を提出することができないような状況にある場合には、所管の財務(支)局長の承認により提出期限をさらに延長することが認められているので、所管の財務(支)局まで相談していただきたい。

③ 提出期限の確定しない臨時報告書については、地震という不可抗力により臨時報告書の作成自体が行えない場合には、そのような事情が解消した後、可及的速やかに提出することで、遅滞なく提出したものと取り扱われる。

④ 上記のほか、今般の地震により実務上の支障が生じているなどの問題があれば、所管の財務(支)局に相談する。

*  *  *

なお、国税庁からは2024(令和6)年1月9日付で「令和6年能登半島地震に係る国税の申告・納付等の期限の延長について」が公表されている。

(了)

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筆者紹介

阿部 光成

(あべ・みつまさ)

公認会計士
中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂第2版〕』(編著、商事法務)がある。

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