公開日: 2024/07/25 (掲載号:No.579)
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〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第51回】「寄与度利益分割法の適用が認められた事例(地判平24.4.27、高判平25.3.28、最判平27.1.16)(その2)」~租税特別措置法66条の4第1項、2項~

筆者: 水野 正夫

〈一角塾〉

図解で読み解く国際租税判例

【第51回】

「寄与度利益分割法の適用が認められた事例
(地判平24.4.27、高判平25.3.28、最判平27.1.16)(その2)」

~租税特別措置法66条の4第1項、2項~

 

税理士 水野 正夫

 

《(その1)はこちら

1 事案の概要

(1) 本件国外関連取引に寄与度利益分割法を用いたことの適法性【争点①】

(2) 日本市場の特殊要因(エクアドル産バナナの価格下落)によるXの営業損失を分割対象利益に含めたことの違法性【争点②】

(3) 分割要因としてX及びSが支出した販売費及び一般管理費(以下、「販管費」という)を用いたことの違法性【争点③】

2 判示

(1) 本件国外関連取引に寄与度利益分割法を用いたことの適法性【争点①】

(2) 日本市場の特殊要因(エクアドル産バナナの価格下落)によるXの営業損失を分割対象利益に含めたことの違法性【争点②】

(3) 分割要因としてX及びSが支出した販管費を用いたことの違法性【争点③】

 

3 検討

(1) 本件国外関連取引に寄与度利益分割法を用いたことの適法性【争点①】

寄与度利益分割法は、基本三法を用いることができない場合に限りこれを用いることができるところ、基本三法のうち、原告が再販売価格基準法の適用が可能であると主張したことに対して、本判決は、エクアドル政府による最低買取価格及び最低輸出価格の設定は、バナナ生産者からの買取価格及び輸出価格を上昇させる方向に作用する要因であることは明らかであり、エクアドル産バナナの輸入価格が上昇すれば、その分だけ原価の合計額が上昇し、売上総利益の額が減少することになるのであって、その割合である「通常の利益率」にも影響が及ぶことは明らかであり、また、エクアドル政府規制の有無という差異により生じる通常の利益率の差を調整することができないと判示した。

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【第51回】

「寄与度利益分割法の適用が認められた事例
(地判平24.4.27、高判平25.3.28、最判平27.1.16)(その2)」

~租税特別措置法66条の4第1項、2項~

 

税理士 水野 正夫

 

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1 事案の概要

(1) 本件国外関連取引に寄与度利益分割法を用いたことの適法性【争点①】

(2) 日本市場の特殊要因(エクアドル産バナナの価格下落)によるXの営業損失を分割対象利益に含めたことの違法性【争点②】

(3) 分割要因としてX及びSが支出した販売費及び一般管理費(以下、「販管費」という)を用いたことの違法性【争点③】

2 判示

(1) 本件国外関連取引に寄与度利益分割法を用いたことの適法性【争点①】

(2) 日本市場の特殊要因(エクアドル産バナナの価格下落)によるXの営業損失を分割対象利益に含めたことの違法性【争点②】

(3) 分割要因としてX及びSが支出した販管費を用いたことの違法性【争点③】

 

3 検討

(1) 本件国外関連取引に寄与度利益分割法を用いたことの適法性【争点①】

寄与度利益分割法は、基本三法を用いることができない場合に限りこれを用いることができるところ、基本三法のうち、原告が再販売価格基準法の適用が可能であると主張したことに対して、本判決は、エクアドル政府による最低買取価格及び最低輸出価格の設定は、バナナ生産者からの買取価格及び輸出価格を上昇させる方向に作用する要因であることは明らかであり、エクアドル産バナナの輸入価格が上昇すれば、その分だけ原価の合計額が上昇し、売上総利益の額が減少することになるのであって、その割合である「通常の利益率」にも影響が及ぶことは明らかであり、また、エクアドル政府規制の有無という差異により生じる通常の利益率の差を調整することができないと判示した。

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連載目次

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例

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筆者紹介

水野 正夫

(みずの・まさお)

KPMG税理士法人パートナー・京都事務所長・税理士・法学博士(大阪大学)。
京都府出身。1974年生まれ。

1999年 関西大学法学研究科博士前期課程修了、アーサーアンダーセン税務事務所入所
2004年 KPMG税理士法人入所
2007年~2009年 KPMG米国事務所出向
2010年 KPMG税理士法人パートナー
2022年 大阪大学法学研究科博士後期課程修了

1997年に関西大学法学研究科に入学し、塾頭の村井正先生の下で国際租税法を学びました。当時から村井先生は関西に国際税務の実務家が少ないと仰っており、それがきっかけで大学院修了後、1999年から一貫して関西にて国際税務の実務を担当しております。大阪大学では谷口勢津夫教授に師事しました。理論と実務の架け橋になるような研究に取り組んでいきたいと思っています。

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