公開日: 2013/03/28 (掲載号:No.12)
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〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載12〕 配当優先の限界

筆者: 掛川 雅仁

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載12〕

配当優先の限界

 

税理士 掛川 雅仁

 

税務上、配当優先株式の優先配当は、どの程度まで認められるのか。また、認められる金額を超えた部分の課税関係は、どのようになるのか。本稿では、これを検討する。

 

Ⅰ 会社法上の規制

1 財源規制
まず、会社法上の配当上限には、分配可能額の範囲内であることという財源規制がある(会461)。
この財源規制は、株主と債権者との間の利害調整事項であり、本稿の検討における当然の前提である。

2 配当に関する株主平等の原則
種類株式である配当優先株式を発行している場合には、財源規制に加えて、配当優先株主と普通株主(配当劣後株主)との種類株主間での利害調整が必要になってくる。

この点に関して、会社法は、配当決議は株主の有する株式の数に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならないと規定し、まず、株主平等の原則を示している(会454③)。

3 配当種類株式がある場合の配当に関する株主平等の原則
次に、会社法は、配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行う定めがある場合には、各種類の株式の数に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならないと規定して、配当に関する種類株式がある場合の配当に関する株主平等の原則は、その種類株式毎の株主平等の原則であることを示している(会454③かっこ書)。

このことは、配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行う定めがある場合は、既にその定めを定款に置いた時点で配当種類株主間の調整は完了しているとの考え方によるものであろう。

4 会社法における配当種類株主間の調整
会社法においては この配当種類株主間の調整は、次のように行われる。

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〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載12〕

配当優先の限界

 

税理士 掛川 雅仁

 

税務上、配当優先株式の優先配当は、どの程度まで認められるのか。また、認められる金額を超えた部分の課税関係は、どのようになるのか。本稿では、これを検討する。

 

Ⅰ 会社法上の規制

1 財源規制
まず、会社法上の配当上限には、分配可能額の範囲内であることという財源規制がある(会461)。
この財源規制は、株主と債権者との間の利害調整事項であり、本稿の検討における当然の前提である。

2 配当に関する株主平等の原則
種類株式である配当優先株式を発行している場合には、財源規制に加えて、配当優先株主と普通株主(配当劣後株主)との種類株主間での利害調整が必要になってくる。

この点に関して、会社法は、配当決議は株主の有する株式の数に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならないと規定し、まず、株主平等の原則を示している(会454③)。

3 配当種類株式がある場合の配当に関する株主平等の原則
次に、会社法は、配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行う定めがある場合には、各種類の株式の数に応じて配当財産を割り当てることを内容とするものでなければならないと規定して、配当に関する種類株式がある場合の配当に関する株主平等の原則は、その種類株式毎の株主平等の原則であることを示している(会454③かっこ書)。

このことは、配当財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行う定めがある場合は、既にその定めを定款に置いた時点で配当種類株主間の調整は完了しているとの考え方によるものであろう。

4 会社法における配当種類株主間の調整
会社法においては この配当種類株主間の調整は、次のように行われる。

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連載目次

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議〕 第1回~第50回

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議〕 第51回~

筆者紹介

掛川 雅仁

(かけがわ まさひと)

税理士

・昭和53年 早稲田大学商学部卒業
・昭和55年 早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了
・  同 年 公認会計士・税理士 辻会計事務所(現 辻・本郷税理士法人)入所
・昭和57年 税理士登録(税理士登録番号 第50120号)
・昭和59年 掛川雅仁税理士事務所(掛川会計事務所)開設
・  同 年 株式会社 大阪真和ビジコン 代表取締役 就任 現在に至る

【主な著書】
・『株式交換・移転の法務と税務』ぎょうせい(共著)
・『オーナーのための節税・資産運用ノウハウ』(CD-Tax)ぎょうせい(編著)
・『TAX&LAW 事業譲渡・会社分割・株式譲渡・合併・更生再生清算』第一法規出版(共著)
・『企業再編の税務』第一法規出版(共著)
・『連結納税の計算と理論』清文社(共著)
・『新会社法の実務 Q&A』清文社(編著)
・『徹底解明 会社法の法務・会計・税務』清文社(編著)
・『会社法関係法務省令 逐条実務詳解』清文社(編著)
・『組織再編税制と株主資本の実務』清文社(共著)
・『第三訂 詳説 自社株評価Q&A』清文社(編著)
・『Q&A 新公益法人の実務ハンドブック』清文社(編著)
・『詳説 事業承継税制 Q&A』清文社(編著)
・『役員・従業員亡くなった後の手続と書式』新日本法規出版(編著)
・『「資本の部」の実務』新日本法規出版(共著)
・『外形標準課税制度の実務解説』新日本法規出版(単著)
・『Q&A インターネットの法務と税務』新日本法規出版(編著)
・『Q&A 株主資本の実務』新日本法規出版(編著)
・『新・会社法と会計・税務の対応』新日本法規出版(共著)
・『LLPの法務・会計・税務』新日本法規出版(編著)
・『ケース別相続手続添付書類チェックリスト』新日本法規出版(編著)
・『Q&A 自己株式の実務 法務 会計 税務』新日本法規出版(共著)
・『登記のための税務 第7版』民事法研究会(共著)
・『グループ法人税制・資本関係取引等税制の解説&実務』税務経理協会(共著)
・『会社合併実務必携』法令出版(共著)
・『詳解 グループ法人税制』法令出版(共著)
・『連結納税制度』法令出版(共著)

【税理士事務所所在地】
大阪市北区芝田2丁目1番18号 西阪急ビル9階

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