公開日: 2013/11/28 (掲載号:No.46)
文字サイズ

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載46〕 自己株式と現物給与などに関する消費税の課税関係

筆者: 飯田 聡一郎

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載46〕

自己株式と現物給与などに関する

消費税の課税関係

 

税理士 飯田 聡一郎

 

1 自己株式として取得される株式の譲渡者側の取扱い

(1) 通達における取扱いの確認

有価証券を譲渡した場合は、消費税法上は非課税売上に該当する。しかし、有価証券の譲渡であっても、株主が保有する他社株を、その株式の発行法人に譲渡する場合は、資産の譲渡等に該当しないこととされている。

消費税法基本通達5-2-9(自己株式の取扱い)
 法人が自己株式を取得する場合(証券市場での買入れによる取得を除く。)における株主から当該法人への株式の引渡し及び法人が自己株式を処分する場合における他の者への株式の引渡しは、いずれも資産の譲渡等に該当しない。

上記通達のとおり、発行法人が自己株式として取得した場合の株主の譲渡、あるいは株式発行法人が自己株式を処分した場合については、資産の譲渡等と考えないことになる。

なお、上場株式について、公開買付けの場合は自己株式の取得であることが明らかであり、上記通達に該当するが、証券市場での買入れについては、譲渡した法人がその株式の買い手が株式発行法人であるかどうかはわからないため、株式発行法人である上場会社が、公開買付け以外の市場取引で自己株式を取得した場合は、その株式を譲渡した法人については単に、有価証券の譲渡と割り切って考えることになる。

(2) 資産の譲渡等に該当しない理由

なぜ、自己株式として取得される場合の取引、自己株式の処分として行われる取引が資産の譲渡等に該当しないのかについて検討を加える必要がある。

自己株式の取得という行為は、かつて発行した株式について払戻しをする行為と考えられる。また自己株式の処分は、新株発行と同様の行為と考えることができる。そして、資本の払戻し、あるいは新株の発行については、株式発行法人にとっては、資産の譲渡等とは考えていない。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載46〕

自己株式と現物給与などに関する

消費税の課税関係

 

税理士 飯田 聡一郎

 

1 自己株式として取得される株式の譲渡者側の取扱い

(1) 通達における取扱いの確認

有価証券を譲渡した場合は、消費税法上は非課税売上に該当する。しかし、有価証券の譲渡であっても、株主が保有する他社株を、その株式の発行法人に譲渡する場合は、資産の譲渡等に該当しないこととされている。

消費税法基本通達5-2-9(自己株式の取扱い)
 法人が自己株式を取得する場合(証券市場での買入れによる取得を除く。)における株主から当該法人への株式の引渡し及び法人が自己株式を処分する場合における他の者への株式の引渡しは、いずれも資産の譲渡等に該当しない。

上記通達のとおり、発行法人が自己株式として取得した場合の株主の譲渡、あるいは株式発行法人が自己株式を処分した場合については、資産の譲渡等と考えないことになる。

なお、上場株式について、公開買付けの場合は自己株式の取得であることが明らかであり、上記通達に該当するが、証券市場での買入れについては、譲渡した法人がその株式の買い手が株式発行法人であるかどうかはわからないため、株式発行法人である上場会社が、公開買付け以外の市場取引で自己株式を取得した場合は、その株式を譲渡した法人については単に、有価証券の譲渡と割り切って考えることになる。

(2) 資産の譲渡等に該当しない理由

なぜ、自己株式として取得される場合の取引、自己株式の処分として行われる取引が資産の譲渡等に該当しないのかについて検討を加える必要がある。

自己株式の取得という行為は、かつて発行した株式について払戻しをする行為と考えられる。また自己株式の処分は、新株発行と同様の行為と考えることができる。そして、資本の払戻し、あるいは新株の発行については、株式発行法人にとっては、資産の譲渡等とは考えていない。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議〕 第1回~第50回

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議〕 第51回~

筆者紹介

飯田 聡一郎

(いいだ そういちろう)

TSK税理士法人 代表社員・東京事務所所長
税理士

平成7年 税理士登録
平成20年~ 東京税理士会四谷支部 会員相談室 相談員

【著書】
『新会社法の実務Q&A』共著(清文社・2005年)
『徹底解明 会社法の法務・会計・税務』共著(清文社・2006年)
『実践 LLPの法務・会計・税務-設立・運営・解散-』共著(新日本法規出版・2007年)
『税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解』共著(ぎょうせい・2009年)
『最近の難解税制のポイントと実務の落とし穴』共著(清文社・2010年)
『中小企業の税務の仕事』(中央経済社・2011年)

関連書籍

プロフェッショナル 消費税の実務

税理士 金井恵美子 著

Q&A 中小企業における「株式」の実務対応

東京中小企業投資育成株式会社 公認会計士・税理士 中野威人 著

「配当還元方式」徹底活用ガイド

税理士 山本和義 著

中小企業の事業承継

税理士 牧口晴一 著 名古屋商科大学大学院教授 齋藤孝一 著

演習消費税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編 金井恵美子 著

はじめてのインボイス登録と消費税の申告

税理士 小谷羊太 監修 税理士 森本耕平 著

詳説 自社株評価Q&A

税理士 竹内陽一 編著 税理士 掛川雅仁 編著 税理士 村上晴彦 編著 税理士 堀内眞之 編著

合併・分割・株式交換等の実務

公認会計士 髙谷晋介 監修 仰星監査法人 編著

基礎からわかる自社株評価

税理士 西山卓、税理士 池田真哉 著

実践ガイド 企業組織再編成税制

朝長英樹、竹内陽一、中尾健 共編

組織再編税制

税理士 渡邊 崇甫 著

財務デュー・ディリジェンスと企業価値評価

日本公認会計士協会東京会 編

新着情報

もっと⾒る

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#