公開日: 2025/11/13 (掲載号:No.644)
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暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第80回】

筆者: 泉 絢也

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務

【第80回】

 

東洋大学法学部教授
泉 絢也

 

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連載の目次はこちら

ウ 匿名性・分散性の相互関連性

暗号資産は、政府や金融機関など、身元確認(KYC=Know Your Customer)を行う中央集権的な機関によって直接管理されていないことが通常であり、その発行や取引も、あらかじめ決められたブロックチェーンのプロトコル(規則)に従って自動的に実行される。

このように、中央の管理者に依存せず、分散されたネットワーク上で非人格的かつ自律的に運用されていることから、暗号資産は分散性を有するとされている。

例えば、ビットコインは、世界中の参加者が運営に関与しており、中央銀行や証券取引所のような一元的な管理者が存在しない。そのため、特定の組織や国家が強制的に取引を停止したり、資産を凍結したりすることが制度的・技術的に困難となっている。

このような分散性は、特定の主体が利用者の身元を管理・制御しないことにより、匿名での参加を可能にする環境を提供している。この点において、分散性は匿名性を支えるインフラとして機能しているともいえる。

逆にいえば、仮にブロックチェーンが中央集権的な管理下に置かれていたならば、管理者がすべての取引に対して身元確認を課すことができ、匿名性は大きく損なわれることになる。

他方、暗号資産の匿名性により、利用者はプライバシー侵害や追跡のリスクを恐れずにネットワークに参加できるようになるし、特定の利用者が何らかの理由で参加を排除されるリスクは減少する。これにより、ネットワークの分散度合いが高まり、システムの堅牢性や検閲耐性が強化される。

このように暗号資産の匿名性と分散性は相互に関連し、相互補完的な構造の様相を呈している。

暗号資産の匿名性については、次の点に注意すべきである。

  • 暗号資産は完全なる匿名性を有するものではなく、実際には仮名性を有するものと理解されるべきである。
  • トランザクションは識別子により追跡可能であるが、その識別子は利用者の身元情報と直結していない。
  • 仮名性が直ちに絶対的な匿名性を保障するわけではなく、むしろ、仮名性と分散台帳の追跡可能性・透明性とが結合することで、ある条件の下では匿名性が相対化され、身元特定に至る可能性も生じうる。

CEXを利用せずに暗号資産の取引を行う際には、ウォレットと呼ばれるツールを用いて暗号資産を管理・送受信するのが一般的である。

ウォレットを生成し、暗号資産を送付する過程において、利用者が自分の氏名や住所、身分証明書のコピーといった個人情報をブロックチェーンに提供する必要は基本的にない。

生成されるのは、秘密鍵、公開鍵、そしてウォレットアドレスといった英数字のランダムな文字列であり、これらは直接的には利用者の身元情報と結びついていない。

暗号資産のトランザクションは、ブロックチェーン上にすべて記録されており、誰でも閲覧可能な状態(パブリック)にある。

ただし、それらのトランザクションは、取引を実行している者の実名や住所などの情報とは紐づけられておらず、対応するウォレットアドレス(英数字の文字列)のみが記録されている。

このように、暗号資産は完全な匿名ではないが、仮名(pseudonymous)で取引が行われるという意味で仮名性を備えている。

例えば、「アドレスAからアドレスBに1BTCが送られた」という情報は公開されているが、「このアドレスAの持ち主は誰か」といった情報は、ブロックチェーン上には存在しない。

以上のとおり、暗号資産の利用に当たって、利用者が自分の身元に関する情報を提供する必要はないこと、秘密鍵やウォレットアドレス等に身元情報が関連づけられていないこと、ブロックチェーン上に利用者の情報が記録されていないことが、暗号資産の匿名性を提供する基盤となっている(Sergio Avalos, Challenges That Cryptoasset Anonymity Creates for Tax Administrations, 9 J. TAX ADMIN. 66, 72(2024))。

もっとも、次の点からすれば、暗号資産の匿名性は絶対的なものではなく相対的なものにすぎない。

  • 利用者は公開鍵やアドレスといった自身の身元と結びついていない識別子を公開しており、これによって第三者は特定のアドレスに関連づけられたトランザクションを把握することができる。このため、仮名取引が行われているようなものである(暗号資産の仮名性)(Avalos, Challenges That Cryptoasset Anonymity Creates for Tax Administrations, at 73)。
  • ブロックチェーンに記録されている情報は基本的に公開されており、誰でも追跡可能である(暗号資産の追跡可能性・透明性)。よって、当該情報、すなわちブロックチェーンに記録されているという意味でのオンチェーン情報と、ブロックチェーンに記録されていないという意味でのオフチェーン情報、特にCEXやショップなどが保有する利用者の身元に関する情報とが紐づけされて、ウォレットの保有者の身元が特定されることがありうる。

例えば、ある利用者がCEXで本人確認を行い、その後、そのCEXから自身のプライベートウォレットに暗号資産を送付し、そのプライベートウォレットで取引を繰り返していた場合を考えてみよう。

この場合において、暗号資産のやりとり等の状況から、そのCEXの口座とプライベートウォレットが同一人によって管理されているものであると一度特定されると、過去に遡って、そのプライベートウォレットと紐づくすべてのブロックチェーン上のトランザクション履歴が可視化され、当該トランザクションが当該特定された人物によって行われたものだと判断されうる。

このように暗号資産の追跡可能性や透明性は、匿名性とは別の性質であるが、仮名性と併せて利用されて、匿名性が破られることもありうる。

このような匿名性の特性は、現金と比較して捉えると理解しやすい。

  • 現金(紙幣や硬貨)は、取引の記録が残らず、完全な匿名性を持つ一方で、物理的な移動が必要であり、国境を越えるには制限がある。
  • 暗号資産は、取引履歴がブロックチェーン上にすべて記録されるため、絶対的匿名性は欠くものの、地理的制約なくグローバルに高額な資金を即時移転可能であるという利便性を備えている。

一方、税務当局の視点では、暗号資産には以下のような利点がある。

  • トランザクション履歴が公開されているため、一度アドレスが特定されれば、関連する取引を時系列で確認できる。
  • 近年では、ブロックチェーン分析ツールやAI技術を用いたアドレスのクラスタリング(同一主体による複数アドレスの統合的把握)も進展しており、匿名性の「突破」が以前より現実味を帯びつつある。

このように、暗号資産は、「完全な匿名性」のある資産ではなく、「条件付きで可視化される仮名性」のある資産として理解する必要がある。

この点は、日本の国税庁との関係では、税務調査におけるリスクアプローチの再設計とも密接に関わる。

すなわち、従来の「国内暗号資産取引所に係る取引情報がなければ何もできない」という調査方針から、そのような情報が不足しているとしても、オンチェーンやオフチェーンの「情報の断片をつなぎ合わせて追跡する」という構成的調査アプローチへの転換を迫っているのである。

暗号資産の仮名性と可視性という特徴を正しく理解し、分析技術を駆使してコンプライアンスリスクの高い納税者を可視化し、追跡することができるかが、今後の税務執行における課題となろう。

 

〔凡例〕
決済・・・資金決済に関する法律
通貨・・・通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律
日銀法・・・日本銀行法
信託・・・信託法
所法・・・所得税法
所令・・・所得税法施行令
所基通・・・所得税基本通達
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
消法・・・消費税法
措法・・・租税特別措置法
相基通・・・相続税法基本通達
投信法・・・投資信託及び投資法人に関する法律
投信法令・・・投資信託及び投資法人に関する法律施行令
信託業・・・信託業法
金商・・・金融商品取引法
会社・・・会社法
実特法・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律
実特令・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令
実特規・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令
社債等振替・・・社債、株式等の振替に関する法律
国外送金等調書法・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律
国外送金等調書令・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令
国外送金等調書規則・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則
国税庁FAQ・・・暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和6年12月20日改訂)
(例)所法9①九・・・所得税法9条1項9号

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務

【第80回】

 

東洋大学法学部教授
泉 絢也

 

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ウ 匿名性・分散性の相互関連性

暗号資産は、政府や金融機関など、身元確認(KYC=Know Your Customer)を行う中央集権的な機関によって直接管理されていないことが通常であり、その発行や取引も、あらかじめ決められたブロックチェーンのプロトコル(規則)に従って自動的に実行される。

このように、中央の管理者に依存せず、分散されたネットワーク上で非人格的かつ自律的に運用されていることから、暗号資産は分散性を有するとされている。

例えば、ビットコインは、世界中の参加者が運営に関与しており、中央銀行や証券取引所のような一元的な管理者が存在しない。そのため、特定の組織や国家が強制的に取引を停止したり、資産を凍結したりすることが制度的・技術的に困難となっている。

このような分散性は、特定の主体が利用者の身元を管理・制御しないことにより、匿名での参加を可能にする環境を提供している。この点において、分散性は匿名性を支えるインフラとして機能しているともいえる。

逆にいえば、仮にブロックチェーンが中央集権的な管理下に置かれていたならば、管理者がすべての取引に対して身元確認を課すことができ、匿名性は大きく損なわれることになる。

他方、暗号資産の匿名性により、利用者はプライバシー侵害や追跡のリスクを恐れずにネットワークに参加できるようになるし、特定の利用者が何らかの理由で参加を排除されるリスクは減少する。これにより、ネットワークの分散度合いが高まり、システムの堅牢性や検閲耐性が強化される。

このように暗号資産の匿名性と分散性は相互に関連し、相互補完的な構造の様相を呈している。

暗号資産の匿名性については、次の点に注意すべきである。

  • 暗号資産は完全なる匿名性を有するものではなく、実際には仮名性を有するものと理解されるべきである。
  • トランザクションは識別子により追跡可能であるが、その識別子は利用者の身元情報と直結していない。
  • 仮名性が直ちに絶対的な匿名性を保障するわけではなく、むしろ、仮名性と分散台帳の追跡可能性・透明性とが結合することで、ある条件の下では匿名性が相対化され、身元特定に至る可能性も生じうる。

CEXを利用せずに暗号資産の取引を行う際には、ウォレットと呼ばれるツールを用いて暗号資産を管理・送受信するのが一般的である。

ウォレットを生成し、暗号資産を送付する過程において、利用者が自分の氏名や住所、身分証明書のコピーといった個人情報をブロックチェーンに提供する必要は基本的にない。

生成されるのは、秘密鍵、公開鍵、そしてウォレットアドレスといった英数字のランダムな文字列であり、これらは直接的には利用者の身元情報と結びついていない。

暗号資産のトランザクションは、ブロックチェーン上にすべて記録されており、誰でも閲覧可能な状態(パブリック)にある。

ただし、それらのトランザクションは、取引を実行している者の実名や住所などの情報とは紐づけられておらず、対応するウォレットアドレス(英数字の文字列)のみが記録されている。

このように、暗号資産は完全な匿名ではないが、仮名(pseudonymous)で取引が行われるという意味で仮名性を備えている。

例えば、「アドレスAからアドレスBに1BTCが送られた」という情報は公開されているが、「このアドレスAの持ち主は誰か」といった情報は、ブロックチェーン上には存在しない。

以上のとおり、暗号資産の利用に当たって、利用者が自分の身元に関する情報を提供する必要はないこと、秘密鍵やウォレットアドレス等に身元情報が関連づけられていないこと、ブロックチェーン上に利用者の情報が記録されていないことが、暗号資産の匿名性を提供する基盤となっている(Sergio Avalos, Challenges That Cryptoasset Anonymity Creates for Tax Administrations, 9 J. TAX ADMIN. 66, 72(2024))。

もっとも、次の点からすれば、暗号資産の匿名性は絶対的なものではなく相対的なものにすぎない。

  • 利用者は公開鍵やアドレスといった自身の身元と結びついていない識別子を公開しており、これによって第三者は特定のアドレスに関連づけられたトランザクションを把握することができる。このため、仮名取引が行われているようなものである(暗号資産の仮名性)(Avalos, Challenges That Cryptoasset Anonymity Creates for Tax Administrations, at 73)。
  • ブロックチェーンに記録されている情報は基本的に公開されており、誰でも追跡可能である(暗号資産の追跡可能性・透明性)。よって、当該情報、すなわちブロックチェーンに記録されているという意味でのオンチェーン情報と、ブロックチェーンに記録されていないという意味でのオフチェーン情報、特にCEXやショップなどが保有する利用者の身元に関する情報とが紐づけされて、ウォレットの保有者の身元が特定されることがありうる。

例えば、ある利用者がCEXで本人確認を行い、その後、そのCEXから自身のプライベートウォレットに暗号資産を送付し、そのプライベートウォレットで取引を繰り返していた場合を考えてみよう。

この場合において、暗号資産のやりとり等の状況から、そのCEXの口座とプライベートウォレットが同一人によって管理されているものであると一度特定されると、過去に遡って、そのプライベートウォレットと紐づくすべてのブロックチェーン上のトランザクション履歴が可視化され、当該トランザクションが当該特定された人物によって行われたものだと判断されうる。

このように暗号資産の追跡可能性や透明性は、匿名性とは別の性質であるが、仮名性と併せて利用されて、匿名性が破られることもありうる。

このような匿名性の特性は、現金と比較して捉えると理解しやすい。

  • 現金(紙幣や硬貨)は、取引の記録が残らず、完全な匿名性を持つ一方で、物理的な移動が必要であり、国境を越えるには制限がある。
  • 暗号資産は、取引履歴がブロックチェーン上にすべて記録されるため、絶対的匿名性は欠くものの、地理的制約なくグローバルに高額な資金を即時移転可能であるという利便性を備えている。

一方、税務当局の視点では、暗号資産には以下のような利点がある。

  • トランザクション履歴が公開されているため、一度アドレスが特定されれば、関連する取引を時系列で確認できる。
  • 近年では、ブロックチェーン分析ツールやAI技術を用いたアドレスのクラスタリング(同一主体による複数アドレスの統合的把握)も進展しており、匿名性の「突破」が以前より現実味を帯びつつある。

このように、暗号資産は、「完全な匿名性」のある資産ではなく、「条件付きで可視化される仮名性」のある資産として理解する必要がある。

この点は、日本の国税庁との関係では、税務調査におけるリスクアプローチの再設計とも密接に関わる。

すなわち、従来の「国内暗号資産取引所に係る取引情報がなければ何もできない」という調査方針から、そのような情報が不足しているとしても、オンチェーンやオフチェーンの「情報の断片をつなぎ合わせて追跡する」という構成的調査アプローチへの転換を迫っているのである。

暗号資産の仮名性と可視性という特徴を正しく理解し、分析技術を駆使してコンプライアンスリスクの高い納税者を可視化し、追跡することができるかが、今後の税務執行における課題となろう。

 

〔凡例〕
決済・・・資金決済に関する法律
通貨・・・通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律
日銀法・・・日本銀行法
信託・・・信託法
所法・・・所得税法
所令・・・所得税法施行令
所基通・・・所得税基本通達
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
消法・・・消費税法
措法・・・租税特別措置法
相基通・・・相続税法基本通達
投信法・・・投資信託及び投資法人に関する法律
投信法令・・・投資信託及び投資法人に関する法律施行令
信託業・・・信託業法
金商・・・金融商品取引法
会社・・・会社法
実特法・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律
実特令・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令
実特規・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令
社債等振替・・・社債、株式等の振替に関する法律
国外送金等調書法・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律
国外送金等調書令・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令
国外送金等調書規則・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則
国税庁FAQ・・・暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和6年12月20日改訂)
(例)所法9①九・・・所得税法9条1項9号

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

暗号資産(トークン)・NFT をめぐる税務

【特別編:第1回】 ★無料公開中★

「暗号資産の分離課税の全体像」-令和8年度税制改正-

1 特別編を設ける理由

2 改正に至る経緯 ―「金商法への移管」が扉を開いた

3 改正の全体マップ

4 3つの柱

5 いつから適用されるのか

【特別編:第2回】

「分離課税ルート ― 適用要件と計算」

1 4つの関門

2 何が「特定暗号資産」か

3 「譲渡」であること

4 経路が課税方式を決める

5 税額はどう計算されるか

6 「箱」の中では通算でき、外へは出せない

7 3年間の繰越控除と連年申告

8 源泉徴収も申告不要制度もない

【特別編:第3回】

「総合課税ルートと経路選択」

1 総合課税ルートは消えない

2 総合課税側でも所得税法本法が改正された

3 経路選択という新しい論点

4 経路選択にあたっての留意点

5 消費税でも位置付けが変わる

6 令和8年度税制改正を振り返って

*  *  *

【第1回】 ★無料公開中★

〔連載に当たって〕

【第2回】

第1章 暗号資産の税務と課税問題

第1節 暗号資産とは

1 暗号資産の定義

2 通貨該当性・強制通用力の有無

【第3回】

3 暗号資産の私法上の性質・位置付け

(1) 総論

(2) 各論

《更なる考察》 「占有=所有」構成

《更なる考察》 私法の議論から得られる示唆

【第4回】

第2節 所得税における暗号資産の税務と課税問題

1 所得税法の暗号資産関連規定

(1) 暗号資産の定義

【第5回】

(2) 暗号資産の贈与・低額譲渡に関する規定

【第6回】

(3) 暗号資産を譲渡した場合の計算に関する規定

ア 棚卸資産と売上原価の計算

イ 暗号資産の譲渡原価の計算

ウ 暗号資産の取得価額

【第7回】

エ 年末時点での1単位当たりの取得価額

(ア) 総平均法と移動平均法

(イ) 評価方法の選定・変更等

【第8回】

(ウ) 相続等により取得した暗号資産の取得価額

【第9回】

(エ) 暗号資産の取得価額がわからない場合と5%通達の問題

NFTに関する税務上の取扱いに係るFAQ詳解

【第10回】

◆本連載の今後の進め方について◆

問1 NFTを組成して第三者に譲渡した場合(一次流通)

1 所得の定義

2 「デジタルアートの閲覧に関する権利」が前提とされたことに伴うリスク

3 NFT取引の着眼点とNFTに係る権利の設定という構成

4 一次流通の場合の所得区分

5 法人税の取扱い

【第11回】

問2 NFTを組成して知人に贈与した場合(一次流通)

1 贈与した個人の取扱い

2 贈与した法人の取扱い

問3 非居住者がNFTを組成して、日本のマーケットプレイスで譲渡した場合(一次流通)

【第12回】

問4 購入したNFTを第三者に転売した場合(二次流通)

1 二次流通の場合の所得区分

2 譲渡所得金額の計算

3 「デジタルアートの閲覧に関する権利」という前提

4 法人税の取扱い

【第13回】

問5 第三者の不正アクセスにより購入したNFTが消失した場合

問6 役務提供の対価として取引先が発行するトークンを取得した場合

【第14回】

問7 商品の購入の際に購入先が発行するトークンを取得した場合

【第15回】

問8 ブロックチェーンゲームの報酬としてゲーム内通貨を取得した場合

【第16回】

問9 NFTを贈与又は相続により取得した場合

【第17回】

問10 NFT取引に係る源泉所得税の取扱い

【第18回】

問11 NFT取引に係る消費税の取扱い①(デジタルアートの制作者)

【第19回】

問12 NFT取引に係る消費税の取扱い②(デジタルアートに係るNFTの転売者)

【第20回】

問13 財産債務調書への記載の要否

問14 財産債務調書へのNFTの価額の記載方法

問15 国外財産調書への記載の要否

【第21回】

2 暗号資産取引と所得区分(所得の種類)

(1) 暗号資産取引と所得区分の概要

【第22回】

(2) 譲渡所得該当性を否定する国税庁の根拠

【第23回】

(3) 国会における議論①:譲渡所得該当性を否定する根拠

【第24回】

(4) 国会における議論②:資産ではあるが、譲渡所得の基因となる資産ではない?

【第25回】

(5) 国会における議論③:譲渡所得を肯定する学説と外貨の取扱い

【第26回】

(6) 国税庁の見解に対する疑問

ア 「①清算課税説」

【第27回】

イ 「②支払手段性」

【第28回】

ウ 「③暗号資産の譲渡益の性質」と「④結論」

【第29回】

《更なる考察》邦貨と外貨の交換(両替)と所得税法33条の「譲渡」

【第30回】

3 所得税における暗号資産の信用取引

【第31回】

4 その他雑所得と必要経費

(1) 必要経費の問題

【第32回】

(2) 業務に係る雑所得とその他雑所得の区分とその判断基準

【第33回】

5 マイニング所得と雑所得

(1) マイニングとは

(2) 事案の概要

(3) 基礎事実(請求人による仮想通貨のマイニングについて)

(4) 当事者の主張と争点

(5) 審判所の判断

ア 審判所の判断枠組み

イ 結論と理由

【第34回】

6 異なる種類の暗号資産同士の交換は課税イベントか

【第35回】

7 暗号資産同士の交換時に課税しないという改正要望

【第36回】

8 暗号資産の所得は誰に帰属するか

【第37回】

9 暗号資産の節税コンサルティングの被害と損害賠償

(1) 事案の概要

(2) 事実関係

(3) 裁判所の判断

(4) 類似事案における重加算税の賦課

【第38回】

10 暗号資産に係る所得を分離課税にしてほしいという改正要望

【第39回】

11 詐欺・盗難等による暗号資産の損失①(譲渡原価等と現金類似の取扱い)

【第40回】

12 詐欺・盗難等による暗号資産の損失②(雑所得の基因となる資産の損失)

【第41回】

13 詐欺・盗難等による暗号資産の損失③(雑損控除)

【第42回】

14 秘密鍵を紛失した場合

【第43回】

15 暗号資産交換業者から暗号資産に代えて金銭の補償を受けた場合

(1) 国税庁の見解

(2) 損害賠償金の課税関係

【第44回】

(3) 補償金の非課税所得該当性

(4) タックスアンサーの回答の検討

【第45回】

16 暗号資産の損失と立証責任

(1) 事案の概要

(2) 基礎事実

(3) 争点

(4) 争点についての当事者の主張

【第46回】

(5) 審判所の判断

(6) コメント

【第47回】

17 ビットコインETFと分離課税(その1):概要

(1) SECによるビットコインETFの承認

(2) ETFとは

(3) ビットコインETFの特徴

【第48回】

18 ビットコインETFと分離課税(その2):問題意識①

【第49回】

19 ビットコインETFと分離課税(その3):問題意識②

【第50回】

20 ビットコインETFと分離課税(その4):本信託の概要

(1) 本信託と本件持分

(2) 本信託の設立

(3) 本信託の投資目的等

(4) 本信託とビットコイン等

(5) その他

【第51回】

21 ビットコインETFと分離課税(その5):本信託のスキーム図と主な関係者

(1) スキーム図

(2) 主な関係者

ア スポンサー(Sponsor)

イ 受託者(Trustee)

ウ 管理者(Administrator)

エ 名義書換代理人(Transfer Agent)

オ ビットコインカストディアン(Bitcoin Custodian)

カ キャッシュカストディアン(Cash Custodian)

キ 指定参加者(Authorized Participant)

ク 持分所有者(Shareholder)

ケ その他の関係者

【第52回】

22 ビットコインETFと分離課税(その6):本信託の仕組み

(1) 設定と償還(指定参加者による買注文と売注文)

ア バスケット単位による設定と償還

イ 発行プロセス

ウ 償還プロセス

(2) 資金の使途

(3) ハードフォークによって生ずる付随的権利等の取扱い

(4) 持分所有者に対する分配

(5) 本信託の終了

【第53回】

(6) 受益権と本件持分

ア 概要

イ 本件持分の発行方式等

ウ 本件持分の譲渡方式等

(7) 米国連邦所得税の課税関係

ア スポンサーの意図

イ 信託課税

ウ 米国持分所有者に対する課税

(8) 非米国持分所有者への課税

(9) 米国における情報申告とバックアップ源泉徴収

【第54回】

23 ビットコインETFと分離課税(その7):本件分離課税特例「株式等」及び「上場株式等」

(1) 本件分離課税特例における「株式等」及び「上場株式等」の意義

(2) 「投資信託の受益権」該当性

ア 特定資産の意義と「投信法上の投資信託」該当性①

【第55回】

イ 特定資産の意義と「投信法上の投資信託」該当性②

ウ 「外国投資信託」該当性

【第56回】

エ 外国信託が投信法上の投資信託に類するものといえるかどうかは種々の事情を総合勘案すべきという見解

(3) 「特定受益証券発行信託の受益権」該当性

【第57回】

(4) 「法人課税信託」該当性

ア 「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」該当性

(ア) 受益権を表示する「紙片」を発行する旨の定めがない信託は含まれないとする見解

【第58回】

(イ) 特定受益証券発行信託とそれ以外の受益証券発行信託で異なる課税方式を採用した趣旨

【第59回】

イ 紙片を発行せずに振替式を利用する定めのある外国信託も含まれるとする見解①(規定の趣旨との関係)

【第60回】

ウ 紙片を発行せずに振替式を利用する定めのある外国信託も含まれるとする見解②(社債等振替法に係る振替受益権との関係)

(ア) 信託法と社債等振替法

(イ) 法人税法

【第61回】

エ 「集団投資信託」該当性

(ア) 合同運用信託と紙片を発行する旨の定めがない外国投資信託

(イ) 「信託会社」該当性

【第62回】

(ウ) 「金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの」及び「信託」等該当性

オ 「信託」該当性

カ 本信託の法人課税信託該当性とその効果

(5) 「株式等で金融商品取引所に上場されているものに類するもの」

(6) 本件分離課税特例(分離課税)の適用の可否

【第63回】

24 ビットコインETFと分離課税(その8):まとめ

【第64回】

25 ビットコインETFと分離課税(その9):国税庁の回答

【第65回】

26 DeFi取引と課税①:DeFiとDEX

(1) DeFiとは

(2) スマートコントラクトとは

(3) DEXとは

【第66回】

(4) Uniswap

【第67回】

27 DeFi取引と課税②:流動性供給開始は課税イベントか

(1) 課税イベントになるという見解

(2) 課税イベントと実現

【第68回】

(3) 暗号資産(トークン)の含み損益の課税イベント

【第69回】

(4) 権利義務の帰属主体の不存在

(5) 課税イベントの候補

【第70回】

28 DeFi取引と課税③:トークンのラップは課税イベントか

(1) ラップとブリッジ

【第71回】

(2) BTCからWBTCへのラップ

(3) ラップは課税イベントか

ア 課税イベントと捉える見解

【第72回】

イ カストディアンがいるケース

ウ カストディアンがいないケース

【第73回】

29 CARF(暗号資産等報告枠組み)と日本版CARF

(1) CARF・日本版CARFの概要①

【第74回】

(2) CARF・日本版CARFの概要②

【第75回】

(3) CARF・日本版CARFの概要③

ア 暗号資産

【第76回】

イ RCASPと報告暗号資産交換業者等

【第77回】

30 暗号資産と税務調査①

(1) 問題意識と方向性

【第78回】

(2) 匿名性・分散性と税務執行上の問題

ア スーパータックスヘイブンとしての暗号資産の特徴

【第79回】

イ 暗号資産の匿名性

【第80回】

ウ 匿名性・分散性の相互関連性

【第81回】

エ 匿名性がもたらす税務執行上の問題

【第82回】

オ 暗号資産の分散性

【第83回】

カ 分散性がもたらす税務執行上の問題

【第84回】

キ CARFの限界

【第85回】

ク CARFとプライベートウォレットアドレスの情報

【第86回】

ケ 日本における状況と国税庁が直面する問題

(ア) 暗号資産利用者の増加への対応

【第87回】

(イ) 税務調査による税務コンプライアンスの確保とCEXへの着目

【第88回】

(ウ) 海外CEX、DEX、プライベートウォレットの利用がもたらす問題

【第89回】

(エ) 海外CEX、DEX、プライベートウォレットと税務調査

【第90回】

31 暗号資産と税務調査②:ブロックチェーン分析

(1) ブロックチェーン分析とは何か

ア ブロックチェーン分析とは

イ パブリックブロックチェーンの「公開性」と「仮名性」

【第91回】

ウ オンランプ・オフランプという現実世界との接点

【第92回】

(2) ブロックチェーン分析の税務調査利用

ア ブロックチェーン分析による追跡・調査選定

【第93回】

イ 実際のブロックチェーン分析ツール

【第94回】

ウ ブロックチェーン分析を用いた暗号資産脱税事件(米国の事例)

(ア) 事案の概要

(イ) ブロックチェーン分析の関与

(ウ) 捜査・立証活動

(エ) 公開情報と情報分析・変換能力

(オ) 総括

【第95回】

エ ブロックチェーン分析を利用した大規模選定

(ア) ブロックチェーン分析の選定利用

(イ) データソリューションズ × リアクターによる効率的大規模選定

【第96回】

(3) 期待と限界

ア ブロックチェーン分析の有効性:期待と限界

イ 国税庁がとるべき対応策

ウ まとめ

【第97回】

32 暗号資産と税務調査③:損益計算の困難性と税務執行上の問題

(1) 暗号資産の損益計算の手順と重要性

ア 概要

イ 損益計算の基本的手順

(2) 暗号資産の損益計算に必要な知識やスキル

【第98回】

(3) 暗号資産の損益計算の困難性

ア 概要

イ 各段階で生じる問題

① 取引所やブロックチェーンからデータを取得等

【第99回】

② データを損益計算ソフトに取込み

③ 確認を要する取引や年末数量不一致の問題を解消

【第100回】  

④ 取引金額・損益計上の有無・タイミング等を判断し、損益を確定

(ア) ブロックチェーンの記録からわかること・わからないこと

(イ) トランザクション別取引タイプと問題点・注意点

(ウ) その他損益計算時の問題点・注意点

【第101回】  10/29公開予定

(4) 問題への対処方法とその困難性

ア 対処方法

【第102回】  11/12公開予定

イ 納税者が直面するギャップ

【第103回】  11/26公開予定

ウ ブロックチェーンエクスプローラーの不完全性

【第104回】  12/10公開予定

エ 国税庁が直面する問題

オ 国税庁がとるべき対応策

【第105回】  12/24公開予定

33 暗号資産と税務調査④:まとめ

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

泉 絢也

(いずみ・じゅんや)

東洋大学法学部教授
博士(会計学)

2023年3月末まで千葉商科大学商経学部准教授、2023年4月から2025年3月末まで東洋大学法学部准教授の後、2025年4月より東洋大学法学部教授。中央大学ビジネススクール非常勤講師。
(一社)アコード租税総合研究所研究顧問。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。博士(会計学・中央大学)。
Twitter:@taxlaw17
ブログ:https://note.com/cryptotax/

【著書】
・泉絢也『暗号資産の税金はこう変わる-分離課税の仕組みと実務』(清文社2026)(単著)
・泉絢也『逐条解説 法人税法第22条の2 収益認識会計基準に対応する法令・通達の論点整理』(清文社2023)(単著)
・泉絢也=藤本剛平『事例でわかる! NFT・暗号資産の税務』(中央経済社2022)(共著)
・泉絢也『パブリックコメントと租税法』(日本評論社2020)(単著)
・酒井克彦編『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(ぎょうせい2019)(共著)
・松嶋 隆弘=渡邊涼介編著『仮想通貨はこう変わる!!暗号資産の法律・税務・会計』(ぎょうせい2019)(共著)

【論文】
・「仮想通貨(暗号通貨、暗号資産)の譲渡による所得の譲渡所得該当性-アメリカ連邦所得税におけるキャピタルゲイン及び為替差損益の取扱いを手掛かりとして-」税法学581号3頁以下
・「NFT(ノンファンジブルトークン)の譲渡による所得は 譲渡所得か?もしそうであれば非課税所得か?」千葉商大論叢59巻3号143頁など
・「法人税法における暗号資産税制の問題点(1)・(2完)-期末時価評価課税の改正提言-」千葉商大論叢60巻1号73頁、千葉商大紀要60巻1号61頁
など多数

 

関連書籍

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