公開日: 2026/08/20 (掲載号:No.682)
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暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【特別編:第1回】「暗号資産の分離課税の全体像」-令和8年度税制改正-

筆者: 泉 絢也

暗号資産(トークン)NFTをめぐる税務

【特別編:第1回】

「暗号資産の分離課税の全体像」

-令和8年度税制改正-

 

東洋大学法学部教授
泉 絢也

 

連載の目次はこちら

1 特別編を設ける理由

本連載第38回10 暗号資産に係る所得を分離課税にしてほしいという改正要望」では、業界団体及び与党プロジェクトチームによる分離課税の要望を紹介したうえで、国会答弁を見る限り「要望が通る道は険しいようである」と述べた。

その後、事態は動いた。

令和8年3月31日、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号。以下「改正法」という)が成立・公布され、租税特別措置法に、特定暗号資産の譲渡による所得に対する申告分離課税(措法38の2)と、特定暗号資産に係る譲渡損失の繰越控除(措法38の3)が創設された。

20%(所得税15%、個人住民税5%)の比例税率による課税と、3年間の繰越控除である。要望の中核部分は、ほぼ要望どおりの形で実現したことになる。

もっとも、実現したのは「暗号資産一般の分離課税」ではない。

分離課税の対象は、「特定暗号資産」を「暗号資産取引業者を通じて」「譲渡」した場合に限られる。それ以外の暗号資産、それ以外の経路による譲渡、そして譲渡に当たらないマイニング、ステーキング、レンディング、エアドロップ等は、従来どおり総合課税である。

改正後の暗号資産税制は、分離課税と総合課税が併存する二重の構造をとることになった。この点を見落とすと、実務判断を誤る。

そこで本連載では、特別編として3回にわたり改正の全体像を紹介する。
第1回にあたる本稿では、改正に至る経緯と、改正がどの法律のどこを動かしたのかを俯瞰する。第2回では分離課税ルートの要件と計算を、第3回では総合課税ルートに残された取扱いと「経路選択」を扱う。

 

2 改正に至る経緯 ―「金商法への移管」が扉を開いた

長らく、分離課税の要望に対する政府の回答は否定的であった。

第38回で紹介したとおり、住澤整財務省主税局長は令和4年3月16日の参議院財政金融委員会で、鈴木俊一国務大臣は同年4月13日の衆議院財務金融委員会で、それぞれ、上場株式等の譲渡益等に20%の分離課税が採用されているのは、税制の中立性・簡素性・適正執行の確保に加え、貯蓄から投資へという政策的要請と、一般投資家が投資しやすい税制を構築するという考え方によるものであると説明していた。

そのうえで、暗号資産については、給与や事業で稼いだ者に最大55%の税率が適用されることとのバランスについて国民の理解を得られるか、株式のように家計が暗号資産を購入することを国として推奨することが妥当かといった課題を挙げていた。

この膠着を動かしたのは、暗号資産の規制法上の位置付けを見直すという発想である

自由民主党デジタル社会推進本部と金融調査会の連名による「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」(令和6年12月)は、暗号資産取引の振興や分離課税への道を拓く観点から、暗号資産の一部を金融商品として法的に位置付け、金融商品取引法の規制対象とすることも考えられるとして、規制法の移管を正面から取り上げた。

考え方はこうである。暗号資産を資金決済に関する法律上の「決済手段」から金融商品取引法上の「金融商品」へと位置付け直せば、同法の規制下にある上場株式やFX取引と課税上の取扱いを揃える道が開かれる。

実態の面でも、国内の暗号資産の口座開設数は1,400万を超え、利用者の取引動機のほとんどは長期的な値上がりを期待したものであるとされており(金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料2頁)、投資対象としての利用実態と規制法上の位置付けとの隔たりは大きくなっていた。

以後の経緯は次表のとおりである。

【分離課税導入に至る主な経緯】

時期 事項
令和元年8月 JVCEA・JCBAが「2020年度税制改正に関する要望書」で分離課税を要望
令和4年11月 自由民主党デジタル社会推進本部 web3PT「web3関連税制に関する緊急提言」。20%申告分離課税・3年繰越控除・デリバティブ取引の対象化を提言
令和6年12月 自由民主党デジタル社会推進本部・金融調査会「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」。規制法の金商法への移管に言及。同月の与党令和8年度税制改正大綱に「検討事項」として記載
令和7年6月 閣議決定「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に分離課税の導入を含む見直しの検討を明記
令和7年8月 JVCEA・JCBAが「2026年度税制改正に関する要望書」を公表。金融庁の令和8年度税制改正要望にも分離課税の導入を含む見直しが盛り込まれる
令和7年12月 与党の令和8年度税制改正大綱に分離課税の導入が明記され、閣議決定された政府大綱に具体的措置が示される
令和8年3月31日 改正法(令和8年法律第12号)成立・公布
令和8年7月23日 金商法等改正法(令和8年法律第64号)公布(同月15日成立)

 

3 改正の全体マップ

今回の改正は、租税特別措置法だけの話ではない。所得税法本法から国税徴収法にまで及んでいる。

【令和8年度税制改正における暗号資産関連の改正】

法令 主な改正事項 根拠条文
所得税法 暗号資産の定義を金商法2条49項に変更 所法2①十六括弧書
譲渡所得に「暗号資産の譲渡による所得」の区分を新設 所法33③三
暗号資産の譲渡益から50万円特別控除を排除 所法33④⑤
暗号資産の譲渡所得を2分の1課税の対象から除外(保有期間の長短を問わない) 所法22②
暗号資産の譲渡所得の損失を損益通算から排除 所法69②
租税特別措置法 特定暗号資産の譲渡による所得の申告分離課税(20%)の創設 措法38の2①~③
特定暗号資産に係る譲渡損失の3年間繰越控除の創設 措法38の3
特定暗号資産年間取引報告書の提出制度の創設 措法38の2④~⑨
先物取引の分離課税の対象に特定暗号資産デリバティブ取引を追加 措法41の14①二
上場証券投資信託等の償還金等に係る課税の特例の対象拡大 措法9の4の2①二
ミニマムタックスの基準所得金額に特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額を追加 措法41の19②九
地方税法 個人住民税5%の分離課税 地法附則35の3の6①④
消費税法施行令 暗号資産の譲渡を「支払手段に類するもの」から「有価証券に類するもの」へ再分類 消令9①一
課税売上割合の計算上、譲渡対価の5%相当額を分母に算入 消令48⑤
暗号資産の貸付け(レンディング)の利用料を非課税化 消令10③十一
国税徴収法 自己管理暗号資産(特定電子移転財産権)の差押手続の整備 徴法72①、72の2

実務上の関心が集中するのは租税特別措置法38条の2の分離課税であるが、射程がより広いのは所得税法本法の改正である。所得税法本法の改正は、分離課税ルートと総合課税ルートの双方に共通して適用されるからである。

とりわけ、暗号資産の譲渡による所得が譲渡所得に区分されうることが法律上明記された一方で(所法33③三)、その譲渡所得からは50万円の特別控除も2分の1課税も奪われている(所法33④⑤、22②)。

これらは措置法の読替えによるものではなく、所得税法本法そのものの改正によって行われている。したがって、海外取引所やDEXでの譲渡であっても、これらの制限を免れることはできない。この点は第3回で詳述する。

 

4 3つの柱

改正の中身は、投資形態別に次の3つの柱で構成されている。

【令和8年度税制改正の3つの柱】

対象取引 課税上の位置付け 課税グループ

特定暗号資産の現物取引(暗号資産取引業者への売委託又は同業者に対する譲渡) 申告分離課税を新設 特定暗号資産の現物取引グループ
(単独)

特定暗号資産デリバティブ取引 既存の先物取引の分離課税に追加 先物取引グループ
(FX・商品先物等と同一)

特定暗号資産ETF 一部の手当てのみ。個人の譲渡に係る分離課税は今後、措置される可能性 上場株式等グループ

柱①が改正の中核であり、本特別編でも中心的に扱う。

柱②は、新たな分離課税の枠組みを創設するものではなく、既にFX取引や商品先物取引について分離課税が適用されている「先物取引グループ」(措法41の14)に、特定暗号資産を原資産とするデリバティブ取引を追加するものである。

暗号資産デリバティブ取引は、原資産である暗号資産の有用性についての評価が定まっていなかったこと等から、令和2年度税制改正で同特例の対象から明示的に除外されていた経緯があり、今回はその取扱いを覆すものである。

実務上は、暗号資産のデリバティブ取引の損益をFX取引の損益と通算できるようになる点が大きい。

もっとも、対象となるのは、特定暗号資産を原資産とする市場デリバティブ取引と、金融商品取引業者又は登録金融機関を相手方とする店頭デリバティブ取引に限られる。外国市場で行われるものや、特定暗号資産以外の暗号等資産に係るものは、金融商品先物取引等から除外され、総合課税のままである(措法41の14①二)。

柱③は、限られた措置がとられたにとどまる。

閣議決定された大綱は、投資信託及び投資法人に関する法律施行令の改正を前提として、上場証券投資信託等の償還金等に係る課税の特例の適用対象に一定の投資信託を加えること、一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の対象となる株式等の範囲に特定暗号資産を投資の対象とする投資信託の受益権を加えることの2つを掲げていた。

しかし、令和8年度税制改正で法制化されたのはのみである(措法9の4の2①二)。しかも、この特例は内国法人等が支払を受ける収益の分配について源泉徴収を要しないこととするものであり、個人に対する申告分離課税の措置ではない。

個人が暗号資産ETFの受益権を譲渡した場合の課税関係については、上記が法制化されていない。投資信託及び投資法人に関する法律施行令の改正により暗号資産ETFの組成が認められた場合に、分離課税の適用に関して措置法上の整備的な規定が置かれるかどうかは、現時点では明らかではない。

そもそも暗号資産ETFの組成自体が上記施行令の改正を前提としており、その改正時期も未確定である。

ここで、決定的に重要な点を確認しておきたい。

3つの柱は、それぞれ別個の課税の枠組みであり、柱をまたいだ損益通算はできない。特定暗号資産の現物取引で生じた損失を特定暗号資産デリバティブ取引の利益から控除することはできず、その逆もできない

もちろん、上場株式等の譲渡益と通算することもできない。「分離課税になったのだから株式やFXと通算できる」という理解は誤りである。

 

5 いつから適用されるのか

改正規定の適用開始日は、金商法等改正法の施行の日の属する年の翌年1月1日である(改正法附則1十イ・ロ、39①)。

金商法等改正法は令和8年7月23日に公布されたが、暗号資産に係る規制見直しの施行日は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、本稿執筆時点でこの政令は定められていない。

もっとも、公布日が確定したことにより、遅くとも令和9年7月22日までには施行されることとなった。新制度への準備期間を踏まえると令和9年中の施行が見込まれ、その場合、適用開始日は令和10年1月1日となる

注意を要するのは、関連する制度の適用時期が一律ではない点である。以下、令和9年中に施行された場合を前提に、実務上とくに重要なものを挙げる。

まず、分離課税と繰越控除の本体は、令和10年1月1日以後に行う特定暗号資産の譲渡について適用される(改正法附則39①)。所得税法本法の改正、すなわち暗号資産の定義、譲渡所得の区分、50万円特別控除、2分の1課税及び損益通算に関する改正も、令和10年分以後の所得税について適用される(改正法附則4、6①、7)。

次に、個人住民税は前年課税であるため、その分離課税(5%)の適用は所得税より1年遅れ、令和11年度分以後となる(改正地法附則3十六、11十三)。

さらに、暗号資産取引業者が税務署長に提出する特定暗号資産年間取引報告書の制度も、分離課税本体より1年遅れ、令和11年1月1日以後に行う行為から開始する(改正法附則39②)。

*  *  *

次回は、分離課税ルートの適用要件と計算を、特定暗号資産の意義と取引経路の限定を中心に取り上げる。

 

〔凡例〕
決済・・・資金決済に関する法律
通貨・・・通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律
日銀法・・・日本銀行法
信託・・・信託法
所法・・・所得税法
所令・・・所得税法施行令
所基通・・・所得税基本通達
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
消法・・・消費税法
措法・・・租税特別措置法
相基通・・・相続税法基本通達
投信法・・・投資信託及び投資法人に関する法律
投信法令・・・投資信託及び投資法人に関する法律施行令
信託業・・・信託業法
金商・・・金融商品取引法
会社・・・会社法
通法・・・国税通則法
改正法・・・所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)
改正地法・・・地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)
実特法・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律
実特令・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令
実特規・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令
社債等振替・・・社債、株式等の振替に関する法律
国外送金等調書法・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律
国外送金等調書令・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令
国外送金等調書規則・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則
国税庁FAQ・・・暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和7年12月26日改訂)
(例)所法9①九・・・所得税法9条1項9号

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

暗号資産(トークン)NFTをめぐる税務

【特別編:第1回】

「暗号資産の分離課税の全体像」

-令和8年度税制改正-

 

東洋大学法学部教授
泉 絢也

 

連載の目次はこちら

1 特別編を設ける理由

本連載第38回10 暗号資産に係る所得を分離課税にしてほしいという改正要望」では、業界団体及び与党プロジェクトチームによる分離課税の要望を紹介したうえで、国会答弁を見る限り「要望が通る道は険しいようである」と述べた。

その後、事態は動いた。

令和8年3月31日、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号。以下「改正法」という)が成立・公布され、租税特別措置法に、特定暗号資産の譲渡による所得に対する申告分離課税(措法38の2)と、特定暗号資産に係る譲渡損失の繰越控除(措法38の3)が創設された。

20%(所得税15%、個人住民税5%)の比例税率による課税と、3年間の繰越控除である。要望の中核部分は、ほぼ要望どおりの形で実現したことになる。

もっとも、実現したのは「暗号資産一般の分離課税」ではない。

分離課税の対象は、「特定暗号資産」を「暗号資産取引業者を通じて」「譲渡」した場合に限られる。それ以外の暗号資産、それ以外の経路による譲渡、そして譲渡に当たらないマイニング、ステーキング、レンディング、エアドロップ等は、従来どおり総合課税である。

改正後の暗号資産税制は、分離課税と総合課税が併存する二重の構造をとることになった。この点を見落とすと、実務判断を誤る。

そこで本連載では、特別編として3回にわたり改正の全体像を紹介する。
第1回にあたる本稿では、改正に至る経緯と、改正がどの法律のどこを動かしたのかを俯瞰する。第2回では分離課税ルートの要件と計算を、第3回では総合課税ルートに残された取扱いと「経路選択」を扱う。

 

2 改正に至る経緯 ―「金商法への移管」が扉を開いた

長らく、分離課税の要望に対する政府の回答は否定的であった。

第38回で紹介したとおり、住澤整財務省主税局長は令和4年3月16日の参議院財政金融委員会で、鈴木俊一国務大臣は同年4月13日の衆議院財務金融委員会で、それぞれ、上場株式等の譲渡益等に20%の分離課税が採用されているのは、税制の中立性・簡素性・適正執行の確保に加え、貯蓄から投資へという政策的要請と、一般投資家が投資しやすい税制を構築するという考え方によるものであると説明していた。

そのうえで、暗号資産については、給与や事業で稼いだ者に最大55%の税率が適用されることとのバランスについて国民の理解を得られるか、株式のように家計が暗号資産を購入することを国として推奨することが妥当かといった課題を挙げていた。

この膠着を動かしたのは、暗号資産の規制法上の位置付けを見直すという発想である

自由民主党デジタル社会推進本部と金融調査会の連名による「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」(令和6年12月)は、暗号資産取引の振興や分離課税への道を拓く観点から、暗号資産の一部を金融商品として法的に位置付け、金融商品取引法の規制対象とすることも考えられるとして、規制法の移管を正面から取り上げた。

考え方はこうである。暗号資産を資金決済に関する法律上の「決済手段」から金融商品取引法上の「金融商品」へと位置付け直せば、同法の規制下にある上場株式やFX取引と課税上の取扱いを揃える道が開かれる。

実態の面でも、国内の暗号資産の口座開設数は1,400万を超え、利用者の取引動機のほとんどは長期的な値上がりを期待したものであるとされており(金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料2頁)、投資対象としての利用実態と規制法上の位置付けとの隔たりは大きくなっていた。

以後の経緯は次表のとおりである。

【分離課税導入に至る主な経緯】

時期 事項
令和元年8月 JVCEA・JCBAが「2020年度税制改正に関する要望書」で分離課税を要望
令和4年11月 自由民主党デジタル社会推進本部 web3PT「web3関連税制に関する緊急提言」。20%申告分離課税・3年繰越控除・デリバティブ取引の対象化を提言
令和6年12月 自由民主党デジタル社会推進本部・金融調査会「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」。規制法の金商法への移管に言及。同月の与党令和8年度税制改正大綱に「検討事項」として記載
令和7年6月 閣議決定「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に分離課税の導入を含む見直しの検討を明記
令和7年8月 JVCEA・JCBAが「2026年度税制改正に関する要望書」を公表。金融庁の令和8年度税制改正要望にも分離課税の導入を含む見直しが盛り込まれる
令和7年12月 与党の令和8年度税制改正大綱に分離課税の導入が明記され、閣議決定された政府大綱に具体的措置が示される
令和8年3月31日 改正法(令和8年法律第12号)成立・公布
令和8年7月23日 金商法等改正法(令和8年法律第64号)公布(同月15日成立)

 

3 改正の全体マップ

今回の改正は、租税特別措置法だけの話ではない。所得税法本法から国税徴収法にまで及んでいる。

【令和8年度税制改正における暗号資産関連の改正】

法令 主な改正事項 根拠条文
所得税法 暗号資産の定義を金商法2条49項に変更 所法2①十六括弧書
譲渡所得に「暗号資産の譲渡による所得」の区分を新設 所法33③三
暗号資産の譲渡益から50万円特別控除を排除 所法33④⑤
暗号資産の譲渡所得を2分の1課税の対象から除外(保有期間の長短を問わない) 所法22②
暗号資産の譲渡所得の損失を損益通算から排除 所法69②
租税特別措置法 特定暗号資産の譲渡による所得の申告分離課税(20%)の創設 措法38の2①~③
特定暗号資産に係る譲渡損失の3年間繰越控除の創設 措法38の3
特定暗号資産年間取引報告書の提出制度の創設 措法38の2④~⑨
先物取引の分離課税の対象に特定暗号資産デリバティブ取引を追加 措法41の14①二
上場証券投資信託等の償還金等に係る課税の特例の対象拡大 措法9の4の2①二
ミニマムタックスの基準所得金額に特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額を追加 措法41の19②九
地方税法 個人住民税5%の分離課税 地法附則35の3の6①④
消費税法施行令 暗号資産の譲渡を「支払手段に類するもの」から「有価証券に類するもの」へ再分類 消令9①一
課税売上割合の計算上、譲渡対価の5%相当額を分母に算入 消令48⑤
暗号資産の貸付け(レンディング)の利用料を非課税化 消令10③十一
国税徴収法 自己管理暗号資産(特定電子移転財産権)の差押手続の整備 徴法72①、72の2

実務上の関心が集中するのは租税特別措置法38条の2の分離課税であるが、射程がより広いのは所得税法本法の改正である。所得税法本法の改正は、分離課税ルートと総合課税ルートの双方に共通して適用されるからである。

とりわけ、暗号資産の譲渡による所得が譲渡所得に区分されうることが法律上明記された一方で(所法33③三)、その譲渡所得からは50万円の特別控除も2分の1課税も奪われている(所法33④⑤、22②)。

これらは措置法の読替えによるものではなく、所得税法本法そのものの改正によって行われている。したがって、海外取引所やDEXでの譲渡であっても、これらの制限を免れることはできない。この点は第3回で詳述する。

 

4 3つの柱

改正の中身は、投資形態別に次の3つの柱で構成されている。

【令和8年度税制改正の3つの柱】

対象取引 課税上の位置付け 課税グループ

特定暗号資産の現物取引(暗号資産取引業者への売委託又は同業者に対する譲渡) 申告分離課税を新設 特定暗号資産の現物取引グループ
(単独)

特定暗号資産デリバティブ取引 既存の先物取引の分離課税に追加 先物取引グループ
(FX・商品先物等と同一)

特定暗号資産ETF 一部の手当てのみ。個人の譲渡に係る分離課税は今後、措置される可能性 上場株式等グループ

柱①が改正の中核であり、本特別編でも中心的に扱う。

柱②は、新たな分離課税の枠組みを創設するものではなく、既にFX取引や商品先物取引について分離課税が適用されている「先物取引グループ」(措法41の14)に、特定暗号資産を原資産とするデリバティブ取引を追加するものである。

暗号資産デリバティブ取引は、原資産である暗号資産の有用性についての評価が定まっていなかったこと等から、令和2年度税制改正で同特例の対象から明示的に除外されていた経緯があり、今回はその取扱いを覆すものである。

実務上は、暗号資産のデリバティブ取引の損益をFX取引の損益と通算できるようになる点が大きい。

もっとも、対象となるのは、特定暗号資産を原資産とする市場デリバティブ取引と、金融商品取引業者又は登録金融機関を相手方とする店頭デリバティブ取引に限られる。外国市場で行われるものや、特定暗号資産以外の暗号等資産に係るものは、金融商品先物取引等から除外され、総合課税のままである(措法41の14①二)。

柱③は、限られた措置がとられたにとどまる。

閣議決定された大綱は、投資信託及び投資法人に関する法律施行令の改正を前提として、上場証券投資信託等の償還金等に係る課税の特例の適用対象に一定の投資信託を加えること、一般株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の対象となる株式等の範囲に特定暗号資産を投資の対象とする投資信託の受益権を加えることの2つを掲げていた。

しかし、令和8年度税制改正で法制化されたのはのみである(措法9の4の2①二)。しかも、この特例は内国法人等が支払を受ける収益の分配について源泉徴収を要しないこととするものであり、個人に対する申告分離課税の措置ではない。

個人が暗号資産ETFの受益権を譲渡した場合の課税関係については、上記が法制化されていない。投資信託及び投資法人に関する法律施行令の改正により暗号資産ETFの組成が認められた場合に、分離課税の適用に関して措置法上の整備的な規定が置かれるかどうかは、現時点では明らかではない。

そもそも暗号資産ETFの組成自体が上記施行令の改正を前提としており、その改正時期も未確定である。

ここで、決定的に重要な点を確認しておきたい。

3つの柱は、それぞれ別個の課税の枠組みであり、柱をまたいだ損益通算はできない。特定暗号資産の現物取引で生じた損失を特定暗号資産デリバティブ取引の利益から控除することはできず、その逆もできない

もちろん、上場株式等の譲渡益と通算することもできない。「分離課税になったのだから株式やFXと通算できる」という理解は誤りである。

 

5 いつから適用されるのか

改正規定の適用開始日は、金商法等改正法の施行の日の属する年の翌年1月1日である(改正法附則1十イ・ロ、39①)。

金商法等改正法は令和8年7月23日に公布されたが、暗号資産に係る規制見直しの施行日は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、本稿執筆時点でこの政令は定められていない。

もっとも、公布日が確定したことにより、遅くとも令和9年7月22日までには施行されることとなった。新制度への準備期間を踏まえると令和9年中の施行が見込まれ、その場合、適用開始日は令和10年1月1日となる

注意を要するのは、関連する制度の適用時期が一律ではない点である。以下、令和9年中に施行された場合を前提に、実務上とくに重要なものを挙げる。

まず、分離課税と繰越控除の本体は、令和10年1月1日以後に行う特定暗号資産の譲渡について適用される(改正法附則39①)。所得税法本法の改正、すなわち暗号資産の定義、譲渡所得の区分、50万円特別控除、2分の1課税及び損益通算に関する改正も、令和10年分以後の所得税について適用される(改正法附則4、6①、7)。

次に、個人住民税は前年課税であるため、その分離課税(5%)の適用は所得税より1年遅れ、令和11年度分以後となる(改正地法附則3十六、11十三)。

さらに、暗号資産取引業者が税務署長に提出する特定暗号資産年間取引報告書の制度も、分離課税本体より1年遅れ、令和11年1月1日以後に行う行為から開始する(改正法附則39②)。

*  *  *

次回は、分離課税ルートの適用要件と計算を、特定暗号資産の意義と取引経路の限定を中心に取り上げる。

 

〔凡例〕
決済・・・資金決済に関する法律
通貨・・・通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律
日銀法・・・日本銀行法
信託・・・信託法
所法・・・所得税法
所令・・・所得税法施行令
所基通・・・所得税基本通達
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
消法・・・消費税法
措法・・・租税特別措置法
相基通・・・相続税法基本通達
投信法・・・投資信託及び投資法人に関する法律
投信法令・・・投資信託及び投資法人に関する法律施行令
信託業・・・信託業法
金商・・・金融商品取引法
会社・・・会社法
通法・・・国税通則法
改正法・・・所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)
改正地法・・・地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)
実特法・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律
実特令・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律施行令
実特規・・・租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令
社債等振替・・・社債、株式等の振替に関する法律
国外送金等調書法・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律
国外送金等調書令・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行令
国外送金等調書規則・・・内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律施行規則
国税庁FAQ・・・暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)(令和7年12月26日改訂)
(例)所法9①九・・・所得税法9条1項9号

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

暗号資産(トークン)・NFT をめぐる税務

令和8年度改正に伴う暗号資産の取扱いについて

もっと知りたい方のための書籍ができました

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【特別編:第1回】 ★無料公開中★

「暗号資産の分離課税の全体像」-令和8年度税制改正-

1 特別編を設ける理由

2 改正に至る経緯 ―「金商法への移管」が扉を開いた

3 改正の全体マップ

4 3つの柱

5 いつから適用されるのか

【特別編:第2回】 9/3公開予定

「分離課税ルート ― 適用要件と計算」

1 4つの関門

2 何が「特定暗号資産」か

3 「譲渡」であること

4 経路が課税方式を決める

5 税額はどう計算されるか

6 「箱」の中では通算でき、外へは出せない

7 3年間の繰越控除と連年申告

8 源泉徴収も申告不要制度もない

【特別編:第3回】 9/17公開予定

「総合課税ルートと経路選択」

1 総合課税ルートは消えない

2 総合課税側でも所得税法本法が改正された

3 経路選択という新しい論点

4 経路選択にあたっての留意点

5 消費税でも位置付けが変わる

6 令和8年度税制改正を振り返って

*  *  *

【第1回】 ★無料公開中★

〔連載に当たって〕

【第2回】

第1章 暗号資産の税務と課税問題

第1節 暗号資産とは

1 暗号資産の定義

2 通貨該当性・強制通用力の有無

【第3回】

3 暗号資産の私法上の性質・位置付け

(1) 総論

(2) 各論

《更なる考察》 「占有=所有」構成

《更なる考察》 私法の議論から得られる示唆

【第4回】

第2節 所得税における暗号資産の税務と課税問題

1 所得税法の暗号資産関連規定

(1) 暗号資産の定義

【第5回】

(2) 暗号資産の贈与・低額譲渡に関する規定

【第6回】

(3) 暗号資産を譲渡した場合の計算に関する規定

ア 棚卸資産と売上原価の計算

イ 暗号資産の譲渡原価の計算

ウ 暗号資産の取得価額

【第7回】

エ 年末時点での1単位当たりの取得価額

(ア) 総平均法と移動平均法

(イ) 評価方法の選定・変更等

【第8回】

(ウ) 相続等により取得した暗号資産の取得価額

【第9回】

(エ) 暗号資産の取得価額がわからない場合と5%通達の問題

NFTに関する税務上の取扱いに係るFAQ詳解

【第10回】

本連載の今後の進め方について

問1 NFTを組成して第三者に譲渡した場合(一次流通)

1 所得の定義

2 「デジタルアートの閲覧に関する権利」が前提とされたことに伴うリスク

3 NFT取引の着眼点とNFTに係る権利の設定という構成

4 一次流通の場合の所得区分

5 法人税の取扱い

【第11回】

問2 NFTを組成して知人に贈与した場合(一次流通)

1 贈与した個人の取扱い

2 贈与した法人の取扱い

問3 非居住者がNFTを組成して、日本のマーケットプレイスで譲渡した場合(一次流通)

【第12回】

問4 購入したNFTを第三者に転売した場合(二次流通)

1 二次流通の場合の所得区分

2 譲渡所得金額の計算

3 「デジタルアートの閲覧に関する権利」という前提

4 法人税の取扱い

【第13回】

問5 第三者の不正アクセスにより購入したNFTが消失した場合

問6 役務提供の対価として取引先が発行するトークンを取得した場合

【第14回】

問7 商品の購入の際に購入先が発行するトークンを取得した場合

【第15回】

問8 ブロックチェーンゲームの報酬としてゲーム内通貨を取得した場合

【第16回】

問9 NFTを贈与又は相続により取得した場合

【第17回】

問10 NFT取引に係る源泉所得税の取扱い

【第18回】

問11 NFT取引に係る消費税の取扱い①(デジタルアートの制作者)

【第19回】

問12 NFT取引に係る消費税の取扱い②(デジタルアートに係るNFTの転売者)

【第20回】

問13 財産債務調書への記載の要否

問14 財産債務調書へのNFTの価額の記載方法

問15 国外財産調書への記載の要否

【第21回】

2 暗号資産取引と所得区分(所得の種類)

(1) 暗号資産取引と所得区分の概要

【第22回】

(2) 譲渡所得該当性を否定する国税庁の根拠

【第23回】

(3) 国会における議論①:譲渡所得該当性を否定する根拠

【第24回】

(4) 国会における議論②:資産ではあるが、譲渡所得の基因となる資産ではない?

【第25回】

(5) 国会における議論③:譲渡所得を肯定する学説と外貨の取扱い

【第26回】

(6) 国税庁の見解に対する疑問

ア 「①清算課税説」

【第27回】

イ 「②支払手段性」

【第28回】

ウ 「③暗号資産の譲渡益の性質」と「④結論」

【第29回】

《更なる考察》邦貨と外貨の交換(両替)と所得税法33条の「譲渡」

【第30回】

3 所得税における暗号資産の信用取引

【第31回】

4 その他雑所得と必要経費

(1) 必要経費の問題

【第32回】

(2) 業務に係る雑所得とその他雑所得の区分とその判断基準

【第33回】

5 マイニング所得と雑所得

(1) マイニングとは

(2) 事案の概要

(3) 基礎事実(請求人による仮想通貨のマイニングについて)

(4) 当事者の主張と争点

(5) 審判所の判断

ア 審判所の判断枠組み

イ 結論と理由

【第34回】

6 異なる種類の暗号資産同士の交換は課税イベントか

【第35回】

7 暗号資産同士の交換時に課税しないという改正要望

【第36回】

8 暗号資産の所得は誰に帰属するか

【第37回】

9 暗号資産の節税コンサルティングの被害と損害賠償

(1) 事案の概要

(2) 事実関係

(3) 裁判所の判断

(4) 類似事案における重加算税の賦課

【第38回】

10 暗号資産に係る所得を分離課税にしてほしいという改正要望

【第39回】

11 詐欺・盗難等による暗号資産の損失①(譲渡原価等と現金類似の取扱い)

【第40回】

12 詐欺・盗難等による暗号資産の損失②(雑所得の基因となる資産の損失)

【第41回】

13 詐欺・盗難等による暗号資産の損失③(雑損控除)

【第42回】

14 秘密鍵を紛失した場合

【第43回】

15 暗号資産交換業者から暗号資産に代えて金銭の補償を受けた場合

(1) 国税庁の見解

(2) 損害賠償金の課税関係

【第44回】

(3) 補償金の非課税所得該当性

(4) タックスアンサーの回答の検討

【第45回】

16 暗号資産の損失と立証責任

(1) 事案の概要

(2) 基礎事実

(3) 争点

(4) 争点についての当事者の主張

【第46回】

(5) 審判所の判断

(6) コメント

【第47回】

17 ビットコインETFと分離課税(その1):概要

(1) SECによるビットコインETFの承認

(2) ETFとは

(3) ビットコインETFの特徴

【第48回】

18 ビットコインETFと分離課税(その2):問題意識①

【第49回】

19 ビットコインETFと分離課税(その3):問題意識②

【第50回】

20 ビットコインETFと分離課税(その4):本信託の概要

(1) 本信託と本件持分

(2) 本信託の設立

(3) 本信託の投資目的等

(4) 本信託とビットコイン等

(5) その他

【第51回】

21 ビットコインETFと分離課税(その5):本信託のスキーム図と主な関係者

(1) スキーム図

(2) 主な関係者

ア スポンサー(Sponsor)

イ 受託者(Trustee)

ウ 管理者(Administrator)

エ 名義書換代理人(Transfer Agent)

オ ビットコインカストディアン(Bitcoin Custodian)

カ キャッシュカストディアン(Cash Custodian)

キ 指定参加者(Authorized Participant)

ク 持分所有者(Shareholder)

ケ その他の関係者

【第52回】

22 ビットコインETFと分離課税(その6):本信託の仕組み

(1) 設定と償還(指定参加者による買注文と売注文)

ア バスケット単位による設定と償還

イ 発行プロセス

ウ 償還プロセス

(2) 資金の使途

(3) ハードフォークによって生ずる付随的権利等の取扱い

(4) 持分所有者に対する分配

(5) 本信託の終了

【第53回】

(6) 受益権と本件持分

ア 概要

イ 本件持分の発行方式等

ウ 本件持分の譲渡方式等

(7) 米国連邦所得税の課税関係

ア スポンサーの意図

イ 信託課税

ウ 米国持分所有者に対する課税

(8) 非米国持分所有者への課税

(9) 米国における情報申告とバックアップ源泉徴収

【第54回】

23 ビットコインETFと分離課税(その7):本件分離課税特例「株式等」及び「上場株式等」

(1) 本件分離課税特例における「株式等」及び「上場株式等」の意義

(2) 「投資信託の受益権」該当性

ア 特定資産の意義と「投信法上の投資信託」該当性①

【第55回】

イ 特定資産の意義と「投信法上の投資信託」該当性②

ウ 「外国投資信託」該当性

【第56回】

エ 外国信託が投信法上の投資信託に類するものといえるかどうかは種々の事情を総合勘案すべきという見解

(3) 「特定受益証券発行信託の受益権」該当性

【第57回】

(4) 「法人課税信託」該当性

ア 「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」該当性

(ア) 受益権を表示する「紙片」を発行する旨の定めがない信託は含まれないとする見解

【第58回】

(イ) 特定受益証券発行信託とそれ以外の受益証券発行信託で異なる課税方式を採用した趣旨

【第59回】

イ 紙片を発行せずに振替式を利用する定めのある外国信託も含まれるとする見解①(規定の趣旨との関係)

【第60回】

ウ 紙片を発行せずに振替式を利用する定めのある外国信託も含まれるとする見解②(社債等振替法に係る振替受益権との関係)

(ア) 信託法と社債等振替法

(イ) 法人税法

【第61回】

エ 「集団投資信託」該当性

(ア) 合同運用信託と紙片を発行する旨の定めがない外国投資信託

(イ) 「信託会社」該当性

【第62回】

(ウ) 「金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの」及び「信託」等該当性

オ 「信託」該当性

カ 本信託の法人課税信託該当性とその効果

(5) 「株式等で金融商品取引所に上場されているものに類するもの」

(6) 本件分離課税特例(分離課税)の適用の可否

【第63回】

24 ビットコインETFと分離課税(その8):まとめ

【第64回】

25 ビットコインETFと分離課税(その9):国税庁の回答

【第65回】

26 DeFi取引と課税①:DeFiとDEX

(1) DeFiとは

(2) スマートコントラクトとは

(3) DEXとは

【第66回】

(4) Uniswap

【第67回】

27 DeFi取引と課税②:流動性供給開始は課税イベントか

(1) 課税イベントになるという見解

(2) 課税イベントと実現

【第68回】

(3) 暗号資産(トークン)の含み損益の課税イベント

【第69回】

(4) 権利義務の帰属主体の不存在

(5) 課税イベントの候補

【第70回】

28 DeFi取引と課税③:トークンのラップは課税イベントか

(1) ラップとブリッジ

【第71回】

(2) BTCからWBTCへのラップ

(3) ラップは課税イベントか

ア 課税イベントと捉える見解

【第72回】

イ カストディアンがいるケース

ウ カストディアンがいないケース

【第73回】

29 CARF(暗号資産等報告枠組み)と日本版CARF

(1) CARF・日本版CARFの概要①

【第74回】

(2) CARF・日本版CARFの概要②

【第75回】

(3) CARF・日本版CARFの概要③

ア 暗号資産

【第76回】

イ RCASPと報告暗号資産交換業者等

【第77回】

30 暗号資産と税務調査①

(1) 問題意識と方向性

【第78回】

(2) 匿名性・分散性と税務執行上の問題

ア スーパータックスヘイブンとしての暗号資産の特徴

【第79回】

イ 暗号資産の匿名性

【第80回】

ウ 匿名性・分散性の相互関連性

【第81回】

エ 匿名性がもたらす税務執行上の問題

【第82回】

オ 暗号資産の分散性

【第83回】

カ 分散性がもたらす税務執行上の問題

【第84回】

キ CARFの限界

【第85回】

ク CARFとプライベートウォレットアドレスの情報

【第86回】

ケ 日本における状況と国税庁が直面する問題

(ア) 暗号資産利用者の増加への対応

【第87回】

(イ) 税務調査による税務コンプライアンスの確保とCEXへの着目

【第88回】

(ウ) 海外CEX、DEX、プライベートウォレットの利用がもたらす問題

【第89回】

(エ) 海外CEX、DEX、プライベートウォレットと税務調査

【第90回】

31 暗号資産と税務調査②:ブロックチェーン分析

(1) ブロックチェーン分析とは何か

ア ブロックチェーン分析とは

イ パブリックブロックチェーンの「公開性」と「仮名性」

【第91回】

ウ オンランプ・オフランプという現実世界との接点

【第92回】

(2) ブロックチェーン分析の税務調査利用

ア ブロックチェーン分析による追跡・調査選定

【第93回】

イ 実際のブロックチェーン分析ツール

【第94回】

ウ ブロックチェーン分析を用いた暗号資産脱税事件(米国の事例)

(ア) 事案の概要

(イ) ブロックチェーン分析の関与

(ウ) 捜査・立証活動

(エ) 公開情報と情報分析・変換能力

(オ) 総括

【第95回】

エ ブロックチェーン分析を利用した大規模選定

(ア) ブロックチェーン分析の選定利用

(イ) データソリューションズ × リアクターによる効率的大規模選定

【第96回】

(3) 期待と限界

ア ブロックチェーン分析の有効性:期待と限界

イ 国税庁がとるべき対応策

ウ まとめ

【第97回】

32 暗号資産と税務調査③:損益計算の困難性と税務執行上の問題

(1) 暗号資産の損益計算の手順と重要性

ア 概要

イ 損益計算の基本的手順

(2) 暗号資産の損益計算に必要な知識やスキル

【第98回】

(3) 暗号資産の損益計算の困難性

ア 概要

イ 各段階で生じる問題

① 取引所やブロックチェーンからデータを取得等

【第99回】  10/1公開予定

② データを損益計算ソフトに取込み

③ 確認を要する取引や年末数量不一致の問題を解消

【第100回】  10/15公開予定

④ 取引金額・損益計上の有無・タイミング等を判断し、損益を確定

(ア) ブロックチェーンの記録からわかること・わからないこと

(イ) トランザクション別取引タイプと問題点・注意点

(ウ) その他損益計算時の問題点・注意点

【第101回】  10/29公開予定

(4) 問題への対処方法とその困難性

ア 対処方法

【第102回】  11/12公開予定

イ 納税者が直面するギャップ

【第103回】  11/26公開予定

ウ ブロックチェーンエクスプローラーの不完全性

【第104回】  12/10公開予定

エ 国税庁が直面する問題

オ 国税庁がとるべき対応策

【第105回】  12/24公開予定

33 暗号資産と税務調査④:まとめ

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

泉 絢也

(いずみ・じゅんや)

東洋大学法学部教授
博士(会計学)

2023年3月末まで千葉商科大学商経学部准教授、2023年4月から2025年3月末まで東洋大学法学部准教授の後、2025年4月より東洋大学法学部教授。中央大学ビジネススクール非常勤講師。
(一社)アコード租税総合研究所研究顧問。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。博士(会計学・中央大学)。
Twitter:@taxlaw17
ブログ:https://note.com/cryptotax/

【著書】
・泉絢也『暗号資産の税金はこう変わる-分離課税の仕組みと実務』(清文社2026)(単著)
・泉絢也『逐条解説 法人税法第22条の2 収益認識会計基準に対応する法令・通達の論点整理』(清文社2023)(単著)
・泉絢也=藤本剛平『事例でわかる! NFT・暗号資産の税務』(中央経済社2022)(共著)
・泉絢也『パブリックコメントと租税法』(日本評論社2020)(単著)
・酒井克彦編『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(ぎょうせい2019)(共著)
・松嶋 隆弘=渡邊涼介編著『仮想通貨はこう変わる!!暗号資産の法律・税務・会計』(ぎょうせい2019)(共著)

【論文】
・「仮想通貨(暗号通貨、暗号資産)の譲渡による所得の譲渡所得該当性-アメリカ連邦所得税におけるキャピタルゲイン及び為替差損益の取扱いを手掛かりとして-」税法学581号3頁以下
・「NFT(ノンファンジブルトークン)の譲渡による所得は 譲渡所得か?もしそうであれば非課税所得か?」千葉商大論叢59巻3号143頁など
・「法人税法における暗号資産税制の問題点(1)・(2完)-期末時価評価課税の改正提言-」千葉商大論叢60巻1号73頁、千葉商大紀要60巻1号61頁
など多数

 

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