〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載24〕
判決により取扱いが変更となった
通達改正に係る事案の更正の請求
税理士 小林 磨寿美
平成25年2月28日、東京高裁(平成24年3月2日東京地裁)において、平成16年の相続事案について、平成2年の通達改正において定めた大会社における株式保有特定会社の判定基準を株式保有割合25%以上とした取扱いを適用することは、平成9年の独禁法改正以後の平成15年の大法人の株式保有割合の実情16.31%(平成元年度7.38%)であることを考慮すると、合理的でないとした判決が確定した。
国税庁はこの判決を受け財産評価基本通達189(2)を改正し、大会社の株式保有特定会社の判定基準を株式保有割合「25%以上」から「50%以上」とした改正通達を、平成25年5月28日に発遣し、ホームページ上にて5月31日に公表した。
1 通達の有利改正と更正の請求
『「財産評価基本通達の一部改正について」通達等のあらましについて(情報)(平成25年5月28日)(平成25年5月31日)』の別添の「あらまし」では、この改正通達の適用時期として、「本改正に係る改正後の評価通達(大会社の判定基準)は、平成25年5月27日以後に相続、遺贈又は贈与(以下「相続等」という。)により取得した財産を評価する場合に適用するほか、本改正が判決に伴うものであり、過去の相続税等についても、通則法第23条第2項第3号の規定に基づき更正の請求をすることができる(注)ことを踏まえ、平成25年5月27日以後に相続税等の申告をする者が、平成25年5月27日前に相続等により取得した財産を評価する場合にも適用することができる。」としている。
つまりは、平成25年5月27日以後の相続税等の申告について、この改正を適用することができることに加え、通則法第23条第2項第3号の規定に基づき、過去の相続税等についても更正の請求をすることができることを明らかにしている。
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