公開日: 2013/10/10 (掲載号:No.39)
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〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載39〕 事業承継税制新債務控除と猶予税額

筆者: 岡野 訓

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載39〕

事業承継税制新債務控除と猶予税額

 

税理士 岡野 訓

 

1 相続税の猶予税額の計算方法

平成25年度税制改正において、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度を利用するにあたり、相続税の課税価格から控除すべき被相続人の債務及び葬式費用がある場合には、納税猶予税額の計算上、その被相続人の債務及び葬式費用については、特例非上場株式等以外の財産の価額から控除することとされた。

従前の制度では、被相続人の債務及び葬式費用は、まず納税猶予制度の対象となる非上場株式等から先に控除することとされていたため、その分、納税猶予税額が少なく計算されていた。

新制度は、平成27年1月1日以後の相続又は遺贈(以下、単に「平成27年以後の相続等」)について適用される。

ここでは、今回の改正による納税猶予税額への影響を具体的な数字を使って検証してみたい。

 

2 納税猶予分の相続税額

納税猶予分の相続税額は、次の(1)の金額から(2)の金額を控除した残額とされている(措法70の7の2②五、措令40の8⑬~⑯)。

(1) 特定価額を経営承継相続人等に係る相続税の課税価格とみなして、相続税法第13条から第19条まで、第21条の15第1項及び第2項並びに第21条の16第1項及び第2項の規定を適用して計算した当該経営承継相続人等の相続税の額(注)

(注) 特定価額以外の取得財産に係る相続税額から控除しきれない税額控除額があるときは、その控除しきれなかった税額控除額を控除した金額とされる(措令40の8⑬括弧書き)。

(2) 特定価額の20%に相当する金額を経営承継相続人等に係る相続税の課税価格とみなして、相続税法第15条から第19条まで、第21条の15第1項及び第2項並びに第21条の16第1項及び第2項の規定を適用して計算した当該経営承継相続人等の相続税の額

(1)の金額とは、要するに、経営承継相続人等以外の取得財産はそのままに、会社の後継者である経営承継相続人等が、特例対象となる非上場株式等だけを相続したものとして計算された経営承継相続人等の相続税額のことである。

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事業承継税制新債務控除と猶予税額

 

税理士 岡野 訓

 

1 相続税の猶予税額の計算方法

平成25年度税制改正において、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度を利用するにあたり、相続税の課税価格から控除すべき被相続人の債務及び葬式費用がある場合には、納税猶予税額の計算上、その被相続人の債務及び葬式費用については、特例非上場株式等以外の財産の価額から控除することとされた。

従前の制度では、被相続人の債務及び葬式費用は、まず納税猶予制度の対象となる非上場株式等から先に控除することとされていたため、その分、納税猶予税額が少なく計算されていた。

新制度は、平成27年1月1日以後の相続又は遺贈(以下、単に「平成27年以後の相続等」)について適用される。

ここでは、今回の改正による納税猶予税額への影響を具体的な数字を使って検証してみたい。

 

2 納税猶予分の相続税額

納税猶予分の相続税額は、次の(1)の金額から(2)の金額を控除した残額とされている(措法70の7の2②五、措令40の8⑬~⑯)。

(1) 特定価額を経営承継相続人等に係る相続税の課税価格とみなして、相続税法第13条から第19条まで、第21条の15第1項及び第2項並びに第21条の16第1項及び第2項の規定を適用して計算した当該経営承継相続人等の相続税の額(注)

(注) 特定価額以外の取得財産に係る相続税額から控除しきれない税額控除額があるときは、その控除しきれなかった税額控除額を控除した金額とされる(措令40の8⑬括弧書き)。

(2) 特定価額の20%に相当する金額を経営承継相続人等に係る相続税の課税価格とみなして、相続税法第15条から第19条まで、第21条の15第1項及び第2項並びに第21条の16第1項及び第2項の規定を適用して計算した当該経営承継相続人等の相続税の額

(1)の金額とは、要するに、経営承継相続人等以外の取得財産はそのままに、会社の後継者である経営承継相続人等が、特例対象となる非上場株式等だけを相続したものとして計算された経営承継相続人等の相続税額のことである。

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連載目次

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議〕 第1回~第50回

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議〕 第51回~

筆者紹介

岡野 訓

(おかの さとる)

税理士

平成 5 年 大阪教育大学教育学部卒業
平成13年 税理士登録
平成14年 岡野会計事務所開業
平成20年 税理士法人熊和パートナーズ設立 代表社員就任
平成27年 「税理士法人 鹿児島さくら会計」と経営統合し、「税理士法人 さくら優和パートナーズ」へ社名変更

【著書】
『改訂増補 実践/一般社団法人・信託 活用ハンドブック』清文社(共著)
速報版 税理士が押さえておきたい 民法相続編の改正』清文社(共著)
『実務目線からみた事業承継の実務』大蔵財務協会(共著)
『税理士が実務で直面する税務判断厳選20事案解決法』大蔵財務協会(共著)
『法人税の純資産』中央経済社(共著)
『会社合併の実務必携』法令出版(共著)
『事業承継とその税務対策』金融経済新聞社(共著)
『徹底解明 会社法の法務・会計・税務』清文社(共著)
『税務訴訟と要件事実論』清文社(共著)

【事務所】
〒860-0862
熊本市中央区黒髪1丁目11-10 TOKOビル2階
税理士法人 さくら優和パートナーズ
TEL 096-341-1555
FAX 096-341-1556/096-341-1557
URL http://s-ket.com

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