公開日: 2014/04/24 (掲載号:No.66)
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〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載59〕 ヤフー事件(東京地裁判決)からみた買収後の合併により被合併法人の欠損金を引き継ぐ場合の「みなし共同事業要件」に関する考察

筆者: 竹内 陽一

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載59〕

ヤフー事件(東京地裁判決)からみた

買収後の合併により被合併法人の欠損金を引き継ぐ場合の

「みなし共同事業要件」に関する考察

 

税理士 竹内 陽一

 

はじめに

ヤフー事件の判決が平成26年3月18日に東京地裁で出された。
この判決文がTAINSデータベースに収録されたことから、以下、この判決文によりその概要をまとめ、欠損金のある法人の買収事案のうち、特定役員引継要件によって「みなし共同事業要件」をクリアしようとする場合の注意点について述べたい。

なお本件の教訓としては、欠損金のある法人の合併による買収事案においては、欠損金を引き継ぐために、買収による支配関係成立前に、規模要件や特定役員引継要件を満たすか否かを判断し、速やかに合併するか、あるいは、支配関係発生から5年超経過要件を満たしてから合併をするか、という2つの選択肢しかない、と言っても過言ではない。

 

1 事件の概要

判決文では、原告を「A株式会社」、その株式の42%を保有している法人を「B社」としているが、これらは既知であるため、本稿では、「B社」をソフトバンク=S社とし、「A株式会社」をヤフー日本法人=Y社と表示する。
そして、被合併法人は「C社」、C社の非適格分割によって設立された法人を「F社」と表示する。また、S社社長兼Y社会長を乙、S社取締役兼Y社社長を丙と表示する。

ヤフー事件においては、買収及び合併の直前に丙が被合併法人となるC社の副社長に就任した後に合併を行い、特定役員引継要件を充足したものとして、合併によりC社の繰越欠損金543億円(平成14年3月期から平成18年3月期まで)をY社に引き継いだことが問題とされた。

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ヤフー事件(東京地裁判決)からみた

買収後の合併により被合併法人の欠損金を引き継ぐ場合の

「みなし共同事業要件」に関する考察

 

税理士 竹内 陽一

 

はじめに

ヤフー事件の判決が平成26年3月18日に東京地裁で出された。
この判決文がTAINSデータベースに収録されたことから、以下、この判決文によりその概要をまとめ、欠損金のある法人の買収事案のうち、特定役員引継要件によって「みなし共同事業要件」をクリアしようとする場合の注意点について述べたい。

なお本件の教訓としては、欠損金のある法人の合併による買収事案においては、欠損金を引き継ぐために、買収による支配関係成立前に、規模要件や特定役員引継要件を満たすか否かを判断し、速やかに合併するか、あるいは、支配関係発生から5年超経過要件を満たしてから合併をするか、という2つの選択肢しかない、と言っても過言ではない。

 

1 事件の概要

判決文では、原告を「A株式会社」、その株式の42%を保有している法人を「B社」としているが、これらは既知であるため、本稿では、「B社」をソフトバンク=S社とし、「A株式会社」をヤフー日本法人=Y社と表示する。
そして、被合併法人は「C社」、C社の非適格分割によって設立された法人を「F社」と表示する。また、S社社長兼Y社会長を乙、S社取締役兼Y社社長を丙と表示する。

ヤフー事件においては、買収及び合併の直前に丙が被合併法人となるC社の副社長に就任した後に合併を行い、特定役員引継要件を充足したものとして、合併によりC社の繰越欠損金543億円(平成14年3月期から平成18年3月期まで)をY社に引き継いだことが問題とされた。

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連載目次

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議〕 第1回~第50回

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議〕 第51回~

筆者紹介

竹内 陽一

(たけうち よういち)

税理士
一般社団法人FIC 代表理事

【著書】
平成26年度税制改正の要点解説』(清文社)
『グループ法人税制対応 実践ガイド 企業組織再編税制』(清文社)
自社株評価Q&A』(清文社)
『新公益法人の実務ハンドブック』(清文社)
『詳解グル-プ法人税制』(法令出版)
『医療法人の法務と税務』(法令出版)
『会社合併実務必携』(法令出版)
『Q&A自己株式の実務』(新日本法規)
『Q&A株主資本の実務」(新日本法規)ほか

【事務所】
大阪市北区南森町1-4-19 サウスホレストビル4階
TEL 06-6312-5788
FAX 06-6312-5799

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