〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載15〕
事業承継税制と
認定(贈与)承継会社の合併
税理士 内藤 忠大
事業承継税制(措法70の7から70の7の4)は、会社の経営権を委譲するために、現経営者から後継者へ非上場株式を移転したときに課税される贈与税・相続税の納税を猶予する制度である。
事業承継の円滑化に資すること、事業の継続・発展を通じた雇用の確保と地域経済の活力を維持することという政策目的を達成するため、制度適用時以後、納税が免除されるまで、多くの要件が定められている。一つでも要件を満たさなければ納税猶予の期限が確定、つまり納税猶予は打ち切られ、猶予中贈与税額・猶予中相続税額を納税することになる。
認定(贈与)承継会社が消滅することは納税猶予の打切り事由であるが、これには合併による消滅も含まれる。合併により納税猶予が打ち切られれば、認定(贈与)承継会社は合併を躊躇することにもなり、結果的に雇用確保や地域経済の活力維持という目的も達成できなくなることもありえる。
そこで、合併後も経営承継受贈者・経営承継相続人等が合併法人の株主として合併法人の経営に従事している場合には、認定(贈与)承継会社は経営を継続していると考えることもできるため、合併法人が合併効力発生日において一定の要件に該当することについての経済産業大臣の確認を受けたときは、その合併効力発生日に特別贈与認定中小企業者又は特別相続認定中小企業者の地位の承継(認定の承継)をしたものとみなされ(円滑化規10(1)ただし書、(2)ただし書)、「認定の承継」がされた場合は、税務上も納税猶予を継続させる制度設計になっている。
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(以下「円滑化法」)における「認定の承継」を受けるためには、合併対価は合併法人株式のみであることが必要である。
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