〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載40〕
外国子会社への出向者の
帰国後の現地所得税を
内国法人が負担した場合の取扱い
税理士 郭 曙光
内国法人が社員を外国子会社に出向させ、社員の現地における所得税相当額を負担するというケースが見受けられるが、そのようなケースにおいて、社員が出向を終えて帰国し、帰国後に、外国子会社における勤務期間の給与に係る現地の所得税相当額を内国法人が負担した場合には、その負担額が内国法人からの国内における給与として源泉徴収の対象となる、という裁決(東裁(所)平23年第7号、平成23年7月6日)が出されている。
本稿においては、この裁決の内容を確認した上で、上記のようなケースとその類似ケースにおいて、内国法人が出向者の現地所得税相当額を負担した場合の取扱いについて、解説と検討を行うこととする。
1 本件裁決における海外勤務者給与に関する事実関係
本件裁決における事例(以下、「本件」という)における内国法人は、海外勤務規定や覚書等において、海外出向社員に対する海外勤務者給与について、次の図に示す処理を行っている。
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