〈小説〉
『資産課税第三部門にて。』
【第11話】
「受益者等のいない信託」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
「信託課税ってなかなか難しくて・・・おまけに、その課税の仕組みにおかしなところがありますよね。」
谷垣調査官は向かい合って座っている田中統括官に話しかけた。2人は河内税務署の地下にある食堂でランチBを食べている。正午の税務署の食堂はごった返している。
ランチBの価格は480円だが、その内容は近所のレストランで食べる800円程度の定食にもひけをとらない。むしろこのランチBの方が量も多く、しかも美味しいと評判だ。河内税務署の食堂では、550円のランチAよりも人気が高い。
「どこがおかしいんだ?」 田中統括官はナイフを使って丁寧にハンバーグを切りながら尋ねた。
「ええ・・・特に受益者等のいない信託のケースなんですけど・・・」
谷垣調査官は豆腐の入ったみそ汁を啜りながら答える。
「統括官もご存じのように、受益者等がいない信託は、受託者に課税するということになっているでしょう?」
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