公開日: 2025/08/07 (掲載号:No.630)
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〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第95話】「ふるさと納税返礼品と一時所得」

筆者: 八ッ尾 順一

カテゴリ:

〈小説〉

所得課税第三部門にて。』

【第95話】

「ふるさと納税返礼品と一時所得」

公認会計士・税理士 八ッ尾 順一

 

中尾統括官は、昼食後、爪楊枝を銜えながら新聞を読んでいる。
新聞の見出しは、「ふるさと納税、返礼品の価値は 税務申告めぐり、訴訟に発展」となっている。

「・・・返礼品の価値か・・・」
中尾統括官は、銜えている爪楊枝を上下させながら新聞を読み続ける。

《税務署、自治体支出の金額/納税者、照会に膨大な労力》

原告の女性は、2018年までの2年間に全国の延べ約110自治体に対し、ふるさと納税制度を使って計490件の寄付をした。それぞれについて返礼品を受け取り、その種類は食品や酒類、ホテル宿泊券など多様だった。

こうした返礼品は「一時所得」とみなされる。特別控除額(50万円)を超えた額の半額が原則、課税対象になる。

この女性は確定申告にあたって給与所得などは申告したが、返礼品から生じる一時所得は含めなかった。

税務署は女性に申告の修正を求めるのに際し、返礼品の価値について「自治体が調達のために支出した金額」と定義。寄付先の自治体に照会をかけ、返礼品490件の価値は計約280万円が相当と算出した。その上でこの分の所得税額計40万円超を増やす処分を女性に通知した。

(下線:筆者)

(※) 朝日新聞digital 2025.7.8

「・・・490件の寄付か・・・こんなに寄付をすると、毎日、自宅に返礼品が送られてきて、大変なことになると思うが・・・」

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〈小説〉

所得課税第三部門にて。』

【第95話】

「ふるさと納税返礼品と一時所得」

公認会計士・税理士 八ッ尾 順一

 

中尾統括官は、昼食後、爪楊枝を銜えながら新聞を読んでいる。
新聞の見出しは、「ふるさと納税、返礼品の価値は 税務申告めぐり、訴訟に発展」となっている。

「・・・返礼品の価値か・・・」
中尾統括官は、銜えている爪楊枝を上下させながら新聞を読み続ける。

《税務署、自治体支出の金額/納税者、照会に膨大な労力》

原告の女性は、2018年までの2年間に全国の延べ約110自治体に対し、ふるさと納税制度を使って計490件の寄付をした。それぞれについて返礼品を受け取り、その種類は食品や酒類、ホテル宿泊券など多様だった。

こうした返礼品は「一時所得」とみなされる。特別控除額(50万円)を超えた額の半額が原則、課税対象になる。

この女性は確定申告にあたって給与所得などは申告したが、返礼品から生じる一時所得は含めなかった。

税務署は女性に申告の修正を求めるのに際し、返礼品の価値について「自治体が調達のために支出した金額」と定義。寄付先の自治体に照会をかけ、返礼品490件の価値は計約280万円が相当と算出した。その上でこの分の所得税額計40万円超を増やす処分を女性に通知した。

(下線:筆者)

(※) 朝日新聞digital 2025.7.8

「・・・490件の寄付か・・・こんなに寄付をすると、毎日、自宅に返礼品が送られてきて、大変なことになると思うが・・・」

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連載目次

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』

筆者紹介

八ッ尾 順一

(やつお じゅんいち)

大阪学院大学法学部教授
公認会計士・税理士

昭和26年生まれ
京都大学大学院法学研究科(修士課程)修了

【著書】
・『第7版/事例からみる重加算税の研究』(令和4年)
・『十二訂版/図解 租税法ノート』(令和元年)
・『七訂版/租税回避の事例研究』(平成29年)
・『マンガでわかる税務調査―法人課税第三部門にて』(平成28年) ※Profession Journal掲載記事をマンガ化
・『事例による 資産税の実務研究』(平成28年)
・『法律を学ぶ人の 会計学の基礎知識』共著(平成27年)
・『新装版/入門税務訴訟』(平成22年)
・『マンガでわかる遺産相続』(平成23年)
・『判例・裁決からみる法人税損金経理の判断と実務』(平成23年)以上、清文社
・『入門 税務調査──小説でつかむ改正国税通則法の要点と検証』(平成26年)法律文化社

【論文】
「制度会計における税務会計の位置とその影響」で第9回日税研究奨励賞(昭和61年)受賞
【その他】
平成9~11年度税理士試験委員
平成19~21年度公認会計士試験委員(「租税法」担当)
 
      

関連書籍

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一般社団・財団法人の税務と相続対策活用Q&A

税理士法人タクトコンサルティング 公認会計士・税理士 平松慎矢 著
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