〈小説〉
『所得課税第三部門にて。』
【第95話】
「ふるさと納税返礼品と一時所得」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
中尾統括官は、昼食後、爪楊枝を銜えながら新聞を読んでいる。
新聞の見出しは、「ふるさと納税、返礼品の価値は 税務申告めぐり、訴訟に発展」となっている。
「・・・返礼品の価値か・・・」
中尾統括官は、銜えている爪楊枝を上下させながら新聞を読み続ける。
《税務署、自治体支出の金額/納税者、照会に膨大な労力》
原告の女性は、2018年までの2年間に全国の延べ約110自治体に対し、ふるさと納税制度を使って計490件の寄付をした。それぞれについて返礼品を受け取り、その種類は食品や酒類、ホテル宿泊券など多様だった。
こうした返礼品は「一時所得」とみなされる。特別控除額(50万円)を超えた額の半額が原則、課税対象になる。
この女性は確定申告にあたって給与所得などは申告したが、返礼品から生じる一時所得は含めなかった。
税務署は女性に申告の修正を求めるのに際し、返礼品の価値について「自治体が調達のために支出した金額」と定義。寄付先の自治体に照会をかけ、返礼品490件の価値は計約280万円が相当と算出した。その上でこの分の所得税額計40万円超を増やす処分を女性に通知した。
(下線:筆者)
(※) 朝日新聞digital 2025.7.8
「・・・490件の寄付か・・・こんなに寄付をすると、毎日、自宅に返礼品が送られてきて、大変なことになると思うが・・・」
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