〈一角塾〉
図解で読み解く国際租税判例

【第96回】
「国際興業事件(混合配当に関する事案)-プロラタ計算違法判決-(地判平29.12.6、高判令元.5.29、最判令3.3.11)(その1)」
~法人税法23条1項1号・23条の2第1項・24条1項3号・61条の2第1項・61条の2第17項、法人税法施行令23条1項3号・119条の9第1項~
公認会計士・税理士 西川 浩史
- 東京地裁:平成29年12月6日判決【税資第267号-146(順号13095)】(TAINSコード:Z267-13095)
- 東京高裁:令和元年5月29日判決【税資第269号-53(順号13276)】(TAINSコード:Z269-13276)
- 最高裁:令和3年3月11日判決【税資第271号-39(順号13541)】(TAINSコード:Z271-13541)
1 はじめに
本件は、外国子会社から資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当(以下「混合配当」ともいう。)を受けた納税者が、資本剰余金を原資とする部分は資本の払戻し(法人税法24条1項3号[現4号:以下省略])とし、利益剰余金を原資とする部分は剰余金の配当(法人税法23条1項1号)として申告したところ、課税庁から、配当の全額が資本の払戻しに該当するとして更正処分を受けた事案である。
本件の納税者は、当時、経営再建中のため海外資産を売却して早期に資金を回収する必要があったものと思われる。そこで、平成21年度税制改正で企業の海外利益還流を促進する目的で導入された外国子会社受取配当益金不算入制度(外国子会社からの受取配当の95%を益金不算入とする制度)を利用するだけでなく、さらに資本の払戻しを組み込むことにより多額の株式譲渡損失計上による節税策を行った。
地裁、高裁、最高裁ともに納税者勝訴となったが、混合配当に関する規定適用の考えが各判決において異なっている。高裁は、納税者同様、資本剰余金を原資とする配当は資本の払戻しとし、利益剰余金を原資とする配当は剰余金の配当に該当するとした。一方、地裁及び最高裁では、課税庁同様、配当の全額が資本の払戻しに該当するとした。
また、最高裁は、法人税法施行令23条1項3号[現4号:以下省略](株式対応部分金額のプロラタ計算を定めた規定)について、本件のような場合に限れば、法人税法の趣旨に適合するものではなく、同法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効というべきであると判示した。
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