〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載51〕
会社分割等における債権者保護制度の見直し
司法書士 北詰 健太郎
司法書士 森 明日香
1 はじめに
平成25年11月29日に閣議決定された「会社法の一部を改正する法律案」(以下「改正法案」という)の中で、会社分割等における債権者保護制度の見直しが図られることとなった。これにより、「詐害的会社分割」をめぐる残存債権者保護制度の見直しと、分割会社に知れていない債権者保護制度の見直しが行われることとなる。
そこで本稿では、現行法下での会社分割等における債権者保護制度が抱える問題点を確認し、法案による見直しの内容と、当該見直しが実務に与える影響について考察する。
2 「詐害的会社分割」をめぐる残存債権者保護制度について
(1) 現行法下における残存債権者保護の内容とその問題点
現行法下において物的分割を行う場合、分割後も分割会社に残存する債権者(本稿において「残存債権者」という)は、債権者保護手続の対象とはされていない(会社法789条1項2号、会社法810条1項2号)。これは、会社分割により承継会社等に対して財産を移転させる対価として分割会社は承継会社等の株式の交付を受けることから、分割会社の財産に減少は生じず、残存債権者を害することはないと考えられているためである(※1)。
(※1) 「会社法制の見直しに関する中間試案の補足説明」(商事法務 No.1952)(以下「補足説明」)、55頁。
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