〈小説〉
『資産課税第三部門にて。』
【第1話】
「書面添付(その1)」
~意見聴取後の修正申告~
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
-はじめに-
本連載は、税務署の「資産課税部門」内での出来事を執筆したものであり、資産課税部門が行う税務調査等について、どのような議論がされているのかを中心として、分かりやすく紹介していく。
なお、本連載の内容はフィクションであり、登場する人物や団体等は、実在のものとは一切関係ないことを予めお伝えしておく。
「おい、谷垣君!」
田中統括官が谷垣調査官を呼んだ。
昨年7月の人事異動で、谷垣調査官は、河内税務署資産課税第三部門に配属された。
谷垣調査官は、国専(国税専門官採用)40期生である。
「法人課税部門からこんな資料をもらったんだけど。」
田中統括官はそう言いながら、資料を谷垣調査官に見せた。
「何ですか?」 谷垣調査官は、資料を見ながら尋ねた。
「見れば分かるだろう。」 田中統括官は、少し怒ったように言った。
「法人課税部門の調査結果だよ。」
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