〈小説〉
『資産課税第三部門にて。』
【第18話】
「取得費の算定方法」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
「統括官、お尋ねしたいのですが・・・譲渡所得を計算するときに、不動産の取得費が分からなかった場合、必ず措置法31条の4を適用しなければならないのですか?」
谷垣調査官は条文を示しながら田中統括官に尋ねた。
租税特別措置法31条の4(長期譲渡所得の概算取得費控除)
個人が昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地等又は建物等を譲渡した場合における長期譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法第38条及び第61条の規定にかかわらず、当該収入金額の100分の5に相当する金額とする。(以下略)
(注) 措置法第31条の4第1項の規定は、昭和27年12月31日以前から引き続き所有していた土地建物等の譲渡所得の金額の計算につき適用されるのであるが、昭和28年1月1日以後に取得した土地建物等の取得費についても、同項の規定に準じて計算して差し支えないものとする(措置法関係通達31の4-1(昭和28年以後に取得した資産についての適用))。
「取得費が分からないということは、取得したときの売買契約書を紛失したということなのか?」
田中統括官は少し苛立った様子で確認する。
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