〈小説〉
『所得課税第三部門にて。』
【第82話】
「定額減税」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
「・・・しかし・・・評判が悪いですねえ・・・」
浅田調査官は、ため息をついて、中尾統括官に声をかける。
「・・・評判が悪いって、例の・・・定額減税のこと?」
中尾統括官は、含み笑いをして、尋ねる。
「ええ、そうです・・・納税者の人と話すと、減税をする制度なのに、その手続が煩雑なことから、定額減税は止めるべきだと言うんですよ」
浅田調査官も苦り切った表情になる。
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