〈小説〉
『所得課税第三部門にて。』
【第87話】
「103万円の壁」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
「103万円の壁か・・・」
そう言うと、中尾統括官は、傍らにいる浅田調査官を見る。
「浅田君・・・この年収の壁って、本当に深刻なの?」
浅田調査官は、机の上で、調査報告の起案をしている。
「はあ・・・103万円の壁って・・・近頃・・・よく聞きますが・・・」
浅田調査官は、あまり関心を示さない。
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