〈小説〉
『所得課税第三部門にて。』
【第21話】
「ふるさと納税制度」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
「中尾統括官は昨年、いくらふるさと納税をしましたか?」
昼休みに、浅田調査官は座っている椅子をまわして、尋ねる。
「ふるさと納税・・・か?」
新聞を読んでいた中尾統括官は顔を上げる。
「たしか・・・10万円ぐらいだったと思うが・・・」
中尾統括官は自信なさそうに答える。
「統括官は給与収入額が多いから、もっとふるさと納税をしても良かったのではないですか?」
浅田調査官は、笑いながら言う。
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