公開日: 2023/12/07 (掲載号:No.547)
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〈小説〉『所得課税第三部門にて。』 【第75話】「消費者契約法と納税者保護」

筆者: 八ッ尾 順一

カテゴリ:

〈小説〉

所得課税第三部門にて。』

【第75話】

「消費者契約法と納税者保護」

公認会計士・税理士 八ッ尾 順一

 

浅田調査官は、先ほどから、消費者契約法1条(目的)を読んでいる。

この法律は、消費者事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(下線:筆者)

「・・・これって、消費者を『納税者』とし、事業者を『税務署』と読み替えると、納税者と税務署の関係に当てはまるのでは・・・」
浅田調査官は、振り返って、中尾統括官に尋ねる。

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〈小説〉

所得課税第三部門にて。』

【第75話】

「消費者契約法と納税者保護」

公認会計士・税理士 八ッ尾 順一

 

浅田調査官は、先ほどから、消費者契約法1条(目的)を読んでいる。

この法律は、消費者事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(下線:筆者)

「・・・これって、消費者を『納税者』とし、事業者を『税務署』と読み替えると、納税者と税務署の関係に当てはまるのでは・・・」
浅田調査官は、振り返って、中尾統括官に尋ねる。

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連載目次

〈小説〉『所得課税第三部門にて。』

筆者紹介

八ッ尾 順一

(やつお じゅんいち)

大阪学院大学法学部教授
公認会計士・税理士

昭和26年生まれ
京都大学大学院法学研究科(修士課程)修了

【著書】
・『第7版/事例からみる重加算税の研究』(令和4年)
・『十二訂版/図解 租税法ノート』(令和元年)
・『七訂版/租税回避の事例研究』(平成29年)
・『マンガでわかる税務調査―法人課税第三部門にて』(平成28年) ※Profession Journal掲載記事をマンガ化
・『事例による 資産税の実務研究』(平成28年)
・『法律を学ぶ人の 会計学の基礎知識』共著(平成27年)
・『新装版/入門税務訴訟』(平成22年)
・『マンガでわかる遺産相続』(平成23年)
・『判例・裁決からみる法人税損金経理の判断と実務』(平成23年)以上、清文社
・『入門 税務調査──小説でつかむ改正国税通則法の要点と検証』(平成26年)法律文化社

【論文】
「制度会計における税務会計の位置とその影響」で第9回日税研究奨励賞(昭和61年)受賞
【その他】
平成9~11年度税理士試験委員
平成19~21年度公認会計士試験委員(「租税法」担当)
 
      

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