相続税の実務問答
【第11回】
「代償分割の対象となった財産の中に小規模宅地等がある場合」
税理士 梶野 研二
[問]
前回の説明では、代償分割の対象となった財産の通常の取引価額と相続税評価額に開差がある場合には、相続税の課税価格の計算上、代償金の額の調整計算を行うこととなるとのことでした。
私たちの場合には、これまで母と兄の居住の用に供されていた建物とその敷地を兄が相続することになり、私は、兄から代償金の交付を受けました。前回の回答によれば、それぞれの相続税の課税価格は次のとおりになります。
〈私(質問者)の課税価格〉
〈兄の課税価格〉
(注) 代償債務の圧縮計算
ところで、兄が相続した上記の建物の敷地について、租税特別措置法第69条の4第1項に規定する「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」を適用することができることが分かりました。この場合には、兄と私のそれぞれの相続税の課税価格はどのように計算することとなるのでしょうか。
なお、兄が取得した母の居住の用に供していた建物の相続税評価額は680万円、その敷地の相続税評価額は7,000万円です。
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