相続税の実務問答
【第55回】
「生前贈与の加算と贈与税の期限後申告」
税理士 梶野 研二
[問]
父が令和2年9月に亡くなりました。相続人である兄と私で遺産分割協議をした結果、父の遺産は、相続人である私と兄が法定相続分どおり取得することとなり、現在、相続税の申告の準備をしているところです。
父の預金の入出金をチェックしたところ、令和元年6月に200万円の出金があり、父と同居していた兄に確認したところ、兄が乗用車を買う際に父が兄に贈与したものだということが分かりました。兄は、この贈与について、贈与税の申告を行っていないとのことです。
相続によって財産を取得した者が、被相続人から相続開始前3年以内に受けた贈与財産の価額は相続税の課税価格に加算するとともに、その贈与に係る贈与税の金額は相続税額から控除することができるとのことですので、父から贈与された200万円は相続税の課税価格に加算しますが、贈与税の申告を行ってもその贈与税額は相続税の計算において控除され、結局、贈与税と相続税を併せた税負担は変わりませんので、あえて贈与税の期限後申告をする必要はないのではないかと思いますがいかがでしょうか。
なお、兄は、相続時精算課税適用者ではありません。
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