相続税の実務問答
【第84回】
「売買契約中の土地の課税関係(買主に相続が開始した場合)」
税理士 梶野 研二
[問]
父(乙)は、U社(甲)との間で、令和5年3月1日にT市に所在する宅地250平方メートル(以下「T土地」といいます)を9,000万円で購入する契約を締結しました。契約書にはおおむね次のような記載があります。
① 契約締結日(令和5年3月1日)に乙は甲に手付金500万円を支払う。
② 令和5年6月1日に、乙は甲にT土地の売買代金の残代金8,500万円を支払う。
③ 同日に、甲は、所有権移転登記に必要な書類を乙に渡し、T土地を引き渡す。
④ 上記②及び③の義務を双方が履行した時に、T土地の所有権は乙に移転する。
ところが、父は、T土地の引渡しを受ける前の5月1日に亡くなってしまいました。相続人は長女である私と母の2名です。私たち相続人は協議の上、父の預金を私が相続し、その預金を解約し、T土地の売買代金の残代金8,500万円をU社に支払い、T土地を私の名義とする登記をしました。相続税の申告において父の財産及び債務をどのように扱えばよいのでしょうか。
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