公開日: 2023/11/16 (掲載号:No.544)
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相続税の実務問答 【第89回】「第一次相続と第二次相続の相続人が1人となった場合の遺産分割と相続税」

筆者: 梶野 研二

相続税実務問答

【第89回】

「第一次相続と第二次相続の相続人が1人となった場合の遺産分割と相続税」

 

税理士 梶野 研二

 

[問]

平成30年2月に父が亡くなりました。父の相続人は、母と私の2名でした。父の遺産は、父母が居住の用に供していたA建物とその敷地の各共有持分3分の2(残りの3分の1は母が所有)とわずかな預金でした。父の遺産総額は、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)に達しませんでしたので、相続税の申告はしませんでした。また、父の遺産について、相続人である母と私の間で遺産分割協議は行っておらず、父の遺産である建物及び土地は、未だに父の名義のままとなっています。

令和5年9月に、母が亡くなりました。母の相続人は私1人です。母の遺産は、父が亡くなる前から母が有していたA建物及びその敷地の共有持分3分の1と未分割のままの父の遺産です。

父の相続人としての身分と父の相続人である母の唯一の相続人としての身分の両方を有する私が、父の遺産であるA建物及びその敷地を、母を経由することなく、私が直接父から相続する遺産分割協議書を作成することとした場合、その効果は父の相続開始時に遡及することから、父の遺産であるA建物及びその敷地の各共有持分のうちの2分の1(母の法定相続分)は母の遺産にはならず、したがって、母の相続税の課税価格の計算に含めなくてもよいと考えますが、いかがでしょうか。

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相続税実務問答

【第89回】

「第一次相続と第二次相続の相続人が1人となった場合の遺産分割と相続税」

 

税理士 梶野 研二

 

[問]

平成30年2月に父が亡くなりました。父の相続人は、母と私の2名でした。父の遺産は、父母が居住の用に供していたA建物とその敷地の各共有持分3分の2(残りの3分の1は母が所有)とわずかな預金でした。父の遺産総額は、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)に達しませんでしたので、相続税の申告はしませんでした。また、父の遺産について、相続人である母と私の間で遺産分割協議は行っておらず、父の遺産である建物及び土地は、未だに父の名義のままとなっています。

令和5年9月に、母が亡くなりました。母の相続人は私1人です。母の遺産は、父が亡くなる前から母が有していたA建物及びその敷地の共有持分3分の1と未分割のままの父の遺産です。

父の相続人としての身分と父の相続人である母の唯一の相続人としての身分の両方を有する私が、父の遺産であるA建物及びその敷地を、母を経由することなく、私が直接父から相続する遺産分割協議書を作成することとした場合、その効果は父の相続開始時に遡及することから、父の遺産であるA建物及びその敷地の各共有持分のうちの2分の1(母の法定相続分)は母の遺産にはならず、したがって、母の相続税の課税価格の計算に含めなくてもよいと考えますが、いかがでしょうか。

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連載目次

相続税の実務問答

第1回~第90回

筆者紹介

梶野 研二

(かじの・けんじ)

税理士

国税庁課税部資産評価企画官付企画専門官、同資産課税課課長補佐、東京地方裁判所裁判所調査官、国税不服審判所本部国税審判官、東京国税局課税第一部資産評価官、玉川税務署長、国税庁課税部財産評価手法研究官を経て、平成25年6月税理士登録。
現在、相続税を中心に税理士業務を行っている。

【主な著書】
・『プロフェッショナル 相続税・贈与税・財産評価の実務』(清文社)
・『ケース別 相続土地の評価減』(新日本法規)
・『判例・裁決例にみる 非公開株式評価の実務』(共著 新日本法規出版)
・『株式・公社債評価の実務(平成23年版)』(編著 大蔵財務協会)
・『土地評価の実務(平成22年版)』(編著 大蔵財務協会)
・『贈与税の申告の実務-相続時精算課税を中心として』(編著 大蔵財務協会)
・『農地の相続税・贈与税』(編著 大蔵財務協会)
・『新版 公益法人の税務』(共著 財団法人公益法人協会)

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