〈小説〉
『所得課税第三部門にて。』
【第57話】
「借入金利子の取得費算入の可否」
公認会計士・税理士 八ッ尾 順一
浅田調査官は、先ほどから受話器を握っている。
机の上には、最高裁平成4年7月14日判決(三輪田事件)のコピーが置かれている。
「・・・すみませんが・・・この前の税務調査とは、関係ないのですが・・・今度、自宅を売却するときの譲渡所得について、お聞きしたく・・・」
「・・・その借入金の利子は・・・取得費に算入することはできないのですが・・・」
浅田調査官は、机上の判決文を見ながら、答えている。電話の相手は、以前、浅田調査官が調査に行った納税者である。その税務調査は、納税者が修正申告をすることによって、既に終わっている。
納税者は、税務調査の時の対応と打って変わって、へりくだった言葉遣いである。
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