相続税の実務問答
【第72回】
「相続開始直前に銀行借入れにより
不動産を取得していた場合の当該不動産の評価」
税理士 梶野 研二
[問]
父は、食料品販売の会社を経営していましたが、高齢になり、後継者もいないことから、その会社の株式の全てを同業者に売り渡し、その譲渡代金3,200万円に銀行からの借入金2,800万円を加えて、賃貸収入を得ることを目的として新築マンションの1室を6,000万円で購入しました。そのマンションは、購入後、第三者に賃貸していましたが、購入から1年後に父が急死してしまいました。私は、このマンションを相続し、引き続き賃貸の用に供していきたいと考えています。
ところで、このマンションを評価通達の定めに従って評価すると、その評価額は建物及びその敷地の持分を併せて2,400万円になります。最近、相続開始前に借入金で不動産を購入した場合には、評価通達に定める評価方法で評価した価額ではなく、相続開始時の不動産鑑定評価額などを基にした評価額で相続税の計算をすべきであるとの最高裁判決が出されたと聞きました。
父の相続財産であるこのマンションについては、評価通達に定める方法により評価した価額を基に相続税の計算をすることは、認められないのでしょうか。
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