山本守之の
法人税 “一刀両断”
【第3回】
「寄附金課税と贈与の立証」
税理士 山本 守之
〔事例の内容〕
A社は親会社であり、B社はA社の子会社です。A社はB社に製品を納入していますが、その納入価額は、概算原価計算による仮価額で、期末には適正な原価計算をして適正価額と仮価額との差は期末に精算しています。
これに対してP国税局調査部では、「仮価額が取引額であるから、精算分はA社がB社に支払った寄附金である」として更正しました。
A社はこの課税は不当だとして国税不服審判所に審査請求しましたが棄却されました。
A社は東京地裁に訴訟を提起し、平成26年1月24日判決で勝訴し、国側は控訴しなかったので、この判決は確定しました。
〔検 討〕
(条文の分析)
この事件で国側が更正処分で適用したのは法人税法第37条第8項で、ここには次のように書かれています。
内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
この条文の主文は、最後の文章の「・・・と認められる金額は、」の後に出てくるものですから、「(贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は)寄附金の額に含まれるものとする」ということです。
また、条文の最後に「含まれるものとする」と書かれているので、条文は『確認規定』であって、『創設的規定』ではないということです。
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