山本守之の法人税“一刀両断” 【第4回】「法人税率引下げの財源課税」
筆者:山本 守之
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山本守之の
法人税 “一刀両断”
【第4回】
「法人税率引下げの財源課税」
税理士 山本 守之
季節が秋になると、そろそろ平成27年度の税制改正が話題になります。
そのうち一番大きな問題は、法人税率の引下げとその財源としての税制改正案です。
安倍首相が記者会見で述べたのは「われわれが目指しているのはまずドイツだ」ということですから、現在の法人税実効税率35.64%を数年でドイツの全国平均29.59%に下げるということでしょう。
財源については決定権を持っている自民党税制調査会の案が決まっていませんが、政府税制調査会の法人課税ディスカッショングループ(座長大田弘子氏)の案は発表されており、その内容は次のとおりです。
① 租税特別措置
ゼロベースの見直し、研究開発税制も
② 欠損金の繰越控除
繰越期間延長、繰越控除金額の縮小
③ 減価償却
定額法に統一
④ 公益法人課税
優遇対象見直し、社会福祉法人の介護事業など
⑤ 受取配当等益金不算入
資産運用目的の株式保有など課税
⑥ 中小法人課税
資本金1億円以下基準の見直し
(1) 租税特別措置
租税特別措置は次の3つの基準で見直すことになっています。
【基準1】
期限の定めのある政策税制は、原則、期限到来時に廃止する。
【基準2】
期限の定めのない政策税制は、期限を設定するとともに、対象の重点化などの見直しを行う。
【基準3】
利用実態が特定の企業に集中している政策税制や、適用者数が極端に少ない政策税制は、廃止を含めた抜本的な見直しを行う。
これらは筆者としては賛成ですが、政治家が中心の党税制調査会で実行できるのでしょうか。それでも設備投資や雇用促進税制の廃止で5,000億円の増収を見込んでいます(経済産業省では1兆5,000億円)。
(2) 欠損金の繰越控除
法人税の理論からすれば、欠損金の繰越控除は無期限で行うのが正しく、イギリス、ドイツ、フランスは無期限で、アメリカは20年です。
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連載目次
山本守之の法人税“一刀両断”
▷2018年(第43回~54回)
▷2017年(第31回~42回)
▷2016年(第18回~30回)
- 【第18回】 実効税率はどのような経過で引き下げられたか
- 【第19回】 消費税の軽減税率を検証する
- 【第20回】 寄附金の課税要件を考える
- 【第21回】 土地と共に取得してから1年以内に取り壊した建物
- 【第22回】 訴訟のわかれ道~認知症と損益通算
- 【第23回】 税執行における洒落
- 【第24回】 租税法の解釈①-租税法律主義とその問題点-
- 【第25回】 租税法の解釈②-通達の読み方とその問題点(貸倒損失を事例として)-
- 【第26回】 租税法の解釈③-税務形式基準と事実認定-
- 【第27回】 課税要件法定主義を考える
- 【第28回】 売り上げの計上時期はどうなっているか
- 【第29回】 取引別にみた収益の認識基準①
- 【第30回】 取引別にみた収益の認識基準②
▷2015年(第7回~17回)
筆者紹介
山本 守之
(やまもと・もりゆき)
税理士。現在、日本税務会計学会顧問、租税訴訟学会副会長(研究・提言担当)、税務会計研究学会理事、日本租税理論学会理事を務め、全国各地において講演活動を行うとともに、千葉商科大学大学院(政策研究科、博士課程)でプロジェクト・アドバイザー(専門分野の高度な学術研究、高度な実務経験を持つ有識者)として租税政策論の教鞭をとっている。研究のためOECD、EU、海外諸国の財務省、国税庁等を約30年にわたり歴訪。2020年11月29日、逝去。
【著書】
・『時事税談-人間の感性から税をみつめる』(清文社)
・『役員給与税制の問題点-規定・判例・執行面からの検討』(中央経済社)
・『検証 税法上の不確定概念 (新版)』(中央経済社)
・『裁決事例(全部取消)による役員給与・寄附金・交際費・貸倒れ・資本的支出と修繕費』(財経詳報社)
・『法人税申告の実務全書』監修(日本実業出版社)
・『法人税の理論と実務』(中央経済社)
・『体系法人税法』(税務経理協会)
・『税金力-時代とともに「税」を読む』(中央経済社)
・『租税法の基礎理論』(税務経理協会)
他、多数
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