山本守之の法人税“一刀両断” 【第20回】「寄附金の課税要件を考える」
筆者:山本 守之
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山本守之の
法人税 “一刀両断”
【第20回】
「寄附金の課税要件を考える」
税理士 山本 守之
〔事 例〕
〈2つの取引〉
① A社は、建物の建築費用の額をP国立大学法人に寄附しました。A社はこれらの寄附について「国等に対する寄附金」に該当するものとして全額損金の額に算入しました。
② ①とは別に、A社はP国立大学から土地の譲渡を受けています。
〔考え方の手順〕
〈国側の処理〉
① A社の寄附金損金算入を否認
② A社の寄附金は土地の取得価額に加算
〈理 由〉
建物を寄附しない限り本件土地を取得できなかったのであり、本件寄附金の支出と本件土地の取得は一体不可分のものと認められますから、本件寄附金は何ら反対給付を求めない寄附金として支出されたものとはいえず、外形上は指定寄附金に該当するとしても、本件土地の購入のために要した費用となります。
この事例は、平成21年5月21日の国税不服審判所の裁決例を参考にしています。
税務調査において寄附金の損金算入が否定され、国税不服審判所の審査請求で全部取消しとなって、更正処分が取り消される例が少なくありませんが、そのほとんどが不開示となっています。そこで、TAINSで情報公開法により公開された事例を中心にその内容を取り上げてみましょう。
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連載目次
山本守之の法人税“一刀両断”
▷2018年(第43回~54回)
▷2017年(第31回~42回)
▷2016年(第18回~30回)
- 【第18回】 実効税率はどのような経過で引き下げられたか
- 【第19回】 消費税の軽減税率を検証する
- 【第20回】 寄附金の課税要件を考える
- 【第21回】 土地と共に取得してから1年以内に取り壊した建物
- 【第22回】 訴訟のわかれ道~認知症と損益通算
- 【第23回】 税執行における洒落
- 【第24回】 租税法の解釈①-租税法律主義とその問題点-
- 【第25回】 租税法の解釈②-通達の読み方とその問題点(貸倒損失を事例として)-
- 【第26回】 租税法の解釈③-税務形式基準と事実認定-
- 【第27回】 課税要件法定主義を考える
- 【第28回】 売り上げの計上時期はどうなっているか
- 【第29回】 取引別にみた収益の認識基準①
- 【第30回】 取引別にみた収益の認識基準②
▷2015年(第7回~17回)
筆者紹介
山本 守之
(やまもと・もりゆき)
税理士。現在、日本税務会計学会顧問、租税訴訟学会副会長(研究・提言担当)、税務会計研究学会理事、日本租税理論学会理事を務め、全国各地において講演活動を行うとともに、千葉商科大学大学院(政策研究科、博士課程)でプロジェクト・アドバイザー(専門分野の高度な学術研究、高度な実務経験を持つ有識者)として租税政策論の教鞭をとっている。研究のためOECD、EU、海外諸国の財務省、国税庁等を約30年にわたり歴訪。2020年11月29日、逝去。
【著書】
・『時事税談-人間の感性から税をみつめる』(清文社)
・『役員給与税制の問題点-規定・判例・執行面からの検討』(中央経済社)
・『検証 税法上の不確定概念 (新版)』(中央経済社)
・『裁決事例(全部取消)による役員給与・寄附金・交際費・貸倒れ・資本的支出と修繕費』(財経詳報社)
・『法人税申告の実務全書』監修(日本実業出版社)
・『法人税の理論と実務』(中央経済社)
・『体系法人税法』(税務経理協会)
・『税金力-時代とともに「税」を読む』(中央経済社)
・『租税法の基礎理論』(税務経理協会)
他、多数