公開日: 2014/12/25 (掲載号:No.100)
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山本守之の法人税“一刀両断” 【第6回】「寄附金課税を考える」

筆者: 山本 守之

山本守之の

法人税 “一刀両断”

【第6回】

「寄附金課税を考える」

 

税理士 山本 守之

 

1 寄附金はなぜ損金不算入か

寄附金の損金不算入規定が創設されたのは昭和17年2月(太平洋戦争〈昭和16年12月8日〉勃発の直後)でしたから、この規定の趣旨は、寄附金を損金の額に算入すると、企業が負担する税の減少を生じ、寄附金の一部を国が負担したと同じような結果になって課税の公平上好ましくないというものでした。

ただ、現行の法人税法においても損金不算入の規制を行っているのは、財政収入の確保や課税の公平の見地からだけでなく、費用収益対応の所得計算原理が大きく影響していると考えるべきでしょう。

すなわち、寄附金は反対給付がなく、個々の寄附金支出について、これが法人の事業に直接関連があるものであるか否か明確ではなく、かつ、直接関連のあるものとないものを区別することは実務上極めて困難ですから、一種の形式基準によって事業に関連あるものを擬制的に定め(損金算入限度額)、これを超える金額を損金不算入としているのです。

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山本守之の

法人税 “一刀両断”

【第6回】

「寄附金課税を考える」

 

税理士 山本 守之

 

1 寄附金はなぜ損金不算入か

寄附金の損金不算入規定が創設されたのは昭和17年2月(太平洋戦争〈昭和16年12月8日〉勃発の直後)でしたから、この規定の趣旨は、寄附金を損金の額に算入すると、企業が負担する税の減少を生じ、寄附金の一部を国が負担したと同じような結果になって課税の公平上好ましくないというものでした。

ただ、現行の法人税法においても損金不算入の規制を行っているのは、財政収入の確保や課税の公平の見地からだけでなく、費用収益対応の所得計算原理が大きく影響していると考えるべきでしょう。

すなわち、寄附金は反対給付がなく、個々の寄附金支出について、これが法人の事業に直接関連があるものであるか否か明確ではなく、かつ、直接関連のあるものとないものを区別することは実務上極めて困難ですから、一種の形式基準によって事業に関連あるものを擬制的に定め(損金算入限度額)、これを超える金額を損金不算入としているのです。

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連載目次

山本守之の法人税“一刀両断”

筆者紹介

山本 守之

(やまもと・もりゆき)

税理士。現在、日本税務会計学会顧問、租税訴訟学会副会長(研究・提言担当)、税務会計研究学会理事、日本租税理論学会理事を務め、全国各地において講演活動を行うとともに、千葉商科大学大学院(政策研究科、博士課程)でプロジェクト・アドバイザー(専門分野の高度な学術研究、高度な実務経験を持つ有識者)として租税政策論の教鞭をとっている。研究のためOECD、EU、海外諸国の財務省、国税庁等を約30年にわたり歴訪。2020年11月29日、逝去。

【著書】
・『時事税談-人間の感性から税をみつめる』(清文社)
・『役員給与税制の問題点-規定・判例・執行面からの検討』(中央経済社)
・『検証 税法上の不確定概念 (新版)』(中央経済社)
・『裁決事例(全部取消)による役員給与・寄附金・交際費・貸倒れ・資本的支出と修繕費』(財経詳報社)
・『法人税申告の実務全書』監修(日本実業出版社)
・『法人税の理論と実務』(中央経済社)
・『体系法人税法』(税務経理協会)
・『税金力-時代とともに「税」を読む』(中央経済社)
・『租税法の基礎理論』(税務経理協会)
他、多数
 

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