公開日: 2017/09/28 (掲載号:No.237)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第38回】「100%子会社間の無対価会社分割」

筆者: 西田 友洋

【STEP4】連結財務諸表における会計処理

100%子会社間の無対価会社分割により企業グループで会社分割前と後で実態に何ら変わりはない。したがって、基本的に(※)連結財務諸表で必要な修正はない。

(※) 【STEP2】(3)で減損処理をしている場合、連結財務諸表上では減損処理がなかったものとして修正する必要がある。

《設例1》

P社の100%子会社であるX社は、同じく100%子会社であるY社に無対価吸収分割により、A事業を移転した。

X社において変動させる株主資本は、資本剰余金600、利益剰余金900である。

移転する繰延税金資産の回収可能性については、X社及びY社ともに問題ない。

A事業を移転することにより、P社におけるX社株式5,000のうち500がY社に引き換えられたものとする。

親会社P社は連結財務諸表を作成している。

X社のA事業の分割期日前日の貸借対照表は以下のとおりである。

〈会計処理〉

1 分割子会社X社の会計処理

(借方)諸負債2,500(※1)(貸方)諸資産3,500(※1) 資本剰余金600(※2)繰延税金資産500(※1) 利益剰余金900(※2)

(※1) 帳簿価額

(※2) 取締役会等の意思決定機関で決定した金額

2 承継子会社Y社の会計処理

(借方)諸資産3,500(※1)(貸方)諸負債2,500(※1) 繰延税金資産500(※1)資本剰余金600(※2) 利益剰余金900(※2)

(※1) X社のA事業の帳簿価額

(※2) X社で変動させた金額を引き継ぐ

3 親会社P社の会計処理

(借方)Y社株式500(貸方)X社株式500

4 連結財務諸表における会計処理

会計処理なし

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第38回】

「100%子会社間の無対価会社分割」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、100%子会社間の無対価会社分割を解説する。企業グループとして、経営効率化のために会社分割により子会社間で事業の移転を行うことがある。その際に、対価を交付すると手続の手間が増えるため、会社分割の対価を交付しないで会社分割を行うことがある。このことを「無対価会社分割」という。

100%子会社間の無対価会社分割は、「共通支配下の取引」に該当する(【第18回】参照)。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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