山本守之の
法人税 “一刀両断”
【第27回】
「課税要件法定主義を考える」
税理士 山本 守之
第1節 課税要件と交際費等
1 交際費の課税の趣旨
交際費課税の趣旨は、この制度が創設された当時と現在とでは大いに異なっているが、その判決例を検討してみると、依然として創設当時の古い考え方が残っているのが気にかかります。
例えば、平成15年9月9日の東京高裁における「萬有製薬事件」における判決文では、交際費課税の趣旨を次のように述べています。
① 交際費は、人間の種々の欲望を満たす支出であるため、それが非課税であれば、無駄に多額に支出され、企業の資本蓄積が阻害されるおそれがあること
② 営利の追求のあまり不当な支出によって、公正な取引が阻害され、ひいては価格形成に歪み等が生じること
③ 交際費で受益する者のみが免税で利益を得ることに対する国民一般の不公平感を防止する必要があること
確かに、この制度の創設時(昭和29年)には冗費、濫費を抑制して資本を蓄積させようという趣旨であったことは事実です。
判決文の③は、いわゆる代替課税として説明されていたものです。
例えば、売上割戻しを金銭又は事業用資産で行った場合、相手方収益に計上されて課税が確保されているから支出した側では交際費等としません。これに対して事業用資産以外の資産の交付では相手方において課税が確保されているとは限らず、飲食の接待等についてはその経済的利益が課税されないから、支出する側で交際費課税をするというものでした。
例えば、昭和45年当時の税の専門誌には、次のような解説がありました。
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