公開日: 2016/11/24 (掲載号:No.195)
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山本守之の法人税“一刀両断” 【第29回】「取引別にみた収益の認識基準①」

筆者: 山本 守之

山本守之

法人税 “一刀両断”

【第29回】

「取引別にみた収益の認識基準①」

 

税理士 山本 守之

 

1 棚卸資産の販売

(1) 原則基準

企業活動の中心となる商品又は製品等の棚卸資産の販売収益の額は、その引渡しのあった日の属する事業年度の益金の額に算入されます(法基通2-2-1)。

このような取扱いを置いたのは、昭和38年12月の「整備答甲」で、収益の認識基準について「法的基準」としては「所有権の移転又は役務提供があったとき」としながら、「具体的運用」は「引渡し又は同時履行の抗弁権を失ったとき」としているからです。

税法の法的基準としては、収益の認識基準を「所有権が移転した時」という基準は譲れないが、所得権の移転を「売りましょう」「買いましょう」という意思主義により民法の考え方とするときは、このような法的基準にならざるを得ないでしょう。しかし、品物を引き渡さない段階で代金を請求すると、買い手は「品物を引き渡さない限り代金は払わない」と同時履行の抗弁権を使うでしょう。

このため、通達では収益計上の原則を「引渡基準」としたのです。

ところで、この場合の「引渡し」をどのように認識するかが問題です。

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山本守之

法人税 “一刀両断”

【第29回】

「取引別にみた収益の認識基準①」

 

税理士 山本 守之

 

1 棚卸資産の販売

(1) 原則基準

企業活動の中心となる商品又は製品等の棚卸資産の販売収益の額は、その引渡しのあった日の属する事業年度の益金の額に算入されます(法基通2-2-1)。

このような取扱いを置いたのは、昭和38年12月の「整備答甲」で、収益の認識基準について「法的基準」としては「所有権の移転又は役務提供があったとき」としながら、「具体的運用」は「引渡し又は同時履行の抗弁権を失ったとき」としているからです。

税法の法的基準としては、収益の認識基準を「所有権が移転した時」という基準は譲れないが、所得権の移転を「売りましょう」「買いましょう」という意思主義により民法の考え方とするときは、このような法的基準にならざるを得ないでしょう。しかし、品物を引き渡さない段階で代金を請求すると、買い手は「品物を引き渡さない限り代金は払わない」と同時履行の抗弁権を使うでしょう。

このため、通達では収益計上の原則を「引渡基準」としたのです。

ところで、この場合の「引渡し」をどのように認識するかが問題です。

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連載目次

山本守之の法人税“一刀両断”

筆者紹介

山本 守之

(やまもと・もりゆき)

税理士。現在、日本税務会計学会顧問、租税訴訟学会副会長(研究・提言担当)、税務会計研究学会理事、日本租税理論学会理事を務め、全国各地において講演活動を行うとともに、千葉商科大学大学院(政策研究科、博士課程)でプロジェクト・アドバイザー(専門分野の高度な学術研究、高度な実務経験を持つ有識者)として租税政策論の教鞭をとっている。研究のためOECD、EU、海外諸国の財務省、国税庁等を約30年にわたり歴訪。2020年11月29日、逝去。

【著書】
・『時事税談-人間の感性から税をみつめる』(清文社)
・『役員給与税制の問題点-規定・判例・執行面からの検討』(中央経済社)
・『検証 税法上の不確定概念 (新版)』(中央経済社)
・『裁決事例(全部取消)による役員給与・寄附金・交際費・貸倒れ・資本的支出と修繕費』(財経詳報社)
・『法人税申告の実務全書』監修(日本実業出版社)
・『法人税の理論と実務』(中央経済社)
・『体系法人税法』(税務経理協会)
・『税金力-時代とともに「税」を読む』(中央経済社)
・『租税法の基礎理論』(税務経理協会)
他、多数
 

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